スペシャル・トレンドレポート

ワクチン開発の株高でも円安にはならず、 ドル円は100円へ

2020年11月25日

1)ワクチン開発進展報道により株急騰、NYダウは30,000ドル、日経平均は26,000円へ

今年最大のイベントであった米大統領選はバイデン氏の勝利で終了。

(本稿執筆時点ではトランプ大統領は敗北を認めていないため、実質的に終了ということになるが。)

この時点では、バイデンラリーと称し、「上院を共和党が取るねじれ議会」のほうが、「*トリプルブルー」よりも株にpositiveだろうとの思惑で、米株は底堅く推移していた。

(*トリプルブルー=大統領、上下両院とも民主党がとること、民主党のシンボルカラーはブルー)

ところが、11月9日の日本時間の20時頃、米大統領選の結果以上にマーケットが待ち望んでいたnewsが飛び込んできた。

それはワクチン開発の報道。

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米ファイザーがドイツのビオンテックと開発している新型コロナウイルスワクチン候補は、数万人が参加した治験で90%を超える確率で感染を防いだ。暫定結果が示した。

ファイザーの株価は米時間外取引で約7%上昇、ビオンテックの米国預託証券(ADR)は約11%高となった。

出所 Bloomberg

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このファイザーのワクチン開発報道を株式市場は好感。

「グロース株からバリュー株へ」という強烈な資金移動はあったのだが、総じて、米株は急騰。

マーケットでは、ワクチン開発の進展報道があれば、強烈なrisk onになるだろうというのがコンセンサスだったため、株価の急騰は当然の反応。

日経平均先物は一時25,900円まで爆騰。
NYダウも29,933ドルと30,000ドル目前まで急騰。
リスクアセットの豪ドル円は一時77.00円へ上昇。
米10年債利回りも一時1.00%近くまで反発。(つまり債券売り)

この一連の動きは、ドル円にとっての好材料でもあり、ドル円は、103円ミドルから105.65円まで一気に反発。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

マーケットでは翌週に「モデルナ社」のワクチン開発の報道も控えているとの思惑もあり、ドル円は当面上値を探る展開だと思われた。

ところが数日間、ドル円は上値を追う展開が続いたものの、金曜日には104円ミドルまであっさり反落している。

では、ワクチン報道を受けての米株や日本株の上昇も一時的でしかなくその後反落しているのかといえば、株は高値圏で推移している。

特に世界のバリュー株といわれている日本株は堅調で、日経平均先物は一時26,210円まで急騰。

それにも関わらずドル円は反落。

この株急騰というrisk on 環境の中、ドル円が反落したことはマーケット参加者にGame changeはすでに始まっているという認識を深める事になる。

つまり、株高でも円高になるという「新しいゲームのルール」ということである。

こうした中、マーケットは翌週(11月16日〜)のマーケットを迎える。

2)米株、日本株が急騰しても、米金利が反発しても、年金が買ってもドル円は上昇せず

11月16日からのマーケットでは週初からモデルナのワクチン開発の進展報道が飛び出すのでは?との噂がマーケットに流れていた。

加えてその報道は先週同様、月曜日(11月16日)ではないか?との憶測がマーケットのコンセンサスになっていた。

結果はマーケットの思惑どおり、月曜日に「モデルナのコロナワクチン、94.5%で効果」との報道が飛び出し、ドル円は急騰。

ただ今回は先週のファイザー報道を受けてのドル円の反応を確認していたので、多くの参加者はモデルナ報道で仮にドル円が反発すれば、ドル円の売り場として認識していたので、ドル円は105.13円を高値に反落。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

筆者も105.10円でドル円のshortを追加と自身のメルマガで配信している。

その後のドル円はあっさり値を下げ、本稿執筆時点では、節目の104.00円を割り込み、103.75円レベルで推移している。

ここでもう一度ドル円の動きを確認するとファイザー報道を受けてのドル円の高値は105.68円。

モデルナ報道を受けてのドル円の反発は105.13円止まり。

マーケットが大きな期待を抱いて待っていたワクチン開発報道でもドル円は一時的に値を上げるのみで、結局反落している。

ここで、ワクチン以外の材料に視線を移すと、今月に入ってのドル円は、好材料が多い中、値を下げているのが特徴。

NYダウが30,000ドル近くまで上昇し、日経平均が26,000円台にのせるというrisk on環境でもドル円は上昇せず。

一方、米10年債利回りが一時0.97%と1.00%近くまで上昇しても上値を伸ばせず。

前述のようにワクチン開発報道を受けての反発も単に「売り場」提供で終わっている。

加えて、今年に入ってずっとドル円を支えてきた本邦の年金と思われる巨額のドル買い注文も104.00円を支えきれず割り込んできた。

つまりこれだけ好材料が揃ってもドル円は上値を切り上げられなかったといえる。

ワクチン報道とは別に、足元を確認すると米国の感染者数は増大しており、1日としては過去最悪の19万人を超えてきた。

そして、カリフォルニア州で夜間外出禁止令がだされている。

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米カリフォルニア州のニューソム知事は新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるため、州民のほとんどを対象とする夜間外出禁止令を発動すると発表した。感染第3波が勢いづいているとの危機感が背景にある。

州知事オフィスの19日の発表文によると、感染が急増している郡では生活に必要不可欠ではない仕事や集会のための外出が午後10時から午前5時まで禁止される。州民の94%が対象となる。今週21日から12月21日まで実施する。

州当局はこの数日間、旅行を控えることや「感謝祭」の集まりの規模縮小や取りやめを州民に呼び掛けていた。

ニューソム知事は19日、新規感染件数の増加ペースが7月時点より加速しているため、より思い切った措置が必要になっていると説明した。

出所 Bloomberg

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感染者の深刻化はカリフォルニアだけではない。

米国の病院では人員不足に悲鳴をあげているところが増えてきている。

米国では新型コロナ感染者による病床占有率が17日に11.8%と、4月12日以来の高水準になったとのこと。

そしてドイツの部分的ロックダウン(都市封鎖)は、12月に入ってもしばらく続く模様。

ドイツ当局者は現行の制限措置を延長し、年末年始の休暇時期の少し前に緩めることを目指していると、事情に詳しい関係者が明らかに。

それはカナダでも同様でカナダ当局は、追加措置を講じなければ感染が急増すると警告。

このように米国で感染者が急増する環境下、米株の上昇が続くのかどうかは不明。

ワクチン報道のような好材料でもドル円の上昇は一時的だったので、仮に株が反落すれば、ドル円の下落が加速する可能性が高まっている。

日米の株高、米金利高、そしてワクチンの開発進展報道と、好材料満載にも関わらず、104円台を割り込んできたドル円。

年末に向け株の調整の可能性も高まり、100円へ向け値を下げるドル円の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2020年11月25日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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