スペシャル・トレンドレポート

スコットランドSNP党はそれでも独立を主張するのか?(松崎 美子氏)

2021年5月12日

スコットランドとウェールズでの総選挙、地方選、ロンドンをはじめとする各都市での市長選、補欠選挙など、予定されていたすべての選挙が終了した英国。

今回のコラムでは、選挙結果をお知らせすると同時に、この結果がポンドにどう影響するのかについて考えてみようと思う。

補欠選挙結果

スコットランド総選挙の次に国民の関心を集めていたのが、Hartlepool選挙区での補欠選挙であった。イングランド北東部ニューカッスルのすぐ南に位置する港町。この地域は伝統的にRed Wall(赤い壁)と呼ばれ、1974年に選挙区が認定されて以来ずっと労働党の牙城であった。

しかし今回の補欠選挙では、あっさりとその座を保守党に受け渡してしまい、今回の選挙での労働党惨敗リスクの予兆となったことは言うまでもない。

地方選結果

地方自治体などでの投票結果も、労働党にとっては非常に厳しい内容となった。

出典:複数の報道

ロンドン市長

2016年に、ムスリム(イスラム教徒)としてはじめてロンドン市長に当選したカーン氏。今回は2期目を狙っての選挙となった。

1回目投票で労働党と保守党はかなりの接戦となったが、2回目投票で現職の労働党:カーン氏の当選が確実となった。

スコットランド総選挙

今回の選挙で注目度が最も高かったスコットランド自治政府総選挙。投票率63%と、自治政府発足以来最高の投票率を記録し、有権者の関心の高さが窺われる。

出典:スコットランド議会
https://www.parliament.scot/msps/current-party-balance

独立支持政党、議会の過半数議席以上を獲得

今回のスコットランド選挙結果を見た時に、私は2つのことを感じた。最初は、独立支持政党が議会の過半数以上の議席を獲得したこと。

スコットランド国民党(SNP党)と緑の党はともに独立を強く支持する政党である。SNP党 64議席と緑の党 8議席、合計すると72議席となり、過半数65議席を大きく上回る。

スコットランド議会で住民投票実施法案が提出されれば、議会での可決は約束されている。

得票率から見る有権者の気持ち

今回の結果を受け、私が特に気になったのが、これである。

まず投票率がずば抜けて高いと知った時、独立支持の有権者が投票所に押し寄せたのか?それとも独立反対の有権者だったのか?そこが知りたかった。

今回の得票率を計算すると、SNP党 40.3%と緑の党 8.1%、そしてSNP党の前首相が立ち上げた独立支持のアルバ党が1.7%となり、3党合計で50.1%である。

2016年に実施された英国のEU離脱の国民投票では、離脱支持 51.89%に対し、反対が48.11%となり僅差で離脱となったが、今回のスコットランド総選挙での独立支持政党の得票率は50.1%という計算になる。つまり、仮に今すぐ住民投票を実施すれば、結果は50/50という意味であり、スコットランド国民の民意とは受け取り難い

スタージョン首相が勝利宣言の時に、「もしこの選挙結果を見ても中央政府がスコットランド独立の住民投票を認めないのであれば、民主主義とはなにかをもう一度 勉強し直したほうが良いだろう。」と発言したが、そこまで自慢出来る結果でないと感じているのは、私だけなのか?

ここからのポンド

英国の選挙が終了した最初の月曜日(5月10日)の朝は、大きな窓明けもなく、ポンド取引は始まった。ロンドン時間に入った途端、強烈なポンド買いが出て、その後も断続的にポンドは上昇した。

この背景には2つの理由があると私は考えている。1つは、5月10日朝に、ボリス・ジョンソン首相が同日17時に記者会見を行い、予定通りに5月17日からロックダウン解除第2弾を発表するという速報である。1年以上ロックダウンで行動制限を強いられた我々にとって、少しずつではあるが以前の日常に近づいていることほど嬉しいことはない。それを好感してのポンド買いが出ても、何も不思議ではないだろう。

2つ目は、スコットランド総選挙の結果である。上述の繰り返しになって恐縮であるが、独立支持のSNP党と緑の党を合わせれば過半数議席を超えるため、住民投票法案が提出されれば、間違いなく可決される。しかし、SNP党単独では過半数を達成できなかったことも事実である。そういう微妙な立場のスタージョン首相が(上から目線で)ジョンソン首相に対し民主主義のことを説くのは、お門違いであろう。中央政府としてはスコットランドから住民投票実施を呼びかけられても、認める必要はないという考えが出てきたのである。

いずれにしても、住民投票実施となってもそれは数年後であり、今のところは慌てる必要はない。ただし、スタージョン首相はグイグイと押してくるはずなので、動向には気をつけていきたい。

ポンドについては実際に住んでいる身として、売る材料が見当たらない。今までの懸念材料であったスコットランド総選挙もひとまず終わり、強いていえばジョンソン首相の政治危機が5月末あたりに再浮上するかもしれないだけとなった。

買い材料ばかりが目に付く…..こういう偏った相場観を持っている時の私は、浮かれすぎて足をすくわれることが多い。そういう経験を何度もし、高い授業料を払ってきたので、今回は限りなくニュートラルを心がけ、損切りをおきながら気をつけて取引したいと思う。

こちらのチャートは私が取引しているユーロ/ポンド日足だが、ピンクの点線が通る0.8580台で一旦止まるかが鍵であろう。もしそこで止まらず下抜けすると、次の目標は赤いサポートラインが通る0.84ミドルを想定している。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
ロンドン在住の元為替ディーラー。東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話を聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2021年5月12日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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