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保守党惨敗となった英地方選挙と2度目の国民投票の噂(松崎 美子氏)

2019年5月8日

5月2日に実施された英地方選挙。事前予想は、保守党が800議席ほどのマイナス、代わりに最大野党:労働党が400議席ほどプラスという内容であった。しかし、いざ蓋を開けると、両党とも有権者離れが顕著となっており、3月29日にEUから離脱出来なかった怒りが票となって現れたようだ。

地方選挙結果

早速、5月2日の地方選結果を見てみよう。ここでは分かりやすく、各党の議席増減数をチャートにしてみた。

出典: 数々の報道

ご覧の通り、保守党は予想の800議席を大きく上回る1333議席の損失。しかしそれ以上に驚いたのが、保守党の議席減少が、そのまま労働党の議席増加につながらなかったことである。

今回の地方選挙は、保守党と労働党の2大政党制が崩れただけでなく、3月29日にBrexitが出来なかったことに対する、2大政党へのパニッシュメントだったとも言えよう。

残留政党の大幅議席増加

日本でも英地方選挙結果が報じられていたが、書き方にやや気になる点があった。それは、EU残留を支持する自民党や緑の党の議席が大きく伸びたので、英国人は残留を希望しているのではないか?というニュアンスを含む記事を目にしたからである。

こちらの報道では、残留支持者には投票する政党があったが、離脱支持の人にとっては、Brexit党が地方選に参加しなかったので、意思表示が出来なかったことが報道された。もちろん、離脱支持のUKIP党は選挙に参加していたが、現在の英国で「離脱党」と言えば、元UKIP党の党首であるファラージュ氏率いるBrexit党しかない。

それもあり、離脱支持の有権者は白紙の投票用紙を提出するという行動に出た。これは一部の選挙区に限った現象ではなく、すべての選挙区で、白紙投票が目立ったと報道されている。

いずれにせよ、5月23日の欧州議会選挙では、待望のBrexit党が参加するため、どういう結果になるか楽しみである。もしこの選挙でも地方選同様、残留支持の自民党や緑の党の議席が大きく伸びるようであれば、英国民のBrexitに対する意識が変わったと判断せざるを得ない。

欧州議会選挙に向けた各党の支持率

このチャートは、今年1月から4月30日までに実施された各世論調査会社による欧州議会選挙に向けた各政党の支持率である。

5月2日の地方選以降のデータはまだ発表されていないが、果たして自民党や緑の党がBrexit党を抜いて大きく上昇するのか?個人的にはそう思えないが、非常に興味がある。

出典: 数々の報道

次に、欧州選挙統計局(European Elections Stats)  が作成した英国各党の得票率予想をご紹介しよう。ここでも、Brexit党が一番人気となるという分析結果を載せていた。

出典:European Elections Stats

2度目の国民投票実施?

地方選で惨敗した保守党のメイ首相に対する辞任要求は日増しに高くなっている。しかし、メイ首相も黙って落ち込んでいる訳ではない。

各紙日曜版によると、メイ首相は労働党とのBrexit合意を優先するため、大きな譲歩をするようだ。具体的には以下の3点が挙げられていた。

①関税同盟残留時期の提示
タイムス紙日曜版では、メイ首相は労働党が希望する関税同盟残留に対し、少なくとも次期総選挙(2022年5月予定)までの残留を提案するという記事が載っていた。ただし、同じ日にBBC政治ショーに出演した労働党の影の財務相は、恒久措置を主張しており、期限付きの提案を労働党が受け入れるとは思えない・・・とばっさり切った。

②欧州単一市場規定
労働党が要求している「できる限り欧州単一市場での規定に近いアレンジメントを行なう」ことにも、メイ首相は合意するようである。

③労働者の権利
労働党が最も強く要求しているのが、英国の労働者の権利の保護であった。同党は、EU離脱後も、EUが規定した労働者の権利と同レベルの権利の保証を訴えており、この点についても、ほぼ100%労働党の要望を受け入れるらしい。

5月6日、英国は祝日であったが、テレグラフ紙が驚くような観測記事を載せた。それは、「メイ首相、2度目の国民投票実施も視野に入れる?」という内容である。

読み進めていくと、「メイ首相は2度目の国民投票には反対姿勢を貫いている。出来れば、このままBrexit案の合意を引き出すことを望んでいる。しかし、1ヶ月以上の時間が経ったが、未だに労働党との合意は得られていない。最近になり、首相は2度目の国民投票実施の可能性についても労働党と協議しているようだ。もし、国民投票が実施されるのであれば、質問内容は、①英政府が決定したBrexit案で離脱する ②合意なき離脱 ③離脱しない(残留する)の三択になる模様」と書かれている。

しかし、もちろん実施は条件付きとなっており、「労働党との話し合いに決着がつかず、議会で過半数以上の賛成を得た場合に限り、国民投票は実施される」となっている。当然であるが、首相官邸はこの観測記事を否定している。

ここからのポンド

先週金曜日のポンドは、ロンドン時間に発表された英サービス業PMIの改善度が予想を下回ったことを受け下げた。その後ニューヨーク時間に入ると、米ISM非製造業景況指数が2ヶ月連続での低下となり、2017年8月以来の低水準となったことを受け、一転してドル売り相場となった。このドル安の恩恵を最も受けたのが、他ならぬポンドである。

ただし、英中銀発表のポンド実効レートを見ると、依然として79台で動意に乏しい。たぶん5月23日の欧州議会選挙まで、大きなどんでん返しがない限り、黄緑のレンジ内(77.80~80.30台)での推移となるだろう。

出典:英中銀ホームページ

最後にユーロ/ポンドのチャートを見ると、欧州議会選挙までは、0.8450~0.8670台での動きとなりそうだ。

チャート:筆者作成

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2019年5月8日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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