スペシャル・トレンドレポート

ドル円でのドル高トレンドは継続(西原 宏一氏)

2021年8月25日

1)ニュージーランドは全土ロックダウン

8月の金融市場の注目は27日のジャクソンホール会議。

そしてもうひとつのイベントは8月18日のNZ中銀の金融政策決定会合だった。

住宅市況の高騰を筆頭としたインフレ進行を背景に、今回のNZ中銀金融政策決定会合では0.25%の利上げが100%市場で織り込まれていた。

0.25%どころではなく倍の0.5%の利上げを主張するアナリストも登場してマーケットの注目が集まっていた。

しかしそれをひっくり返したのが、感染者1人の確認でニュージーランドが全土ロックダウンするという事態に発展したことだ。

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ニュージーランド、全土ロックダウン 感染者1人確認で

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は17日、男性1人が新型コロナウイルスの陽性と判定されたとして、全土で緊急ロックダウンを実施すると発表した。同国で市中感染者が見つかったのは半年ぶり。

感染者は58歳で、オークランド市で確認された。12日から症状がみられるとされ、当局はデルタ変異株に感染したとみている。

他の人に伝染した可能性がある場所は、少なくとも23カ所に上るという。ニュージーランドのワクチン接種完了率は約20%にとどまっている。

ロックダウンは、オークランド市と、感染者が訪問していた沿岸部の町コロマンデルでは1週間、その他の地域では3日間、実施する。

アーダーン氏はテレビ中継された記者会見で、最も厳しい「レベル4」の規制が必要だと説明した。学校や事業所、すべての商店が閉鎖され、生活に不可欠な社会サービスのみ継続される。

「こうした事態への対応は計画していた。断固とした早期の対策は、以前もうまく機能した」

「抑え込まないとどうなるか、私たちは他の国の例を見てきた。チャンスは1回しかない」

出所BBC

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ニュージーランドのアーダーン首相は、デルタ株を「ゲーム・チェンジャー」と呼び、わずか1名の感染者の発見すら重大なことであると国民に発表。

そして「抑え込まないとどうなるか、私たちは他の国の例を見てきた。チャンスは1回しかない」として、一気に全土ロックダウンに突入。

日本の緊急事態宣言と違って、「学校は休校、飲食店の営業は禁止」という文字通りのロックダウン!

本稿執筆時点(8月22日)、東京都は新規感染者数が5,000人を越え、全国では2万5,000人を越えているが、都道府県ごとに緊急事態宣言はしてもロックダウンはしない日本の対応とは別世界。

ともあれ、アーダーン首相の「全土ロックダウン」という決定が、NZ中銀の金融政策を大きく変えてしまった。

結果、市場では100%の利上げが織り込まれながら、NZ中銀金融政策決定会合の結果は市場の想定を100%裏切る据え置き。

これによりNZDUSDは大台の0.7000どころか一時0.6800をも割り込みドル高に傾斜した。

2)米国の金融緩和縮小も控え、ドル円でのドル高トレンドも継続

NZ中銀は今回、8月の利上げを断念しただけであり、次回の会合では利上げを行うことを強く示唆している。

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NZ中銀、利上げの年内開始見通し示唆-早ければ次回10月にも

ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のオア総裁は8月20日、国内で新型コロナウイルスの感染が続いても、10月の次回会合でオフィシャル・キャッシュレート(OCR)引き上げを決定する方針をこれまでで最も明確に示した。

オア総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「もちろん10月はライブな会合だ」と発言。

新型コロナ感染だけでは中銀の政策引き締めを妨げないだろうと述べ、この見解を変えるには「需要への大きなショック」が必要になると付け加えた。

中銀は公衆衛生上の状況を踏まえ、今週の会合で行動しないことを決定したが、基調的な経済見通しは変わっていないとオア総裁は説明。今後1年間にOCRを現在の0.25%から2.00%の中立水準に戻す計画だと述べた。

また、インフレについては「これまでのところ、十分に安定していると強く確信している。中銀が任務を果たすと市場が期待しているから安定している」と指摘。「そのため、われわれは自信を持って自らの任務を果たす必要がある。われわれはそれを金利で実施するつもりだ」と述べた。

出所 Bloomberg

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今回、8月の金融政策決定会合での利上げは見送られたが、金利先物市場では、NZ中銀は来年の3月頃までに3回の利上げをすることを織り込んでおり、NZ中銀のタカ派のスタンスは変わらない。

こうした中、米国FRBの金融緩和縮小も迫ってきている。

下記はWall Street journalからの抜粋。

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FRBは6月の連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレへの許容度には限りがあることを示唆し、投資家はFRBの意図をより正確につかむことができた。ジェローム・パウエル議長は、物価は数カ月にわたり跳ね上がるものの、その後は著しく鈍化するとの見方を表明。ただ、想定通りにならなければ、行動する用意があると強調した。同時に公表されたFRB当局者の金利見通しでは、18人中13人が2023年末までの利上げ開始を予想。前回3月の7人から増えた。これを受けて、5年債利回りは上昇する一方、30年債利回りは低下した。

「6月会合が転機となった」。TD証券のシニア米金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏はこう指摘する。FRBのメッセージは「一定期間インフレが加速することは問題ないが、過度な水準は静観できない」というものだと話す。

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パウエル議長は「インフレは一時的なものである」とするも、想定通りにならなければ、行動する用意があることを強調している。

つまり、NZ中銀のように、全土ロックダウンのような緊急事態が起きれば、金融緩和縮小をいったん見送る可能性もあるが、中期ではインフレの進行により早期の行動に移す可能性が高まっているわけである。

結果、米国の金利が底堅く推移するのであれば、相関性の高いドル円の上昇トレンドも変わらないことになる。

添付図は今年になってからの米10年債利回りの推移。

米10年債利回りは、7月20日に1.1260%、8月4日に1.1258%をつけ、1.1260%レベルでダブルボトムも形成。その後は、底堅く推移している。

この1.1260%のサポートが保たれれば、10年債利回りも早晩1.3000%を回復に向かう。

仮に1.1260%を下へブレイクされたとしても、インフレが進行している米国経済環境下では、1.00%を割り込むことは考えにくいといえる。

よって、米10年債利回りが再び1.7742%の高値に向けて反発を始めれば、米10年債と相関性の高いドル円も115円へと上昇を再開すると想定している。

実際、米10年債金利とドル円は、今年ずっと相関していて、ここから米債金利が上昇に向かうと、ドル円も上昇の動きとなりそうだ。

デルタ株の拡大が懸念されるも、NZ中銀の利上げ見通しは変わらず!

同様に米国の金融緩和縮小を控え、米10年債利回りの反発に連れ、115円へ向けて底堅く推移するドル円の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2021年8月25日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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