スペシャル・トレンドレポート

Brexit一色の英国(松崎 美子氏)

2019年1月9日

昨年の12月から新年にかけて、小売業界は相当の打撃を受けたことが予想される。英国では、クリスマス翌日からスタートするセール(バーゲン)が、12月早々前倒しで実施されていたからだ。クリスマスの数日前に慌てて買い物に行った私が見た光景は、「最大50%引き」は当たり前。中には、「70%引き」という大きな広告がショーウィンドウ全体に貼ってある店もあった。

クリスマス後のセールはさらに過激なものとなっており、過去の在庫品も含め、ありとあらゆる商品が50%かそれ以上の値引きの札を貼って陳列されていた。

私のお目当ては、ダイソンの掃除機。全品100ポンドの値引きとなっていたが、もう少し待てばもっと下がるかもしれないと考え、現在待機中である。

このようにBrexitを巡る先行き不透明感により、2008年の世界的金融危機の時以上に、我々の財布の紐は固い。

最大級のBrexit関連世論調査

年明け最初の週末に、2016年6月の国民投票以来、最大規模の世論調査結果が出た。

調査会社: YouGov社が2018年12月21日から2019年1月4日にかけ、25,537人の成人を対象としたBrexit調査結果は以下の通りとなっている。全ての答えは、「わからない」を抜いて作成されている。

昨年11月25日に開催されたEU臨時サミットで、EUとメイ首相の間で合意されたBrexit案は、英国議会では全く人気がない。そして、この調査によると国民の間でも人気がないことがわかった。やや極端な意見であるが、メイ首相の離脱案を選ぶくらいなら、「合意なき離脱」の方が良いということのようだ。

そして、最近にわかに支持を増やしている「2度目の国民投票」。これについては、こういう結果が出た。

「一度行った国民投票をやり直すのは、民主主義に反する行為である。」とメイ首相が大反対しているが、国民はもう一度自分達の声を聞いて欲しいようである。

問題は、質問内容であろう。国民投票とは、どちらを選んでも結果は50/50となる二択が常識だ。しかし現在の英国で語られている内容は、三択である。その場合、「①メイ首相のBrexit案 ②合意なきBrexit ③EU残留」となることは確実で、「Brexit 66%」 対 「残留 33%」という非常に不公平感が増す投票となる。

ここからの重要日

Brexit案を巡る審議は、1月9日にスタートする。ここで修正案についても審議され、1月14日週に最大6つの修正案とBrexit案について採決が行なわれる。最新情報によると、1月15日(火)が採決日となる案が出ているが、議会のホームページでは、まだ確認できない。いずれにせよ、早ければ14日(月)、遅くても16日(水)の間に実施されることは間違いなさそうだ。
https://calendar.parliament.uk/calendar/

採決でメイ首相のBrexit案が可決される可能性は、ゼロというのが英国でのコンセンサスとなっている。そのため、注意すべき点は、「どのくらいの票差で、メイ首相が負けるか」であろう。

採決日から21日以内に、政府は身の振り方を発表する義務がある。この場合の「21日間」の数え方は、議会が開会する日だけが対象となる。意外と知られていないが、この国の議会は金曜日がお休みとなることが多いため、仮に1月15日に採決が取られた場合は、21日後は2月3週目あたりになりそうだ。

採決後のシナリオ

あり得ないと思うが、万が一可決した場合は、予定通り3月29日に英国はEUから離脱する。

否決された場合、可決との票差によりポンドの動きは大きく変わるが、その後の選択肢としては、こちらで書いたように5つとなる。ただし、解散総選挙を実施するには、まず内閣不信任案決議を労働党が発動するのが先となるので、選択肢は4つとも言える。

この中でも最も「起こりうるシナリオ」トップ3は、

① 「2度目の国民投票」の実施
② 労働党が主導して、内閣不信任案決議を発動し、解散総選挙
③ 交渉期間を延長し、交渉を継続。

忘れてならないのは、①②③全てのシナリオで交渉期間の延長が必要となるが、③のみが交渉継続である。

ここからのポンド

先週金曜日のパウエルFRB議長の発言以降、ドルが軟調推移し、ポンドは対ドルでこじっかりした動きとなっている。Brexitを巡る不透明感は、かなり織り込んでいる証拠であろう。しかし、今後起こり得るイベントでの結果については、まだまだ織り込まれていない部分が残る。

まず最初に英中銀発表のポンド実効レートを見てみよう。私自身は、ポンドは下がったら買いのスタンスを作年秋から貫いており、合意なき離脱や解散総選挙が早急に実施されない限り、実効レートベースでは、黒い点線を引いたレベルより下を買いで見ている。

データ:英中銀ホームページ

次は、ポンド/ドル週足に200週移動平均線(SMA)を入れ、そこからの乖離率を下段の赤いラインで示したチャートを見ると、乖離は水色のレベルで2度続けて反転している(チャート上の黄緑丸部分)。

こちらもやはり今後のBrexit次第という予想には変化はないが、合意なき離脱か解散総選挙が早急に実施されない限り、下がったところは機動的に拾ってみたいと思う。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2019年1月9日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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