スペシャル・トレンドレポート

アイランドリバーサル発生で日経平均は軟調。「株安、円高」継続でドル円は105円へ(西原 宏一氏)

2019年5月29日

1)米中貿易交渉決裂=リスクオフへ

今月日本時間5月6日未明にトランプ大統領が「対中関税を25%に引き上げる」とtweetしたことをきっかけに、米中貿易交渉は決裂。米国からの圧力は中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の機器を米国市場から排除するという個別企業を対象にした規制に発展してきた。
この米国の対応に中国側も即座に報復を表明。

米中貿易戦争は過熱の様相を呈しており、マーケットは「株安、円高」のrisk off相場に突入。

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米グーグル、ファーウェイとの一部ビジネス停止=関係筋
米アルファベット傘下グーグルは、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)へのソフトの提供など一部ビジネスを停止した。関係筋が19日にロイターに明らかにした。
米政府がファーウェイへの事実上の輸出規制を決めたことを受けた。

これにより、ファーウェイはグーグルが開発する基本ソフト(OS)「アンドロイド」のアップデートができなくなり、同社の中国国外のスマートフォン事業に打撃が及ぶ恐れがある。
ファーウェイが今後新たに発売するアンドロイド版スマホはアプリ配信の「グーグルプレイ」が使えなくなり、グーグルプレイで提供されているメールソフトの「Gメール」、動画投稿「ユーチューブ」、ブラウザー「クローム」などのアプリが消滅する可能性がある。これらのアプリは無償公開されておらず、グーグルとの契約が必要となるためだ。
ただ、グーグルの広報担当者によると、同社のアプリが既に搭載されたファーウェイ製スマホの利用者は引き続きグーグルが提供するアプリをアップデートすることが可能になる。

出所ロイター

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報道によれば、ファーウェイを事実上貿易のブラックリストに加えた米大統領令を受けて、Googleが同社に対して自社サービスや技術サポートの提供及び協力の停止を検討しているとのこと。

つまりファーウェイにとってはオープンソース版のAndroidしか使用できないことを意味し、Googleが提供しているOSのアップデートやGoogle play store、Gmail, YouTube といったGoogle製アプリが利用できなくなる可能性が高まることに。

これはファーウェイにとってはかなり深刻な問題。

ファーウェイは「P30 pro」といった端末の人気が高まっているようですが、Googleが提供しているサービスを使えないとなると売れ行きは激減することになる。

ただファーウェイはスマホOSも独自で開発しているという噂もあり、その影響度に対する意見はわかれている。

5月21日の一部報道によれば、「アメリカ商務省は、中国の通信機器大手ファーウェイに対する事実上の輸出禁止の措置をめぐり、一部の取引を90日間は容認する」としている。

これにより、短期筋による株の買い戻しもみられたが、一連の報道はファーウェイにとって痛手であることは変わらないこと、そしてトランプ大統領の中国への強硬な姿勢も変わらない。

結果、米中貿易戦争は過熱。
risk off相場継続で「株安、円高」も継続と想定している。

2)再び離れ小島に取り残された日経平均=株価下落を示唆

リスクオフ相場となり、マーケットが「株安、円高」となる中、ここで日経平均のチャート分析してみる。

添付図は日経平均の日足。

(Bloombergより筆者作成)

2018年10月2日に24,448 円の高値に到達した局面(緑色四角部分)に注目。窓を開けてギャップアップした後、今度は窓を開けてギャップダウンして急落。
つまり、日経平均が24,448円に到達した局面(緑色四角部分)は「離れ小島」に取り残された高値となり、その後急落。
こうした「離れ小島」となっているチャート形状は「アイランドリバーサル」と呼称される。

*アイランドリバーサル(あいらんどりばーさる)

株価のテクニカルチャート(ケイ線、ローソク足)において、ギャップ(窓)を空けるように株価が上(または下)にジャンプした後に再度、下(または上)側にギャップを空けジャンプして戻る値動きをすることでできる離れ小島のように見える部分のこと。一般に、下落トレンドからの底入れや上昇トレンドでの天井にあたる相場の転換点として捉えられることが多い。

そして4月24日に到達した高値(紫色四角部分)にも同じアイランドリバーサルが出現。
令和相場に向けてギャップアップして上昇していた日経平均だが、5月8日はギャップダウンしており、この高値(=22,362円)も再び離れ小島に取り残された形になっている。

加えて、添付図のように日経平均株価は200日SMA(赤線)も割り込んでおり、この200SMAが上値を抑えている。

(Bloombergより筆者作成)

日経平均にアイランドリバーサルが出現する一方、米株も軟調。
NYダウは2018年1月、10月、そして今年の4月に26,000ドル台で高値をつけ反落。
これはトリプルトップとなる可能性を示している。

加えて、4月の米株相場は、ナスダックとS&Pが高値を更新。
しかしNYダウは高値を更新できず、これは弱気のサイン。
添付した、S&P500、ナスダック総合、NYダウの米株比較チャート(週足)を見て頂くと、NYダウだけが高値を更新できていないことが示されている。

(Bloombergより筆者作成)

結果、米株も日本株も先月から今月にかけてトップアウトした公算が高まっている。

こうしたチャートが示すように米株、日本株ともトップアウトして続落するのであれば、為替相場では「円高トレンド」が続くことになる。

3)米中貿易交渉決裂からの株安で、米国債利回りも急低下。米金利の低下もドル安の要因に。

米株と日本株がリスクオフから続落の動きを示すなか、米金利の低下も「米ドル/円」の上値をおさえ、「米ドル/円」は105円に向けて下落中。

前述の米中貿易戦争の過熱化に加え、欧州では英国のEU離脱問題に関するヘッドラインで右往左往する状況が続き、マーケットにリスクが高まる中で、米国債利回りは低下している。

5月23日の終値は10年債が2.32%、2年債は2.15%へと下落。

米債金利が低下するということは、米債価格は上昇。つまり米債は買われているわけで、リスクアセットである株が売られ、債券を増やすという、質への逃避が起こっていることが考えられる。

米株が軟調に推移する中、「risk off=株安、円高」によりクロス円が下落。

加えて前述のように米金利の低下が米ドルの売り圧力となっており、「米ドル/円」の下値余地は拡大している。

ただ本邦機関投資家は、日銀の政策で日本国債の金利がないことによる運用難が続いており、投資を海外に向けざるを得ない状況が続いており、引き続きドル買いを継続。

「米ドル/円」の押し目では彼らからのドル買いが断続的にマーケットに投入されるため、これが「米ドル/円」のサポート要因になっている。

(YJFX MT4チャートより筆者作成)

結果、「米ドル/円」は急落こそしないものの、「円高トレンド」継続で105円に向けて続落中。

加熱する米中貿易戦争を背景に、「株安、円高」相場継続。

105円に向け下落中の「米ドル/円」の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2019年5月29日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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