スペシャル・トレンドレポート

オーストラリアの快進撃は続き、 豪ドル円90円台へ。

2021年2月24日

1)主要国の金融緩和の拡大が、フィアット通貨(米ドル)の下落を招く

2021年に入って、市場参加者の注目を集めたのが、まず日経平均が3万円台を回復したこと。

日経平均の3万円台の回復は30年6ヶ月ぶり。

苦節30年でやっと「失われた30年」を取り戻しつつある。

ただ、この間NYダウは10倍以上となっており、日米の成長率の違いを改めて認識させられたともいえる。

そして金融市場の話題をさらったのは、なんといってもBitcoinの暴騰。

本稿執筆時点(2月21日)では590万円レベルで推移しているが、一時600万円台に到達していた。

Bitcoinの急騰は金融市場の投機的バブルの象徴との見方もあるが、米企業による受け入れ拡大が要因との見方が大勢。

その米企業の筆頭はTesla.

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ビットコイン急騰 テスラが購入、関連銘柄にも買い波及

暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が8日、急上昇した。一時は4万4800ドル(約470万円)程度と前日より15%近く上昇し、史上最高値を付けた。

電気自動車(EV)大手のテスラがビットコインを15億ドル(約1,600億円)購入したと明らかにし、他の仮想通貨や関連株も軒並み急上昇した。

テスラは米時間8日朝、米証券取引委員会(SEC)に提出した資料でビットコイン投資を明らかにした。当面の運転資金に必要としない現金の運用先について「多様化し収益を高めるよう投資方針を改めた」と説明する。地金や金に連動する上場投資信託(ETF)も投資対象とする。テスラ製品の購入も近くビットコインで支払えるようにする。

出所 日経

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TeslaがBitcoinに15億ドル投入したと発表したことでBitcoinは暴騰したわけだが、マーケット参加者の中には、15億ドルはTeslaにとってたいした金額ではないので影響は限定的との意見もある。

しかし、Tesla製品の購入に関しBitcoinでの支払いも近く可能となる方針を明らかにしたことがポイントのようだ。

これまでマイクロストラテジーがバランスシート上で仮想通貨を持つことを発表している。これにTeslaが続いたわけだが、マーケットがBitcoinをさらに買い上げた理由のひとつはAppleの参入が連想された事も重要なポイント。

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アップルが仮想通貨に参入すれば、巨額の機会に-RBCアナリスト

米アップルは米テスラの例に倣うべきだと、RBCキャピタル・マーケッツは指摘した。ただし電気自動車ではなく、仮想通貨分野への参入で先例に続くべきだとしている。

アップルが同社の「ウォレット」を仮想通貨取引所に進化させれば、大規模な成長市場を創出できるだろうと、アナリストのミッチ・スティーブス氏はリポートで論じた。

「こうしたウォレット構想は同社にとって、確実かつ巨額なチャンスとなりそうだ。わずかな研究開発(R&D)で年間売上高が400億ドル(約4兆2000億円)を大きく上回る可能性もある」と説明した。

出所 Bloomberg

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Appleの参入を米国当局が認めるのはかなりハードルが高そうだが、Apple参入の可能性は否定できない事もあり、Bitcoinの強気材料のひとつとなっている。

さらに気になるのがTeslaのイーロン・マスクのコメント。

イーロン・マスクは「フィアット通貨(法定通貨)の実質金利がマイナスの状況で、別の場所に目を向けようとしないのは愚か者だけだろう」とTweet。

イーロン・マスクの発言はある意味、今年の市場が直面している状況を代弁しているともいえる。

新型コロナウイルス不況への対策として政府が巨額の資金を金融システムに注入する中で投資家はインフレへの懸念を深め、資産の保管場所として現金以外を模索している。

彼によるとBitcoinは「現金(=米ドル)よりは、ばかばかしくない流動性の形態」だとコメント。

このtweetがBitcoinを押し上げ最高値を更新した要因ともいえる。

では、イーロン・マスクが揶揄するフィアット通貨の中で、インフレへの懸念を深める米ドルの価値が劣化するとすれば、他の主要国では、どの通貨が強いのかを探ってみたい。

2)豪ドル円は90円に向け続伸中。

まず、主要国の金利を確認してみよう。

添付図は主要国の10年債の利回り。(2月21日)

