スペシャル・トレンドレポート

米中間選挙を占う(松崎 美子氏)

2018年11月7日

11月6日に、アメリカで中間選挙が実施された。読者の皆様がこの記事を読まれる頃には、開票結果が早い東海岸側の州の選挙結果が出ているタイミングかもしれない。

私は普段、ヨーロッパからの情報に特化しているが、今回は米中間選挙について自分の考えをまとめてみたいと思う。

中間選挙前の議席配分を復習!

今回の選挙では、下院435議席全てと、上院100議席中35議席が改選対象となっている。

選挙前の下院/上院の議席数配分を見ると、下院は共和党235議席に対し、民主党193議席(空席7)。

データ:米連邦政府下院ホームページ

上院は、共和党51議席に対し、民主党49議席となっており、上下両院とも共和党が過半数を占めている状態である。

米NY紙の最新版事前予想

次は、最新の事前予想を調べてみた。ここでは米ニューヨークタイムス紙の情報を元に作成している。

上院
・ 共和党:今回の改選対象議席は51議席中、9議席
9議席中、7議席は確実/ほぼ確実。2議席は接戦

・ 民主党: 今回の改選対象議席は、49議席中、26議席
26議席中、22議席は確実。4議席は接戦

下院
・ 共和党: 171議席が確実。25議席はほぼ確実(計196議席)
・ 民主党: 194議席が確実。14議席はほぼ確実(計208議席)
・ 残る31議席が、接戦

今回の選挙での見どころと3つのシナリオ

中間選挙の見どころはズバリ、トランプ大統領率いる共和党が、どれだけ議席を失うかが焦点である。言い換えれば、トランプ政権への信任投票の意味合いが強い選挙といえる。

私たちが最も気になる選挙結果には、以下の3つのシナリオが考えられる。

・上下両院とも、現状通り、共和党が過半数以上の議席を獲得
・上院は共和党、下院は民主党が、それぞれ過半数以上の議席を獲得
・上下両院とも、民主党が過半数以上の議席を獲得

3つのシナリオとマーケットへの影響

それでは、それぞれのシナリオにおけるマーケットへの影響を考えてみよう。

シナリオ1 : 上下両院とも共和党
事前予想では、このシナリオとなる可能性は高くなく、万が一この結果となれば、トランプ大統領人気が改めて高まるだろう。それが意味することは、「米国第一主義」が再認識され、移民制限や貿易戦争、保護主義の強化に加え、追加減税やインフラ投資の増額などという流れになるかもしれない。

その場合、国内景気がさらに改善し、個人消費も盛んになることが考えられ、結果としてマクロ経済全般の押し上げ効果が期待される。特にGDP、インフレ率、賃金上昇率などには注目。マーケットへの影響としては、特に短期的には株やドルに好材料となるだろう。

ただし、良いことばかりではない。ネガティブ要因としては、財政問題と中央銀行の独立が真っ先に頭に浮かぶ。歴史的に、共和党政権下では連邦財政赤字が拡大し、民主党政権下で縮小している。今回もし上下両院とも共和党となれば、新たな借り入れ増加により、財政赤字対GDP比は来年にも4.6%を超え、5%台に突入するリスクが出てくる。その場合は、国債価格のもう一段の下落(長期金利の上昇)が懸念されるため、今後は財政問題が第2期トランプ政権の課題となるかもしれない。

中央銀行の独立問題については、トランプ大統領は今まで以上に、FRBに対し利上げに反対するコメントをTweetすることになるイメージだ。

結論: 財政問題にスポットライトが当たるまで、少なくとも2019年前半は、ドルが強ぶくみ、長期金利の一段の上昇があると予想する。その後は財政問題に焦点が移る可能性がある。

シナリオ2 : 上院は共和党 / 下院は民主党
事前予想によると、これが最も可能性が高いシナリオである。

下院を民主党に押さえられることにより、特に貿易問題や保護主義に結びつく政策が簡単に議会を通過しなくなるリスクも出てくるだろう。対中国についてはわからないが、対欧州への圧力は緩和するのではないか?

一番心配な財政政策については、今までのようなやりたい放題の財政拡大は難しくなると思われるので、結果として、トランプ大統領は攻撃の矛先をFRBの利上げ反対に変更してくるかもしれない。しかし、FRBによる穏やかな利上げ路線は今後も変化しないであろう。

マーケットへの影響を考えると、選挙前のポジションの一部解消が出てくるかもしれない。現在は、ドルと株のロング、国債のショートだが、特に利食いのドル売りと株売りが出てくるかもしれない。ただし、強烈な売りが断続的に出るとは予想していない。

結論: 民主党の下院議席数にもよるが、特にドルのロングの一部利食いが出てくるようなイメージを持っている。株に関しては、選挙前に何度か下落を繰り返しているため、コストの悪いポジションはある程度整理されたと思う。

シナリオ3 : 上下両院とも民主党
このシナリオとなった場合は、厄介である・・・

まず、今までトランプ大統領がやろうとしていた政策のほとんどが、一旦棚上げとなるリスクが浮上し、トランプは「お飾り大統領」となるかもしれない。当然だが、2020年の次期大統領選挙に向け、政治的な地盤変更が今後起きるだろう。

このシナリオの最大のリスクは、大統領弾劾ではないか?そうは言っても、弾劾を実行に移すためには、上院100議席のうち、最低でも67議席の賛成が必要となるため、ハードルはかなり高いが、政治への油断は禁物である。

マーケットへの影響としては、民主党の政策にマーケットが慣れるまでの時間が特に不安定な動きになると思う。

結論: 最もマーケットのボラティリティーが高まるのが、このシナリオである。財政の拡大が抑えられるため、経済拡大も当初の予想より穏やかになることが考えられ、ドルにとっては若干ネガティブになると考えている。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2018年11月07日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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