スペシャル・トレンドレポート

Gold急騰の裏にバフェット氏あり!~豪ドル続伸、AUDドルは変わらず 0.8000への上昇過程~(西原 宏一氏)

2020年8月26日

1)金利を求め日本勢も豪ソブリン債への投資増。

AUDドルは、本レポートで注目の通貨ペアとして今年は頻繁に取り上げている通貨ペア。

ここでAUDドルの値動きを確認すると、3月19日に今年の安値である0.5510から6月には0.7063まで急騰。これは、わずか3ヶ月で28%急騰である。

米ドル/円で例えるなら、3ヶ月で100円が130円になった事になる。今回のAUDドルが強烈な急騰だったといえる。

この急騰要因として、日本の機関投資家の動向が挙げられる。

米10年債金利は、昨年11月には1.97%で推移していたが、新型コロナに対処するためFRBは今年の3月に1.5%の利下げを実施し、大規模な緩和を行った。またドルが不足する新興国に対してはFRBが最後の貸し手となりドルを供給。このため米債金利は今年3月には0.31%まで急落。

米金利の急低下というマーケットの環境下、多くの日本の機関投資家は、有望な投資先を見つけられず、困難な状況にあった。

ここで彼らが注目したのが、豪ソブリン債。

オーストラリアは大手格付け3社がいずれもトリプルAに格付けする数少ない国の1つで、経常黒字国であるうえ、食料自給率も100%を越えていて、国際流通が止まりかけた新型コロナ禍において強い国と考えられている。

加えて、新型コロナショックにより、主要国の中央銀行が金融緩和して市場から金利がなくなる中、オーストラリアの10年債の利回りは0.81%レベルで推移。米債金利より豪ドル債金利の方が高くなり、魅力的な投資先なった。

この米豪の利回りの差に注目した日本の機関投資家は、5月に豪ソブリン債を6,459億円取得。これまで最高額だった2015年2月の3,439億円を倍近く上回り、2014年開始の現行統計下で最大の購入額となった。さらに、続く6月も3,608億円と巨額で、これは過去2番目の高水準を維持。日本の機関投資家の豪ソブリン債購入が目立っている。

こうした日本の機関投資家の豪ソブリン債取得は為替市場にも大きく影響しており、AUDドルをわずか3ヶ月で28%急騰させた要因のひとつとしてあげられる。

その後AUDドルは、3月19日安値から30%近く暴騰した後、6月10日高値を付けてから下げ、調整の動きとなった。上昇率が急激だったので、AUDドルに強気のスタンスを崩さない筆者ですら、調整が始まれば、ある程度の値幅を伴って調整すると想定していた。ところが、AUDドルは大きな下落とならず、6/15安値までの300pipsほどのレンジへ移行。このレンジは約1ヶ月続くが、7月半ばから再び上昇を開始した。

この上昇の背景にあったのがGoldの急騰。

2)バリック・ゴールドとは? 金鉱株急騰の裏にバフェット氏あり。

この夏マーケットの注目を集めたのがGoldの続伸。

Goldは3月安値の1,451ドルからほぼ一貫して上昇し、8月7日に一時2,075ドルの高値まで到達。

添付図はGold日足。

この間、わずか5ヶ月で一気に40%上昇したことで、メディアの注目を集めた。

そして、そのGold急騰の背景には米国金鉱株の上昇があげられる。

米株市場では、今月(8月)に入ってバリック・ゴールドをはじめ、ニューモントやキンロス・ゴールド、ハーモニー・ゴールド・マイニングなど金鉱山株が急伸。

添付図はバリック・ゴールドの株価の推移。

バリック・ゴールドは3月の12.65ドルの安値から8月18日の高値である31.22ドルまで急騰。わずか5ヶ月で約2.5倍に暴騰しており、その上昇は凄まじいものがある。

この金鉱山株の暴騰の裏には、ご存知ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオにバリックを加えたことが影響しているようだ。

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金鉱株が軒並み上昇、バフェット氏のバリック組み入れを好感

17日の米株式市場でカナダの金鉱山大手のバリック・ゴールドの株価が急伸し、2013年2月以来の高値を付けた。終値は11.6%高の30.13ドル。

著名資産家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイがポートフォリオに同社を加えたことが好感された。

当局への14日の届け出によれば、バークシャーは6月末時点でバリック株を2090万株保有。17日の米株市場では、ニューモントやキンロス・ゴールド、ハーモニー・ゴールド・マイニングなど他の金鉱株も軒並み上昇した。

