スペシャル・トレンドレポート

FRBの連続利下げを織り込み「米ドル/円」は104円へ、 さらには100円台の可能性も。(西原 宏一氏)

2019年6月26日

1)米金利先物市場は米の政策金利の連続利下げを織り込み、「米ドル/円」は108.00円割れ

日本時間20日未明に開催されたFOMCはマーケットのコンセンサスどおり政策金利は据え置き。しかし「=patient辛抱強い」という文言は削除され、appropriate(適切)に行動する、つまり次回のFOMCでの利下げへの道筋がより明確になった。

さらに6月のFOMCでも50bp(50bp=50basis point=0.5%)の利下げを主張する連銀総裁もいるようで、米金利先物市場では次回のFOMC(7月31日)での利下げ織り込み度は100%になっている。

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ミネアポリス連銀総裁:0.5ポイントの利下げ求めた、FOMC会合で
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ポイントの政策金利引き下げを主張したと明らかにした。同総裁は今年のFOMC会合で議決権を持っていない。

カシュカリ総裁は同連銀のウェブサイトに21日掲載された論文で、「私は1.75-2%への50ベーシスポイント利下げ、およびコアインフレが持続的に当局目標の2%に達するまで再利上げは実施しないとのコミットメントを主張した」と記述。「インフレ期待を当局目標に再びしっかりと定着させるためには、このような積極的な政策行動が求められると確信している」と述べた。
出所 Bloomberg
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米金利先物市場では来月50bpの利下げ予測をしている参加者が、本稿執筆時点(6月23日)で28%にまで達している。さらに年内計3回、そして来年1回の利下げを織り込み始めている。
(添付図を参照)

(Bloombergより筆者作成)

出所 Bloomberg
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仮に今後4回利下げが行われるのであれば、現在の2.25~2.50%の政策金利が、1.25%~1.50%へと引き下げられることになる。つまり100bp(1.0%)下げられることになる。

このFOMCの結果を受け、米国債の利回りは短期物中心に大幅低下。
呼応して、米国株は続伸。
ドルは全面安。

過去数週間サポートとして機能していた「米ドル/円」の108.00円が下方ブレイクし、本稿執筆時点では107.05円まで下落。

2)4回もの米利下げの織り込みは米中貿易協議の行方に対する懸念か?「米ドル/円」は104円へ、さらには100円への下落

しかし、ここで筆者を含め多くのマーケット参加者は多少違和感を覚えている。
今現在、アメリカの景気は急激に失速しているわけではない。
アメリカの友人によれば、好景気が続いているとの意見が多数。
そしてFOMCの発表による米金利の大幅低下を受け、米株は高値圏で推移。

この環境下、米金利先物市場では、年内に3回、来年1回、トータルで4回の利下げを織り込もうとしている。

パウエル議長は会見で「予防は治療に勝る」とコメントしていることから、現在の米景気を維持するために予防的措置で利下げするのはわかるが、米金利先物市場が織り込もうとしている4回もの利下げをする必要があるのかどうか?

仮に4回もの利下げをする必要が生じるということは、今後のマーケットに大きな負荷がかかりFRBがそれに対処するという意味合いになる。
それは米中貿易協議が再び暗礁に乗り上げることを多くのマーケット参加者が懸念していると想定される。

では大阪で開催される6月のG20サミットでの米中首脳会談をマーケット参加者はどうとらえているのか?

一部のマーケット参加者は緊張関係が続く米中間で、首脳会談が開催されることに意味があるとし、株のサポートになると主張。

ただ米中首脳会談が開催されて、それをマーケットがpositiveにとってくれるのであれば、米中両首脳にとっても好都合。
なぜなら、首脳会談では何も目新しいものが出てこなくても、米中首脳会談を開催したという報道をマーケットがpositiveに取り上げ株の上昇を誘引することになり、経済を支えるためである。

しかし、会談内容に目新しいものがなければ、マーケットの期待もただの時間稼ぎにしかならない。

このような時間稼ぎは、中国にとっては好都合だが、来年大統領選挙を控えて結果を出したいトランプ大統領にとっては不満な展開となる。

となれば、結果として大阪G20での米中首脳会談で貿易協議になんの進展もないようだと、トランプ大統領は中国に対してさらに圧力をかけてくることが想定される。
それは米中貿易協議が再び暗礁に乗り上げることを意味し、株の反落を誘引することになる。

こうしたことから、前述の米金利の低下はドル安を引き起こし、株の反落はrisk off相場(円高)となる。結果、ドル安・円高が続くことになり「米ドル/円」の下値余地はさらに拡大。

添付図は「米ドル/円」の日足。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

今年の「米ドル/円」の高値は112.398円(4月24日)。
安値はフラッシュ・クラッシュで急落した時の安値である104.837円(1月3日)。
結果、これまでの今年のレンジはこれまでのところ、わずか7.561円幅。

FOMC後に到達した安値である107.048円(6月21日)は、高値の112.398円(4月24日)からほぼ2ヶ月で5.35円急落している。加えて107円台では本邦機関投資家が断続的にドル買いを持ち込んでいることで、「米ドル/円」相場はいったん下げ止まり。しかし、前述のような背景でドル金利がじり安となっている環境下では、「米ドル/円」の戻りは極めて限定的となる。
このため、「米ドル/円」はいったんの調整はあるものの、104円台への下落過程にあることは変わらないと想定している。今後、仮に株価の反落を伴えば、100円台へ急落する可能性も高まっている。

FRBの連続利下げが予測され、米金利が急低下する中、104円台、さらには100円台への下落過程にある「米ドル/円」の行方に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2019年6月26日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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