1)米国はポストコロナへと邁進中!
一時は急拡大するCOVID-19の感染者増加を止められず、ロックダウンが続いていた米国は、ワクチンの供給も進み始め、ポストコロナへと進み始めている。
バイデン大統領は米独立記念日までに「ウイルスからも独立」と表明
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バイデン米大統領、独立記念日までに「ウイルスからも独立」と表明
国家としての独立だけではなく、ウイルスからの独立を示す特別な独立記念日となるだろう。
バイデン米大統領は世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言して1年がたつのに合わせて演説。18歳以上の全成人を5月1日までに新型コロナワクチンの接種対象にするよう各州に指示すると表明した。そのうえで、7月4日の独立記念日までに制限の緩和を行い、社会を正常化したいとの考えを示した。バイデン政権は500億ドルをかけて検査能力を増強するほか、欧州などで感染が拡大する変異ウイルスの分析件数も増やす。
出所日経ビジネス
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そしてテキサス州では3月10日からロックダウンを全面解除。
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米テキサス州、コロナ規制のマスク着用義務や入店制限を解除
米テキサス州で10日、新型コロナウイルス感染予防対策のマスク着用義務や店舗などの客数制限が解除された。自由になったと歓迎する声が聞かれる一方、愚かな措置と批判も出ている。
同州のアボット知事は先週、新型コロナ新規感染者の減少やワクチン配布を受け、これらの規制緩和を発表していた。
ただ知事令では規制緩和は各店舗の権利とされており、一部の大手小売店やレストランチェーンは引き続き、顧客に店内でのマスク着用を義務付ける方針を示している。
規制緩和を受けて大規模な集会も計画されている。ダラスのユダヤ系保守派団体は10日夜、約200人を集めてパーティーを開催する。同団体の創設者は「これは自由、解放、個人の責任の問題だ」と語った。
出所ロイター
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テキサス州はロックダウンを全面解除するとのことなので、ジムは営業できるし、レストランもバーも営業OK。
メジャーリーグも観客を入れて、開催できるということになる。
実際テキサス・レンジャーズは本拠地グローブライフ・フィールドで迎えるシーズン開幕での入場観客数を100%に戻すと地元紙「フォートワース・スター・テレグラム」など複数の米メディアが報じている。
実現すれば、米主要スポーツリーグで初の試み。
テキサス州はカルフォルニア州についで感染者数が多いところ。
それが全面解除ということなので、感染者数の数とロックダウンとは関係ないとは言わないが、ロックダウンに対する考え方が、テキサス州とカルフォルニア州では違うのだろう。
これがCovid19に対しての民主党(California)と共和党(Texas)の考え方の違いとも言える。
共和党は銃の所有も含め、自分の事は自分で守るという考え。
この件は、映画「Terminator」でシュワルツェネッガーが言った言葉を思い出す。
「Also, This is Texas!」
ともあれ、ワクチン供給の進展により、米国ではどの州も徐々に経済は回復してくると考えられる。
そして景気の回復とともにインフレも進行している模様。
2)米金利の上昇でドル円の上昇トレンドが明確に、中期では120円へ
米景気の回復につれ、米金利の上昇も徐々に鮮明に。
米国ロサンゼルスの友人によれば、10年前はビッグマックセットが4~5ドル。そして現在は9~10ドルへ価格が上昇。
事務所の賃貸料も10年前から比較すると1.5~2倍へ上昇。
CPIなどにはまだ反映されていないが、彼の体感では、CPI(=消費者物価指数)は2.00%レベルではなく、もっと高いのではないか?との事。
そして米金利の上昇とともに、相関性が高いドル円は上昇トレンドに。
3月15日には、一時109.36円まで上昇。
添付したのは、ドル円の週足。

(YJFX MT4より筆者作成)
過去数年の高値である125.86円と安値である99.02円(YJFXでは98.90)の38.2%が109.27円。(YJFXでは109.20)
つまり、ドル円は3月15日に109.36まで上昇し、38.2%レベルまで反発、いったん調整に入っている展開。
それでも108円台ミドルレベルから、本邦生保のヘッジはずし(ドル買い戻し)や、マクロ系ファンドのドル買い、アジアの年金のドル買いなどが待っているとマーケットでは噂されており、ドル円の底堅さは変わらず。これを裏付けるように3月19日のNY市場も108.95円レベルと高値圏で引けている。
今年に入ってのドル円は、株が大きく下がる局面においても反落せず。一方、ドル金利が上昇すれば、追随して上昇するという傾向が明確になってきた。
つまり、「risk off=円の買い戻し」というルールは変更になり、Game changeが起きている模様。
この「game change」は円だけに関わらず、同じ避難通貨のスイス・フランでも同様の傾向にある。
添付したのが過去3ヶ月の対米ドルの主要通貨の動き。

(Bloombergより筆者作成)
対ドルで下落が顕著なのが、日本円とスイス・フラン。
上昇しているのが、ポンド、カナダドル、豪ドル。
つまり過去3ヶ月では、ポンド円や豪ドル円、もしくはポンドスイスや、豪ドルスイスをlongにするのがきわめて利益率の高いトレードだったことがわかる。
このスイス・フラン安にスイス中銀副総裁が、歓迎の意!
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「スイス国立銀行(中央銀行)のツアブリュック副総裁は同国紙ブリックとのインタビューで、同中銀の緩和的姿勢は不可欠であり、必要であれば一段の緩和も可能だと語った。ここ数日のスイス・フラン安には歓迎の意を示した。
ツアブリュック副総裁は、マイナス0.75%の政策金利を柱とする緩和的な金融政策と為替介入について、「スイス経済に適切な条件を維持するために必要だ」と述べるとともに、「必要な状況となれば、両方の措置をさらに推進することも可能だ」と話した。
新型コロナウイルス禍からの世界的な経済回復の期待を背景に、安全資産が売られる流れの中でスイス・フランは先週、対ユーロで急落し、1年8カ月ぶりの安値を付けた。
フラン高に歯止めをかけてデフレを防ぐために何年にもわたり多額の資金を費やしてきたスイス中銀にとって、こうした展開は歓迎すべきものだ。
ツアブリュック副総裁は「経済の道筋には引き続き極めて多くの不確実性がある」とし、「金利の反転を議論するのは時期尚早だ」との考えも示した。
出所 Bloomberg
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あらためて、SNBが自国通貨安を歓迎!
振り返れば、今年の1月に三者会談までして円高を牽制してきた菅政権もこのところの円安は歓迎していると想定される。
ただ次に添付したのが、3月19日に終わる週のダイアグラム。

(Bloombergより筆者作成)
この週のダイアグラムでは、一転して、円とスイス・フランはドルに対して上昇している。
ただその上昇幅は限定的。
一方、先週末3月19日の米10年債利回りは1.72%と高止まりしているので、米長期金利との相関性が高いドル円の調整が限定的なのもうなずける。
米国では、ワクチンの供給進行により、感染者数の減少と、ロックダウンの解除が進行。呼応して米景気の回復=米金利の上昇トレンドは変わらず。結果、米金利の上昇に相関性が高いドル円という通貨ペアは、底堅く推移し、上値余地が大きく拡大しているのではないかと想定している。
前述したようにドル円の節目は38.2%の109.27円。
次は節目の110.00円。
そして50%戻しの112.44円。
ドル金利の上昇に並走し、中期のドル円は120円に向かうのではないか?と想定している。
米金利の上昇に呼応し、ドル円は上昇トレンドに。
中期では120円へと上昇を開始したドル円の動向に注目。
西原 宏一氏プロフィール

- 西原 宏一(にしはら こういち)
- 株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。