スペシャル・トレンドレポート

『合意なき離脱の可能性高まる』 ~ノーディール・ブレグジットならポンド米ドルはパリティへ?ポンド円は125円へ~

2019年7月31日

1)GPIF、為替リスク回避取引を開始したとの報道で、円高圧力が拡大

本稿執筆時点では、7月31日のFOMCでの50bpの利下げ予想は16.5%程度に下がっている。ただ、25bpの利下げは100%織り込んでいる展開。

加えて来年の夏頃までにFF金利は1.50~1.75%程度に引き下げられるのではないか?という米金利先物市場の予測のもと、米ドル円の上値は徐々に限定的になっている。

本邦輸出企業が米ドル円でのドル売り注文を109円台まで下げはじめているとの噂もあり、110円台も徐々に遠くなってきた。

ただ米ドル円は下値もなかなか割り込めず、このところは107円~109円のレンジを形成しており大きく動けない展開。

一方他通貨に対しては円高が進行しており、ユーロ円は7月26日に一時120.05円まで急落。

ユーロ円は本年1月3日のフラッシュ・クラッシュで到達した年初来安値の119.86円ブレイクに向けてじわじわと下落中。

このユーロ円の下落は、ユーロ米ドルの続落が影響している。

米国ではFOMCが中立から緩和へとシフトすることがコンセンサスとなっているが、欧州でもECBが極めてハト派なスタンスをとっていることがユーロ米ドルをじり安の展開にさせている要因となっている。

7月25日のECB理事会でのドラギ総裁は、少なくとも2020年上期中は金利が現行「またはそれ以下」の水準にとどまると表明。加えて量的緩和を再開する計画や、日銀のように金利階層化の選択肢も検討するともコメント。

さらにドラギ総裁は、欧州の景気見通しは悪くなる一方だと述べ、大規模緩和の必要性を示唆。

こうした背景がユーロ米ドル同様にユーロ円の上値を重くしている。

一方、本邦サイドからもユーロ円の下値余地を拡大させる報道が飛び出している。

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GPIF、為替リスク回避の取引開始 外債1兆円超

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が外国債券での資金運用で、為替相場の変動に伴う損失を回避(ヘッジ)する取引を始めたことが分かった。対象は米ドルとユーロ建て債券で、3月末時点の残高は約1兆3千億円に上る。市場の「クジラ」と呼ばれる巨大な機関投資家が同取引を大幅に増やすことになれば、為替相場に影響を及ぼす可能性がある。

出所 日経新聞

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こうした報道もユーロ円の上値を抑えることになり、ユーロ円はフラッシュ・クラッシュで到達した年初来安値の119.861円をブレイクして下値を拡大する可能性が高まっている。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

そしてユーロ円と同様にフラッシュ・クラッシュの安値に向けた動きで続落しているのがポンド円。

2)英国ではEU強硬離脱派のボリス・ジョンソン首相が誕生~「ノーディール・ブレグジットならポンド米ドルはパリティへ、ポンド円の下値余地も大幅に拡大

7月23日にイギリス保守党の党首選挙結果が発表され、マーケットの予想どおりEU強硬離脱派のボリス・ジョンソン氏が党首に指名された。

これでボリス・ジョンソン氏が24日にイギリス新首相に就任。

ボリス・ジョンソンが英首相に就任した時のスピーチでは、「合意なき離脱が唯一の道ならばそれに向け準備を進める、そして英国民は十分待った、行動する時が来た」と強硬な意見を披露。

そしてEU離脱支持派の人材を閣僚に登用している。

ドミニクラーブ前離脱担当相を外相及び事実上の副首相に指名。サジトジャビド前内相が財務相。内相には離脱強行派のプリティパテル氏、離脱担当相はスティーブン・バークリー氏を指名。

EU強硬離脱派であるボリス・ジョンソン内閣の誕生により、「合意なき離脱」の可能性が一気に高まり、ポンド円は一時133.85円まで急落。これはフラッシュ・クラッシュ時に到達した今年の安値である133.35円に向けあと50 pointsというレベルまで下落している展開。

そうした中、マーケットに驚きを持って迎えられたのが、米大手Morgan Stanleyの「合意なき離脱となれば英ポンド/米ドルはパリティ(1.00)へ」との予測である。

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ポンドは対ドル等価も視野、合意なき離脱は歴史的急落に-モルガンS

英国が合意なく欧州連合(EU)を離脱した場合、ポンドは対ドルでパリティー(等価)まで値下がりする可能性がある。米モルガン・スタンレーが予測した。

市場が危惧する合意なき離脱シナリオが現実となった場合、ポンドは歴史的な安値に下落する恐れがあり、そのリスクは高まっているとモルガン・スタンレーは指摘する。17日の外国為替市場でポンドは一時、1ポンド=1.24ドルを下回り、2年ぶり安値をつけた。次期首相を選出する与党・保守党党首選の候補者2人が、いずれもEU離脱への強硬な姿勢を鮮明にしたことが背景。秩序なき離脱となった場合、ポンド安はさらに深刻化し、1ポンド=1.00-1.10ドルまで下落する可能性があるとモルガン・スタンレーはみている

出所 Bloomberg

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「ノーディール・ブレグジットならパリティ」というのは2016年の英国国民投票から散々言い尽くされてきたが、その可能性が改めて現実味を帯びてきている。もちろんこの背景には、ボリス・ジョンソンがイギリスの新首相に指名されたためである。

ここで、イギリスの今後の政治日程を確認。

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7月26日=議会 夏季休会入

9月3日=議会 再招集

9月中旬〜10月初旬=議会党大会のため休会

10月17日〜18日=EU首脳会議

10月31日=EU離脱期限

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イギリス議会は現在すでに夏季休会入りしており、このスケジュールだと10月31日のEU離脱期限まで議会が議論する時間はほとんどなく、10月31日までに新たな合意形成をするのは極めて困難となっている。

ただボリス・ジョンソン首相は議会を休会して議会採決を取らずにブレクジットに向かうという手段をとるのではないか?との思惑もあり、「合意なき離脱」の懸念は高まり、ポンドは軟調な展開が続いている。

ポンド米ドルの週足チャートを見ると、21SMA、75SMA、200SMAが順番に下向きとなり下落の流れを示している。これは週足なので、比較的長い時間軸でも下落の可能性が高まっている。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

そして、ポンド円。

前述のように、ユーロ円でも円高が進行しているが、ノーディール・ブレグジット懸念の高まりからポンド円の下値余地も急速に拡大。ポンド円は125円にむけて下落する可能性が高まってきた。

ポンド円でも週足のチャートで確認すると、週足は21SMA、75SMA、200SMAが順番に下向きとなり下落の流れを示していて、これはポンド米ドルとほぼ同様の動きである。つまり、ポンド円も続落する可能性が高まっていることになる。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

EU強硬離脱派のボリス・ジョンソン首相誕生で、「合意なき離脱」と、それに伴うポンド円の下落に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2019年7月31日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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