スペシャル・トレンドレポート

ポストコロナは豪ドルに注目!
鉄鉱石の急騰、そして水素燃料関連も買い材料に90円に向け上昇中。

2020年12月23日

1)3月19日前後からポストコロナは始まっている!GoldやNasdaqは安値から急反発、注目は鉄鉱石急騰に追随して続伸する豪ドル!

本稿執筆時点(12月20日)で、今年もわずか10日あまり残すところとなった。

メディアでは来年の「相場展望」についての話題が多くなっている。

本レポートでもポストコロナに焦点を絞って注目通貨を探っていこうと思う。

COVID-19 ショックにより、globalに株や主要通貨、そしてcommodityがボトムアウトしたのが3月19日前後。そこで3月中旬から主要通貨の中で対米ドルでの上昇率の比較が下記の図となる。

出所 Bloomberg

対米ドルで32.72%も急騰している主要通貨は豪ドル。次はノルウェークローネ。

円が対米ドルでわずかに7.37%しか上昇していないのと比較すると、対円通貨ペアである豪ドル円が急騰しているのがわかる。

この図の起点を3月19日にしているのは、このレポートでもなんどかご紹介したように3月19日がポストコロナの起点だと考えているためである。

3月19日はRBAが利下げに踏み切った日であり、AUDUSDで0.5510の安値をつけた日である。

豪ドル円が60円割れの59.91円の安値に到達したのも3月19日になる。

他通貨も同様で、ポンドドルが1.1412の安値に急落したのが、3月20日。

124.09円という安値にポンド円が急落したのが3月18日。

通貨のみならず、Goldが安値の1,451ドルに到達したのが3月16日、Nasdaqが6,631ドルの安値に急落したのも3月23日。

つまり、ほぼ同時期に相場が底を打っていて、3月19日がgame changeの日だったということがわかる。

では、なぜ他通貨に比較して豪ドルが最も急騰しているのか?

その理由のひとつは、オーストラリアがCOVID-19からいち早く回復した事。

下記の図は、オーストラリアの新規感染者数。

この図(12月20日現在)では、新規感染者数が合計10人となっているため、オーストラリアでは新規感染者がゼロではないという指摘もある。

ただこの図で見て取れるように新規感染者の10人全てが空港で見つかっており、市中に流れていないため実質的に新規感染者がゼロだといえる。

加えて、南半球のオセアニアはこれから夏に向かういい季節となり、Covid-19からはほぼ回復したと言えるのではないか?

ただそれはお隣のニュージーランドも同様であり、新規感染者はゼロで季節は夏にむかう。

ではなぜ豪ドルだけ対ドルで33%もの急上昇ができたのか?

それは鉄鉱石の急騰。

添付図は鉄鉱石とAUDUSDの日足のチャート。オレンジ色がAUDUSDで、白色は鉄鉱石。

出所 Bloomberg

鉄鉱石とAUDUSDは極めて高い相関性を示しており、鉄鉱石の急騰とともにAUDUSDが続伸しているのがわかる。

この鉄鉱石の急騰の要因は中国経済の急回復。

中国の新規感染者数の数字に関しての信頼性を指摘する向きもあるが、新規感染者数の急増に苦しむ欧米諸国と比較すると中国経済がCOVID-19から急速に回復し、経済が回復過程に入っているのは間違いないところ。

中国のような新興国の経済が回復する過程では、インフラ整備のために鉄鉱石の需要が高まる。

ただ現在は、中国とオーストラリアの関係が悪化している。

それでも中国がオーストラリアの鉄鉱石を必要としていることには変わらないので、鉄鉱石価格の上昇が豪ドルを押し上げる要因である事も変わらない。

2)オーストラリアと日本はH2(水素燃料)の未来に向けた連携を強化!豪ドルの上昇は続く

今月に入り、筆者とオーストラリアのAsset Managementに勤める友人とのトピックは、水素を介しての、日本とオーストラリアの関係。

少々長期の話になるが、オーストラリアと日本が水素燃料の未来に向けて連携を強化という報道が増えてきている。

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オーストラリア/日本:水素燃料の未来に向けた連携

2050 年までに水素を主要の動力とすることを国家として目指している日本は、その協力をオーストラリアに求めている。

Forbes 誌によると、オーストラリア自身も石炭の輸出に依存している状況から抜け出すことを望んでおり、同国の鉱山で取れる低品位炭を水素に変換し、液化させて日本に輸出する形で両国が協力し合うクリーンエネルギー政策は、彼らにとっても恩恵となる。

