スペシャル・トレンドレポート

豪ドル円に続いてユーロ円も失速、米ドル円は100円への下落の過程に(西原 宏一氏)

2020年6月24日

1)クロス円上昇を主導してきた豪ドル円が失速

今月の為替市場の主役は豪ドル円。

2020年初頭から、筆者は一貫して豪ドル円反発の可能性をこのレポートで解説してきた。

実際のマーケットは、新型コロナウイルスによる株急落の影響で、3月中旬までの豪ドル円は値を崩す展開だったが、3月19日のRBA金融政策決定会合以来、豪ドル円は急反発。

3月19日の59.91円という安値から上昇を開始した豪ドル円は、一気に節目の70円をも超え、一時76.78円という高値まで急騰。

この豪ドル円の急反発の要因は、米株の上昇という要素が大きいのだが、グローバルに投資資金がオーストラリアに集まっているという報道も見過ごせないところである。

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米投資家がオーストラリアのETFの底堅さに寄与している。

4−6月期に入って、米国の投資家はスイスを除くどこよりもオーストラリアに注力するファンドに資金を入れている。

Bloombergのまとめによれば、オーストラリアへの純流入のうち約1.82億ドルが米国籍のファンドから流れている。

バンエック ベクターズオーストラリア不動産ETFには大量の資金が流れ、顧客からの問い合わせが殺到している。

出所 Bloomberg

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ただ、筆者は先月のレポートから豪ドル円の失速を指摘。

その要因は、米株の反発という材料以外に表だったオーストラリアにいいニュースがあるわけではないのに、マーケットは極端に豪ドルに対して、強気のトーンに変わってきたからである。

前述のBloombergの記事にあるように、「オーストラリア不動産ETFには大量の資金が流れ、顧客からの問い合わせが殺到している。」という言い回しはちょっとしたバブルを連想させる。

結果、6月8日の76.78円を高値に豪ドル円は急反落。

6月18日の週は、73.05円と高値から4円近く急落して終えている。

これで、豪ドル円はいったん調整局面入。

そしてこの局面で豪ドル円以上に筆者が注目している通貨ペアがある。

それはユーロ円。

2)ドイツテレコムによるソフトバンクのTモバイル株買取の可能性が高まり、ユーロ円は急落、ドル円は100円への下落の過程に

今月初旬のユーロ円は豪ドル円の反発の影響もあり、120円台を回復。

一時124.43円まで急騰している。

(YJFX MT4より筆者作成)

ところが、欧州において新たなnegative要因がでてきたわけではないが、ユーロ円は急反落。6月第3週のユーロ円は節目の120円をあっさり割り込み、119.46円で引けている。

マーケット関係者の間では下記の報道がユーロ円を大きく押し下げたのではないか?との思惑が拡大。

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ドイツテレコム、ソフトバンクのTモバイル株を買取で協議=CEO

独通信大手ドイツテレコムのヘットゲス最高経営責任者(CEO)は19日、ソフトバンクグループが保有する米携帯電話サービス大手TモバイルUS株式の買い取りに向けて協議していると明かした。

同社の年次総会で、ソフトバンクが「経営環境から生じる流動性ニーズの高まり」を理由に株式売却を求めていると述べた。

Tモバイルによるスプリント買収完了時に発効した4年間の株主契約に基づき、Tモバイルの支配権維持のためにドイツテレコムに優先購入権があるという。

出所 ロイター

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マーケット関係者によると、この案件が実現すると最大2兆円もの円買いがマーケットに投入される可能性があるとのこと。

実際、今月ユーロ円が124円台に急騰した局面では、本邦勢から巨額のユーロ円の売りがマーケットに投下されていたとの噂が出回っており、この案件に絡む円買いというのはすでに始まっているとするマーケット参加者もいる。

このユーロ円急落の動きに素直に追随したのが、米ドル円。

(YJFX MT4より筆者作成)

ユーロ円が124円台まで反発する局面で、米ドル円も一時109.85円まで上昇するも、ユーロ円の急落に呼応し、米ドル円もあっさり106円台まで値をくずした。

この局面でもうひとつ重要な点は、Nasdaqが最高値を更新するという急反発を演じた米株の上昇に、米ドル円がほとんど反応しなかったことである。

通常米ドル円はrisk onの相場の流れの中で、上昇する傾向が強いのだが、今回の米株の急反発は米ドル円をほとんど押し上げられなかったことになる。

一方、米ドル円は株安という要因には極めて高い反応を示す傾向がある。

結果、今回のような米株の反発に追随できなかった米ドル円は、上昇余地は極めて限定的である反面、下値余地は拡大しているといえる。

加えて、米国の政治情勢も不透明感が強まってきている。

18日の米国市場では、トランプ大統領に解任された前国家安全保障担当補佐官であったボルトン氏が発売予定の本にマーケット参加者の関心が集中。

ボルトンはこの著書で、「トランプ大統領は、中国の習国家主席に対し、米国産農作物の大量購入で自分の再選を支援するよう「懇願」していた」と暴露した模様。

トランプ大統領は、今週、安全保障上の問題を理由にこの本の出版の差し止めを求めて、訴訟を起こしているようだ。

こうした話題は、再選を目指すトランプ大統領にとっては不利な展開であり、マーケットではトランプ大統領の再選の可能性が低下するに連れ、米株の上値は重くなる。

11月に大統領選挙を控え、今後もトランプ大統領の再選を阻止しようとする様々なニュースが今後も出てくる可能性があり、これらは政治情勢の不安定と株価の重しとなる。

こうした環境下における米ドル円は、上値余地がじわじわと限定的となる傾向がある。

つまり、リスクオフ。

ただ米ドル円の上値は重いものの、104円~105円台は強力なサポートになっており、そのレベルを割り込むのに一定の時間はかかりそうだ。

マーケットが104.00円をクリアーにブレイクできれば、米ドル円は再び100円台に沈む可能性が高まると考えている。

ドイツテレコムによるソフトバンクのTモバイル株買取協議との思惑で下値余地が拡大しているユーロ円。

呼応して、100円台への下落の過程にある米ドル円の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2020年6月24日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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