スペシャル・トレンドレポート

政府主導から個人の判断へ、 コロナと共存する社会へ(松崎 美子氏)

2021年7月7日

日本の個人投資家さんたちから、英国でのコロナ状況を教えて欲しいという意見が多く、今回はちょうどボリス・ジョンソン首相(以下、ボリス)からの記者会見も重なったため、それについて書いてみようと思う。

ロックダウン解除第4弾は7月19日で決定か!

英国では昨年3月から17ヶ月間に渡り、ロックダウンやTierシステムの導入などを経て企業や個人の活動に制限が課せられた。セミナーなどで何回も繰り返しお伝えしてきたが、ロックダウンでは経済が完全に閉鎖され、景気が悪くなるという側面ばかりが報道されるが、私達が受けるメンタルを含むダメージは計り知れず、政府としても最初は感染防止目的をメインにその必要性を訴えていたが、時間が経つにつれロックダウンによる弊害のほうに目を向けるようになってきた。

ロックダウン解除過程

今年2月22日に発表されたロックダウン解除に向けた過程は以下の通りである。

本来であれば6月21日に第4弾が実施され、ロックダウンは完全解除となるはずであったが、デルタ変異種(インド株)感染が拡大したため、急遽4週間の延長が発表された。

その直後にハンコック保健相が不倫で辞任に追い込まれ、後任として元財務相のジャビッド氏が新保健相に就任。この人は特に、反ロックダウン派と言われており、6月28日の就任スピーチでも、7月19日の全面解除はほぼ間違いないと発言している。

ボリスの記者会見

7月5日夕方、ボリスが記者会見を行なった。デルタ変異種の感染者数が増加を続けているが、7月19日に全面解除に踏み切り、それ以降は政府の指示に従うのではなく、あくまでも個人の判断に委ねると言う方針に変更。
https://twitter.com/BorisJohnson/status/1412078768320045056

① マスク着用義務

今までは、スーパーや電車/バスの中では着用は義務化されていたが、7月19日以降は任意となり、不着用時の罰金も、なくなる。ただし、各企業や団体が独自のルールを設定する事は十分に可能であり、例えばロンドンの地下鉄は着用の義務化を継続するなどと言う決定がないとは言い切れない。同様に、各自治体によっては、公共交通機関や集会などで、独自のルールを適用することも可能。

② ソーシャル・ディスタンシング

今年に入り、2メートル間隔を1メートルに狭めたが、このルールも撤廃。ただし、マスク同様、あくまでも個人の判断に委ね、やりたい人はその後も守ることは問題なし。

③ リモートワーク

リモートワークも解除。ただし、今後も継続したい人は、雇用者と話し合いを行なうこと。

④ QRコード/国内ワクチン・パスポート制度

大型の集会には、ワクチン接種証明書のワクチン・パスポートのQRコード提示が義務化されていたが、それがなくなる。ただし、各イベントや主催側の企業が必要と感じれば、独自の判断で可能

⑤ 大型集会などの人数制限撤廃

大型集会の人数制限の撤廃。加えて、室内/外で人と逢う時の人数制限も撤廃。

⑥ ケア・ホームの訪問

7月19日より、ケア・ホームへの訪問回数や人数の制限がなくなる。ただし、各ケア・ホームによっては、独自のルールを作っても良い

政府の意向としては、コロナと戦うのではなく、ここからは「コロナと共存する社会」を確立していく方針。そのためには、まだ接種を完了していない人には2回目接種を急ぐようお達しが出るかもしれない。具体的には、英国では1回目と2回目の接種間隔は11〜12週間と決まっていたが、最近では最短で8~10週間に短縮することが多く見受けられるようだ。ちなみに、私の2回目接種日は、8月13日金曜日となっている。出来れば13日の金曜日でない日に変更して欲しいと願っている・・・

