スペシャル・トレンドレポート

ECBのテーパリング、欧州の景気回復で EURUSDは1.2500方向へ(西原 宏一氏)

2021年4月28日

1)カナダ中銀が*テーパリングに着手

(*テーパリング=量的緩和策の段階的縮小)

4月21日の欧米市場では、カナダ中銀(BOC)のサプライズにより、カナダドルが急騰。

BOCは政策金利を0.25%のまま据え置き。その後の声明で「世界とカナダの経済見通しは改善した」と分析。そのうえで「資産買入れを従来の週40億カナダドルから週30億カナダドルへ減額する」ことを発表。資産買い入れによる市場への資金供給をこの段階で縮小する(テーパリング)としたことは、マーケットにとってサプライズ!

遡ると、昨年のコロナ禍以降、各国中銀は金融緩和を実施して経済を下支えしてきた。その方策である資産買い入れ額を縮小するということは、徐々に市場への資金供給を減らすことを意味する。つまり、金融正常化の第一歩である。これはテーパリング(Tapering=先細り)と言われるもので、当該通貨にはpositive。

更にカナダ中銀は、利上げ開始時期の予想を2023年から2022年後半へ前倒ししてきた。市場のコンセンサスは2023年だったので、この点でもタカ派的サプライズである。

こうしたカナダ中銀の動きから、現在主要国で進行中のワクチン接種が広がることで、今回のパンデミックは終息に向かい、その先には強い経済の復調があると、カナダ当局が分析しているものとマーケットは理解している。

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マネックスのシニア外為アナリスト、サイモン・ハーベイ氏は「カナダ銀行はかなりタカ派的なメッセージを発した」と電子メールで指摘。

「現在の感染の波が落ち着けば力強い景気回復が待っていることをかなり確信しているようだ」と話した。

出所 Bloomberg

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この発表を受け、21日のカナダドルは主要通貨に対し、全面高。対米ドルでは一時1.2460カナダドル、対ユーロでは1.4991カナダドル、対円では86.79円まで急騰。

マーケットでは、カナダ中銀のアフターコロナを見据えた動きから、次にテーパリングを発表するのはどこ?ということが注目されている。

2)カナダに続くのは米国が本命、だがECBが急浮上

カナダ中銀が先頭をきってテーパリングに動いた事で、米国でも近々テーパリングが議論される可能性が高まっている。

JPモルガン・アセット・マネジメントは6月にも米国のテーパリングの示唆があるだろうと予測。

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6月にテーパリング示唆?

JPモルガン・アセット・マネジメントのトゥシュカ・マハラジ氏が、「米金融当局は6月にも資産購入を段階的に減らす計画を示唆し始める可能性があると指摘。

「当局は今年12月にテーパリングを発表し来年から実際に減らし始め、かなり長期間それを続けるだろう」と予想。

そのためには、そうした議論があることを事前に示唆する必要があり、6月に示唆し始める可能性があるとコメント。

出所 Bloomberg

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パンデミックで世界各国の中央銀行が金融緩和に動いていることにより、流動性が過剰な状態。この有り余った資金は株式市場をはじめ、不動産市場などに流れています。既報のように米国不動産価格も既に上昇してきているようです。

こうした動きはコロナ対策先進国のオーストラリアやニュージーランドでも同じ。特に徹底したコロナ対策で国内の新規感染者をほぼゼロに抑え込んでいるオーストラリアとニュージーランドはトラベルバブルと称される相互間の移動も始まっており、センチメントもかなり改善。オセアニア諸国でも潤沢な資金と経済活動の復調でインフレ懸念が台頭している。

ただマーケットの注目を集めたのは、4月中旬に入り次期テーパリング開始候補にECB(欧州中銀=European Central Bank)が急浮上している点。このECBのテーパリング開始の思惑からGoldman Sachsを筆頭に、ユーロドルに対して強気な見方が増えている。

ユーロドルの動きを振り返ってみれば、2021年第1四半期のユーロ安は、ワクチン普及の遅れが経済再開の遅れを伴うとの考え方が一因。一方、米国では、ワクチン普及が急速に進んでいるため、ワクチン接種状況の差がユーロ安、ドル高の要因の一つとなっていた。

しかし、ブルームバーグのエコノミストによれば、欧州でのワクチン接種の動向が改善しており、早晩EU経済が活気を取り戻すと予想しているようだ。たしかに最近の欧州経済指標の大半は予想を上回っていて、欧州経済の回復は早い模様。

例えば、4月22日に発表となったユーロ圏主要国の4月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は軒並み好転している。

こうした欧州経済指標の好転でマーケットでは、欧州中央銀行(ECB)がパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での債券購入ペースの減速を始めるかどうかについて、6月の会合で議論するのではないか、との見方が拡大している。

Bloombergの報道によれば、ECBの一部メンバーは今年下期に新型コロナウイルス不況からの力強い回復が見込まれることからPEPPの縮小を7-9月期(第3四半期)に開始すべきだと主張する見込み。

ECBがPEPPの縮小、つまりテーパリングを開始するとなれば、これまでの米ドルとユーロの関係が変わってくる。

前述のように、カナダ中銀のテーパリングに続くのは米国が本命だが、既に米国やオセアニアの景気回復やテーパリングはある程度マーケットに織り込まれている。しかし、欧州ではECBのテーパリングの可能性や景気回復がまだマーケットに織り込まれていない。

市場の動きはこうした思惑を反映するように4月第3週のユーロドルは1.2000をクリアにブレイクして急騰している。

添付図は、ユーロドルの週足。

(YJFX MT4より筆者作成)

ユーロドルは1月6日に1.23491の高値に到達して以来、本年第1四半期はコロナ対応の遅れで続落したものの、3月31日の1.17024をボトムに反発。

この1.17024は、昨年3月にコロナ禍で世界中の株や為替が急落した時の安値1.06347と1月6日高値1.23491のフィボナッチ38.2%(1.16942)の手前。つまり、フィボナッチでは、ここで押し目を形成してきれいに反発している形となる。

ECBのテーパリングの可能性や欧州の景気回復を織り込む形で1.2500に向けて続伸するユーロドルの動きに注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2021年4月28日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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