オンライン雑誌 The Diplomat によると、日本は 2025 年までに 20 万台、2030 年までに 80 万台の水素自動車を走行させる目標を掲げている。

日経アジアンレビューのウェブサイトによると、2019 年 12 月、日本は、液体水素を輸送するために設計された最初の運搬船を発表した。ビクトリア政府のウェブサイトによると、その船は 2021 年にオーストラリアのビクトリアのヘイスティング港へ向けて最初の商業航行を行う。ビクトリアは、日本企業のコンソーシアムがオーストラリア初の水素液体化工場を建設している場所である。

2019 年 11 月に公表されたオーストラリアの国家水素エネルギー戦略によると、水素の輸出は、2040 年までに約 27 億 USドルの経済的な利益をもたらし得る。

さらに、他の水素製造プロジェクトも、世界中で進行中である。オーストラリアの報告によると、韓国も同様に、水素資源の活用を推し進めることに関心を持っているという。

出所 Indo pacific defense forum

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先日来日したオーストラリアのスコモ(Scott Morrison)首相の来日の目的は、菅総理と「中国に対し、日本と連携する」というトピックが主眼なのだが、この「水素燃料に関しての連携」を確認するという目的もあった模様。

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モリソン首相、水素開発で日本と連携強化へ

オーストラリアのモリソン首相は17日、訪問先の東京で、水素をテーマとするラウンドテーブル会議で日本の財界幹部らとの協議に参加し、2050年までの実質排出ゼロを目指す日本との水素開発での連携を確認した。また、西オーストラリア(WA)州やクイーンズランド(QLD)州、南オーストラリア(SA)州の再生可能エネルギープロジェクトも日本の排出削減目標に貢献できるとしている。

石炭や液化天然ガス(LNG)の主要輸出相手国である日本が実質排出ゼロ目標を示したことは、オーストラリアの資源輸出に大きな影響を与えることになり、これに代わるものとして水素はオーストラリアにとって将来的な輸出機会の鍵を握る。

参加した財界代表者は、日本の排出削減目標は「経済、エネルギー、環境の3E」を主軸としており、水素エネルギーによる排出削減に向けては、コストと安定した供給が鍵となるとした。

モリソン首相は、「日本との戦略的パートナーシップは幅広い要素を有しているが、両国経済の課題や成長に向けて共に取り組むことができるのが強みだ」と述べた。川崎重工業が中心となって進めているビクトリア州の水素プロジェクトや、三菱重工業が進めるSA州の「グリーン・アンモニア」プロジェクトなどを挙げ、日本の目標実現に向け協力したい考えを示した。

出所 アジア経済ニュース

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グリーン水素に関しては、下記の日経の記事が詳しい。

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豪、「グリーン水素」輸出へ 官民で石炭依存脱却

再生エネ使い年産175万トン計画

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67219570Q0A211C2FFE000

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ここまでの水素の話題は、かなり長期に渡るプロジェクトであるため、直近のマーケットに大きな影響があるわけではない。

ただ為替への影響を考えれば、オーストラリアは「水素の生産者」、日本は「消費者」という立場になるため、豪ドル円の買いということになる。

グリーン水素の件はオーストラリアの友人もこれから研究するといっており、僕も全くの素人である。ただ日本のエネルギー問題のテーマは水素になったようで、その供給者はオーストラリアになるようなので、僕も少しずつ勉強しようと思う。

今年、このレポートで頻繁に取り上げてきた豪ドル。

今回は、中国からの需要と思われる鉄鉱石の急騰による豪ドルの上昇。

加えて、オーストラリアと日本はH2(水素燃料)の未来に向けて連携を強化するというのも、ポストコロナのテーマのひとつではないかと考えている。

そしてそれによって、豪ドルの上昇が続くという見方は変わらず。

90円に向けて続伸中の豪ドルの行方に注目。

今回のYJFXのレポートが本年最後です。

本年も大変お世話になりました。

良い年をお迎えください。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2020年12月23日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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