コロナ感染状況:最新版

英国政府は、毎日のコロナ状況をアップデートしている。
https://coronavirus.data.gov.uk/

これによると英国連邦王国全体で、7月3日の陽性者数は、24,248人。陽性者のうち、入院患者は、358人。死亡者数は、15人となっている。

成人人口の86%が1回目の接種を終了。63.8%が2回目も完了している。

次は、英国公衆衛生庁が発表した最新のデータであるが、面白い発見があった。データ元のテーブル4のチャートを分かりやすいように、私がエクセルで作成しなおしてみた。

これはあくまでも、今年2月21日~6月21日の間に、イングランドでデルタ変異種により救急病院に搬送された人だけを対象としたデータである。

これからわかる事は、

・デルタ変異種に感染した人のうちのほとんどが、ワクチン未接種者となっている

・デルタ変異種に感染した人のうちほとんどが、50歳以下

・たぶんこの調査期間中であれば、若い年代は接種が済んでいないので、感染者数が多かったとも言えるだろう

・50歳以上については、ワクチン接種をしている人のほうが感染している

・死者については、ワクチン接種をしているはずの50歳以上の方が多い

・死者については、ワクチン接種/未接種にあまり差がない

・感染者数全体の約0.13%が亡くなった

デルタ変異種の感染が拡大した地域は、ワクチン接種に消極的な地域であったそうで、やはりワクチンはなんらかの効果があるという見方が一般的となってきている。

コロナとポンド

今年に入り、先進国の中では最もワクチン接種に積極的であった英国のポンドが買われる局面があった。いわゆる、「ワクチン・トレード」である。

それも徐々にマーケットに織り込まれ、6月に入ると今度はデルタ変異種の感染に悩まされ、ポンドの頭が重くなる局面があった。

今後、コロナによるポンドへの影響はあるのか?個人的には、新たな変異種が登場し、それに効くワクチンがない場合、新しい変異種が出なくても、秋から冬に入りもう一度、ロックダウンを強いられる場合などは、ポンドに売り圧力がかかると想定する。これは、ロックダウンによる経済閉鎖によるマイナス面だけでなく、英中銀のマイナス金利導入という話が再燃する可能性が出てくるからに他ならない。

こちらは、2020年3月にロックダウンが開始されてから、現在までのポンド実効レートのチャートである。これを見ると、昨年12月にワクチン接種がスタートしてから「ワクチン・トレード」でポンド買いとなり、デルタ変異種が拡大してからは、頭が重くなっているのが確認できる。

ここからのポンドについては、デルタ変異種との関係と、英中銀の利上げ予想との間に挟まった形で、動きにくい展開を予想している。

そして、私は2001年から主要通貨の値幅と方向性をエクセルに記録しているが、7月という月はどの通貨ペアも、どっちつかずで動きにくく、特筆すべき特徴が見当たらない。その意味でも、8月には動きが出てくるので、今月はちまちまとやっていこうと思う。

このチャートは、ポンド/ドル週足に200週SMAを載せ、そこからの乖離をチャート下段に表示したものである。

水色のハイライトを入れている期間は、だいたい1年ほど続くことが多い。もし今回も同じであれば、今年11月くらいまでは、水色ハイライトの期間になるかもしれない。

最近の部分を拡大してみたが、ひとまずは1.38ミドル~1.42ミドル間での推移を予想している。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
ロンドン在住の元為替ディーラー。東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話を聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2021年7月7日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について松崎美子氏、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。
※コンテンツ、データ等の著作権はワイジェイFX株式会社に帰属します。私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。

YJFX!口座開設者限定コンテンツ「プレミアムレポート」のご紹介

為替業界の著名人や当社のマーケット分析を担当するスペシャリストが執筆したYJFX!のためだけの限定レポートです。PCの取引画面やCymoアプリからご利用いただけます。

みんなのオーダー

YJFX!で取引されているお客さまのポジション状況をグラフ化し毎日更新しています。

YJFX!オリジナル ウィークリーレポート

証券アナリストの資格を持つYJFX!マーケット分析チームが前週の振り返りと今週の注目ポイントをわかりやすく説明しています。

スペシャルレポート

為替トレーダーやアカデミー講師のスペシャルレポートが読めるのはここだけ!他では読むことができない限定レポートをご提供!

プレミアムレポート閲覧方法

ご覧いただくには外貨exの口座をお持ちいただく必要があります。

外貨exの口座をお持ちの方

【スマートフォンをご利用のお客さま】
>Cymoアプリのダウンロードはこちら
①「Cymoアプリ」にログイン
②「ニュース」→「プレミアムレポート」

【パソコンからをご利用のお客さま】
>パソコン版取引画面へのログインはこちら
①取引画面にログイン
②左側メニュー「投資ツール」→「ニュース・レポート」→「プレミアムレポート」

外貨exの口座をまだお持ちでない方

新規口座開設(無料)はこちら

関連する記事

投資にかかる手数料等およびリスクについて
当社ホームページ記載の金融商品へのご投資には、商品ごとに所定の手数料等をご負担いただく場合があります。各商品には価格の変動による損失が生じるおそれがあります。また、店頭外国為替証拠金取引をお取引いただく場合は、当社所定の証拠金が必要となり、元本を超える損失が生じるおそれがあります。なお、商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の「契約締結前交付書面」、「契約締結時交付書面」及び「目論見書」等をよくお読み頂き、それら内容をご理解の上、ご自身の判断と責任において、自己の計算によりお取引を行ってください。

FX・バイナリーオプションならヤフーグループのYJFX!
ワイジェイFX株式会社は
ヤフー株式会社のグループ企業です。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第271号
加入協会 日本証券業協会 
一般社団法人金融先物取引業協会 
一般社団法人日本投資顧問業協会

YJFX! from Yahoo! JAPAN