(Bloombergより筆者作成)

米10年債の利回りが重要なレベルであった1.00%を超えて上昇してことに呼応して、オーストラリアの10年債利回りは1.43%、そしてニュージーランドの10年債は1.50%と米国債を上回って上昇してきている。

つまり、米国債利回りの上昇も、豪ドルやキウイに対する米ドルの買い要因にはならず、AUDUSDやNZDUSDは10年債利回りの推移から考えても、豪ドルやキウイが買われ上昇が長期化すると想定している。

ただ米ドルの10年債利回りの上昇が素直にドル買いに結びつく通貨ペアがある。

それは米ドル円。

米10年債利回りが1.00%を超えて急騰しても、円金利は引き続きほぼ0 %であるため、 こちらでは米ドルが買われ、米ドル円を押し上げる要因となる。

そしてもうひとつ米ドル円の上昇を支える要因となっているのが、菅首相のコメント。

菅首相は、衆院予算委員会での答弁において、「米国の株価とか、わが国の株価とかも見るが、基本的に為替について私自身は注視している」とコメント。

ここで今年の米ドル円相場をふりかえってみると、米ドル円が円高に傾き102円ミドルまで下げたのが1月6日。翌1月7日の103.20円レベルでは三者会合(財務省・金融庁・日銀)の報道が飛び出し円高を阻止。

その後2月初旬に「マイナス金利の深堀り」という報道が流れた時も、104.50円を割り込み、米ドル円が再び円高に傾きそうな局面であった。

つまりマーケットが円高に傾きそうになると、当局から「円高牽制コメント」が続くことは偶然ではないのではないか?との見方ができるわけだ。

結果、円高にふれると本邦当局からこういうコメントが続くと想定すると、米ドル円のdownsideは限定的になるのではないかと考える事ができる。

(最近ユーロドルもユーロ高にふれると、ECBからのユーロ高牽制コメントがでている)

加えて米ドル円が正の相関性を示す米10年債の利回りが1.30%を超えて上昇を続けると仮定すれば、米ドル円は底堅いだけではなく、上昇することになる。

添付図はYJFX MT4による米ドル円と豪ドル円の日足。今年に入り、豪ドル円上昇の動きに米ドル円の上昇の動きが加わっていることがわかる。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

一方、AUDUSDは米10年債利回りが上昇しても、それ以上にオーストラリアの10年債利回りが上昇するため、AUDUSDの上昇トレンドも変わらず。

豪ドル円は米ドル円とAUDUSDの掛け算で形成される通貨ペアであるため、AUDUSDとUSDJPY(米ドル円)ともに上昇継続ということであれば、豪ドル円の上昇トレンドは変わらない。

次に豪ドル円のチャートポイントを確認するために添付したのが豪ドル円の月足。

(Bloombergより筆者作成)

過去10年間に渡っての豪ドル円の高値は105.43円(4月/2013年)

安値は59.91円(3月19日/2020年)

この50%戻しは82.67円。

そのため、82円ミドル付近をクリアに抜くには多少時間はかかると想定していたが、2月19日のNY市場での豪ドル円のクローズは82.95円と、この50%をブレイクしつつある。

このため、このレベルをクリアに上抜けると豪ドル円の次のターゲットは90円ということになる。

米10年債利回りの上昇と、本邦当局の円高抑制スタンスにより底堅く推移している米ドル円。

一方、過去の当コラムで連続して取り上げている資源国としてのオーストラリアのファンダメンタルズは変わらず。そして米10年債利回りを上回る上昇を示すオーストラリア国債の利回り上昇もあり続伸するAUDSUD。

結果、90円に向けて続伸する豪ドル円の行方に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2021年2月24日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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