バークシャー、銀行株保有減らし産金のバリックに新規投資-4~6月

バフェット氏は過去、金への投資について、農場や企業と違って生産性がないことを理由に注意を促していた。

カナダの金鉱会社フォスタービル・サウス・エクスプロレーションのブライアン・スルザーチャック最高経営責任者(CEO)は「バフェット氏の金鉱株投資は明らかに非常に興味深いことであり、一般的な関心も少し高まるだろう」と電話インタビューで述べた。

出所 Bloomberg

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まず事前にご承知おきして頂きたいのは、そもそもバフェット氏はGoldが嫌い、ということ。

バフェット氏はGoldが嫌いで「金の塊は腰掛くらいにはなるんじゃないか?」とまで言い放ったと言われている。

その金嫌いのバフェット氏が、金鉱山株の代表ともいえるバリック・ゴールドに投資したことがマーケットに驚きをもって迎えられたわけである。

では、バフェット氏の金鉱山株への投資がなぜGoldの上昇に大きく寄与するのかを検証してみよう。

ウォーレン・バフェット氏といえば、2016年以降、アップル株を積極的に買っていることでも有名である。

2016年当時のappleのイメージは「好調だったiPhoneの売れ行きが頭打ちとなり、apple株の神話も終わりか?」と言われていた。長年のMac userの筆者ですら「今さらapple株か?」と思ったほど。

しかし、その後apple株は急騰し、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオで最大の比率を占めるまでになった。彼が投資の神様と呼ばれる所以のひとつともいえるエピソードである。

そのバフェット氏が今年、大嫌いな金鉱株へ投資したということは、2016年からのapple株の急騰のように、今後goldも有望な投資先として急騰するのではないか?という思惑が金融関係者の間で拡散していった。

Goldの急騰は、為替市場では、米ドルの軟化要因。米ドルとGoldは逆相関の関係にあり、Goldが上がれば米ドルは下げ、米ドルが上がればGoldは下げやすくなる。

米ドルが売られるため、ユーロドルは一時2年ぶりの高値である1.1966まで上昇。(つまり米ドル下落)。まさにGold上昇で米ドルが売られ、ユーロドルが上昇したわけである。

米ドルを通じて為替市場にも影響するGoldの動きだが、Goldの上昇とともに、ユーロドル以上にじわじわと値をあげている通貨ペアがある。

それが今回のレポートの主題である、AUDドル(AUDUSD)

3)2021年にもオーストラリアは世界一の産金国となり、goldの上昇とともにAUDドルも0.8000への過程。

GoldとAUDドルは正の相関性をみせることが頻繁にあった。Goldが上昇すれば、資源国通貨でもある豪ドルは買われややすいという関係である。

ただ2018年に米中貿易戦争が拡大する中、上海総合指数の下落に連れ、AUDドルはその下落に追随する局面も多く見られた。

今年の3月までAUDドルは、そうした「リスクアセットとしてのAUDドル=株安、豪ドル安」としての動きをみせていたが、その後そうした関係性は徐々に薄れてきた。

一方、近年オーストラリアの金の産出量が拡大しており、現在は中国に次いで世界2位。業界関係者によると、早ければ来年2021年にも世界一の産金国になるのではとのこと。

こうした流れから再びゴールドとAUDドルの相関性が強まっているようだ。

結果、このところのGoldの暴騰は、AUDドルを押し上げる要因となっている。

さらにオーストラリア経済は、昨年第2四半期に1975年以来44年ぶりに経常黒字化しており、現在、AUDドルを取り巻く環境は極めて良好。AUDドルは調整の動きがあっても上値は拡大していると想定している。

ここでAUDドルの週足で、テクニカルのポイントを探ってみよう。

添付図はAUDドルの週足。

(YJFX MT4より筆者作成)

本稿執筆時点でのAUDドルの200週移動平均線は、0.7255に位置している。

約4週にわたり、200週移動平均線がAUDドルの上値を押さえているが、前述のような要因から上値余地が拡大しているAUDドルは今回このレジスタンスを抜けると想定している。

加えて、米ドル自体の弱さも相まって、AUDドルは0.8000への上昇の過程にあると考えられる。

豪ソブリン債への積極的な資金流入、バフェット氏の動きが金鉱株を底堅くしGoldも急騰、加えて早ければ来年2021年にも世界一の産金国となるオーストラリアの現状を見ると、テクニカルから短期的に200週SMAが位置する0.7255を抜くのに一定の時間を要するが、AUDドルはGoldの上昇とともに、依然0.8000の上昇の過程にあると考えている。

急騰するGoldとAUDドルの行方に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2020年8月26日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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