スペシャル・トレンドレポート

注目はナスダックの動きとFFR、米ドル/円は113〜115円でtop outへ(西原 宏一氏)

2018年8月3日

トランプ劇場は続く、2018年4-6月期のGDPは4.1%に

7月後半の相場はまず、トランプ米大統領が「Best financial numbers on the Planet.」とコメントしたことが話題に。

Fox business(米FOXニュース)によれば、トランプ米大統領は周辺に「GDP成長率が4.8%に達する」との見通しを示したと報じられていたため、7月27日発表予定の米GDPとの関連が噂されていた。

トランプ米大統領が、GDPの数字にこだわるのが、オバマ前米大統領が残した数字が影響している。

出所:BUREAU OF ECONOMIC ANALYSIS

添付図はオバマ前米大統領が達成したGDPの数字。
1969年からの歴代米大統領は、GDPで年率3.00%超えを達成している。
しかし、添付図のように残念ながらオバマ前米大統領はGDPの年率3.00%超えを達成できなかった。

オバマ前米大統領(民主党)を意識してか、トランプ米大統領は公約のひとつとして、GDPの年率3.00%達成を挙げている。
そして7月27日に発表された2018年第2四半期速報値GDPは4.8%こそ達成できなかったが、年率換算で前期比4.1%増加と上々の数字が報道された。

これを踏まえて重要なのは米中間選挙前に発表予定の第3四半期のGDPの数字である。
仮にこの数字が良ければ、トランプ政権はGDPで年率3.00%超えを達成する可能性が高まり、中間選挙に向け、トランプ共和党政権に弾みがつく。

加えて今年の米株はナスダックを筆頭に底堅い展開が続いており、これも中間選挙に向けてトランプ米大統領をサポートする材料となっている。

好調な米経済指標と米株の続伸を受け、一時米ドル/円は113円台まで反発する局面もあった。
しかし、7月も終盤になってナスダック市場に変調がおきてきた。

Facebookは史上最大の下げ幅を記録、facebook株の急落がtwitterに波及しナスダックは失速。

7月最終週のナスダックは一転して値を下げる展開に。

そのきっかけはfacebook。

facebookはこれまで、ケンブリッジ・アナリティカ問題に絡む個人情報を巡るスキャンダルをうまくかわしてきて株価は続伸。ただダブルライン・キャピタル共同創業者のジェフリー・ガンドラック氏は、「株式バブルは規制によってはじける」という説に基づいてfacebookの空売りを推奨していたようにマーケットの一部ではfacebookの株価続伸に懸念をもっている参加者も多数。

そして7月26日の決算発表でfacebook株の続伸という見方は幻想であったことが判明し、facebokは一日にして19%急落。

これは米国の上場企業としては史上最大となる約1200億ドル(約13兆円)という下げ幅を記録したことになる。

このfacebookの急落は他のFAANG系の株価に伝播し、twitterも不正利用対策などで利用者数が100万人減少したことを受け、前日比20.5%急落。

結果、ナスダックは急速に値を下げており、マーケットのセンチメントは悪化。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)はfacebook株の急落は米株式相場がピークを付けていることを表しており、投資家は人気テクノロジー銘柄の売りを検討する必要があると指摘。

仮に米株が一転して軟調に推移するのであれば、GDPが示しているように好調な米経済に影を落とし、それが米ドル/円の反落を誘引するかもしれない。

そしてもう一つの懸念が日米貿易交渉FFR。

新日米通商協議を控えドル円の上値は113〜115円でtop outに

米国とEU,そして米国と中国といったようにトランプ米大統領は各国と貿易摩擦を引き起こしている。ただ日米首脳会談で合意された米国と日本の通商問題を協議する新たな枠組みであるFFRは日程さえなかなかきまらなかった。それが8月9日初開催ということで最終調整に入ったと報道された。

新たな日米通商協議 8月9日初開催で最終調整。

日米両政府は、閣僚による新たな通商協議を来月9日にワシントンで行う方向で最終調整に入った。日本政府内では、保護主義的な動きを強める米国が、自動車や農業分野で一層の市場開放を求めてくるのではないかという警戒感が出ていて、難しい対応を迫られることも予想される。
ことし4月の日米首脳会談で、両首脳は、茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による新たな通商協議「FFR」を新設し、両国の貿易や投資などの在り方を議論していくことで合意した。

そして、日米両政府は、初めての協議を現地時間の来月9日にワシントンで行う方向で最終調整に入った。

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ライトハイザー通商代表は先週、議会上院の公聴会で、日米2国間のFTA=自由貿易協定の交渉入りにも強い意欲を示していて、日本政府内では、保護主義的な動きを強める米国が、自動車や農業分野で一層の市場開放を求めてくるのではないかという警戒感が出ている。

出所:NHK news Web

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FFRは、自由(free)、公正(fair)、相互的(reciprocal)の頭文字をとった、日米首脳会談で合意した新しい日米通商対話の枠組みである。米国はこのFFRで、トランプ米大統領が離脱表明したTPPではなく、日米でのFTA(二国間自由貿易協定)にしたい思惑があり、これは日本にとっては不利な交渉となる可能性がある。

加えてこの協議において米国は、(もちろん表面上にはでないだろうが)為替レートに関して不満を述べるのではないか?という懸念も残る。

その背景は7月20日にトランプ米大統領が、「通貨と金利を不当に低い水準に操作してきたと中国、欧州連合(EU)を批判するtweetをしたこと」にある。

不当かどうかは別として、日本政府・日銀は長期に渡って低金利を続けており、それが通貨安を引き起こしているのではないか?との不満をFFRで持ち出されることを危惧しているわけである。 こうした状況は1980年代の日米貿易摩擦を彷彿とさせ、当時のような為替調整、米国製品の購入などが交渉材料として出てくる可能性がある。
このため、米ドル/円の上値は113〜115円で限定的となるのではないかと想定している。

ここで米ドル/円の動きをチャートで確認してみる。

添付は米ドル/円の週足チャート。

米ドル/円は7/19に113.173円まで上昇したが、既報のトランプ米大統領のtweetで急落。
7/26には110.59円まで急落となった。

米ドル/円は、昨年12/12の113.749円と、今年3/23の104.637円でのレンジ内での推移が続いている。
7/19は113円台に入ったところで急反落しており、昨年末の113.749円が引き続き、レジスタントになっているのがわかる。

YJFX MT4チャートより筆者作成

このため、7/19の113.179円を明確に上抜けて週足のレンジをブレイクしない限り、米ドル円は下方向のバイアスがかかりやすい状態が続いている。

加えて、メルマガでご案内のように米大手銀行のMorgan Stanleyも顧客むけに米ドル/円の売り推奨を出している模様。
そしてそのストップを113.20円としており、113円台の重さを意識していると思われる。

テクニカル上の上限付近の動き、Morgan Stanleyのレポート、そしてこの後控えるFFR交渉に加え、仮に前述のようにナスダックの調整が加速すると、リスクオフ相場を引き起こし、思わぬ円高相場を演出する可能性が高まっている。

FFRを控え、上値の重くなった米ドル/円相場の行方に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2018年8月3日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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