スペシャル・トレンドレポート

EUサミットと党大会シーズンの到来(松崎 美子氏)

2018年9月19日

Brexit最終合意に向けた動きが一挙に加速してきた。9月、10月、11月にかけ3回のEUサミットが予定されており、そこで一気に最終合意に向けた動きが出てくることが予想される。

9月19/20日 非公式サミット

最初のサミットは9月19日夕方の夕食会からスタートし、翌20日に本番を迎える。通常、非公式の場合は記者会見が省略されることもあるが、予定表を見ると日本時間22時(現地時間15時)からトゥスクEU大統領・ユンケル欧州委員会委員長、そして開催地のオーストリアからはイケメンで有名なクルツ首相の3人による記者会見が行なわれるようだ。

9月19/20日 EU非公式サミット予定表

英国政府とEUは夏休み返上で協議を継続したが、加盟国首脳ベースでの話し合いは、6月のサミット以来初めてである。

EUと英国とのBrexit交渉は、7月6日にメイ首相が公式別荘チェッカーズで閣僚全員とBrexit担当省関係者たちを集めて作成した「EU離脱白書」をベースにして進められている。解決の目処がつかなかったアイルランド国境問題についても、関税徴収の部分だけEUの方針を取り入れ、それ以外はメイ首相の提案に沿って解決の糸口を見つけるようだ。

ただし、今回のサミットでは、あくまでも基本的な話し合いで終わると言われている。その理由は、本格的な協議は9月30日からの保守党年次党大会終了以降に開始したいと言うEU側の意向を示しているためである。ちなみに、11月サミットは臨時サミットという位置づけで、日程等の詳細は9月20日の非公式サミットで決定される。事前に漏れてきた噂では、11月13日の可能性が高いようだ。

ここにきてEU側が態度を軟化させてきたことを受け、メイ首相にとっての頭痛の種は、ジョンソン元外相を代表とする保守党EU離脱強硬派とどう折り合いをつけるにかかっている。強硬派は党大会中に何らかのクーデターを起こすと言う噂もあり、全く予断が許されない。

その中で唯一の安心材料は、離脱支持派のフォックス貿易担当相とゴーブ環境相がともに、週末にメイ首相の案を支持すると表明したことである。ここでは詳細は避けるが、ゴーブ氏はボリス・ジョンソン氏と組んで、メイ首相引き摺り下ろしのミニ・クーデターを過去に企てた首謀者として知られているだけに、どういう風の吹き回しか首をひねるばかりである。

英国党大会シーズンと2度目の国民投票

英国は9月中旬より党大会シーズンに突入した。メイ首相属する保守党の党大会は9月30日から10月3日に開催される。それに先駆け労働党大会は、9月23日から26日までとなっている。

この大会に先駆け、労働党所属のカーン・ロンドン市長が9月16日発売の英オブザーバー紙(英ガーディアン紙日曜版)に、「2度目の国民投票実施を支持する。」という記事を寄稿した。

現在に至るまで、「2度目の国民投票」には2通りの意味があった。

① 2016年6月23日に実施したEU離脱の是非を問う国民投票のやり直し
② 2019年3月29日に2年間の交渉を終えた直後、Brexit最終案について、国民の判断を仰ぐ形での国民投票?これを、People’s Voteと呼ぶ

しかしカーン市長は、①②両方を兼ね備えた国民投票案を打ち出したのである。どういうことかと言うと、もし2度目の国民投票を実施する場合、その質問内容は、

・政府が決定したBrexit最終案を支持する
・Brexit最終案には反対である。結果として、「合意なき離脱」を支持する
・EU残留を支持する

この3つの中からの選択となる。このような提案は今まで誰からも出ていない。

繰り返しになるが、カーン市長は労働党所属であるため、9月23日からの労働党大会で、この案を発表するようである。ただし、コービン労働党党首の賛成を取り付けられるかは、定かでない。9月26日最終日にスピーチをするコービン党首が、この案を支持するのか?ポンドの動きに影響が出そうである。

ここからのポンド

少なくとも11月に開催される臨時EUサミットまでは、ポンドを動かす要因は、「政治>経済・金融政策」となる。今後EU側の譲歩が次から次へと発表されたとしても、最後の最後にちゃぶ台返しとならない保証はない。そのため、ポンドのポジションを持っている人は、必ず損切りを入れる癖をつけて欲しい。

チャート:筆者作成

Brexit交渉で決定的な悪材料(合意なき離脱が実現性を帯びるなど・・)が突然出てこないという前提で、12EMAが通る1.3010ドル台を下回らない限りは、黄色いハイライトを入れた1.3180ドル/1.3210ドル台を目先の目標と考えている。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2018年9月19日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
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