スペシャル・トレンドレポート

英中銀「Super Thursday」特集!(松崎 美子氏)

2018年5月9日

今週木曜日は、3ヶ月に一度の英中銀Super Thursday! この日は、① 政策金利の発表 ② 声明文と議事録 ③ 四半期インフレーション・レポート(以下、QIR) ④インフレ・レポートに関する記者会見、これら全てを同時(④だけ30分後)に発表するという、まさに「Super ハード」な一日だ。

今回のコラムでは、Super Thursdayでの注意点とポンドについて書いてみようと思う。

カーニー総裁インタビュー

4月19日、マーケットに衝撃が走った。カーニー英中銀総裁がBBCのインビューを受け、「5月の利上げは規定路線では、ない。」と発言したからだ。そもそもこの日、同総裁がBBCで話すことは知らされておらず、どうしてこのタイミングで?と不思議に思った市場参加者も多かったであろう。

私も驚いた一人であるが、タイミングは絶妙であった。このインタビューの2日前に雇用統計が発表され、賃金上昇率が予想の3%に届かず、2.8%となった。そしてその翌日(4月18日)には消費者物価指数(CPI)が発表され、予想2.8%に対しグッと低い2.5%という数字となった。さすがに英中銀関係者も、2つの数字がともに予想を下回ったことを知り、慌てたのかもしれない。

このインタビュー直前までは、5月利上げの可能性は100%。その後80%台へ下がり、最近は10%台まで大きく低下。つまり、今週のSuper Thursdayでは、「利上げはなく、7対2で政策金利据え置き」がコンセンサスとなっている。

ちなみに今後の利上げの可能性については、8月が62%、11月が90%となっている。

データ:英統計局(ONS)
賃金上昇率
CPI

【Super Thursday注意点① 声明文内容】

前回2月QIR発表時の声明文では、かなり強い口調で利上げに対する意欲を見せた英中銀。これがその部分である。

「The Committee judges that, were the economy to evolve broadly in line with the February Inflation Report projections, monetary policy would need to be tightened somewhat earlier and by a somewhat greater extent over the forecast period than anticipated at the time of the November Report, in order to return inflation sustainably to the target.

英中銀理事会では、英国の景気は2月のインフレ・レポートで紹介した展開と同じようになると予想。よって、物価安定の維持を達成するためには、金融政策は11月のインフレ・レポートで予想したよりも、やや早めにより大幅な利上げが必要とされるだろう。

2018年2月声明文と議事要旨

果たして今回はどのような文言に変わっているのだろうか?この文章全てが削除されていれば、ポンドにとってネガティブ要因となる。

【Super Thursday注意点② GDP予想】

これが2月QIRでのGDP予想である。5月1日発表の英2018Q1GDP速報値がわずか+0.1%(前期比)であったことを考えれば、少なくとも2018年GDPは下方修正されると考えるのが妥当であり、これもポンドにネガティブ要因。

チャート:英中銀 2018年2月四半期インフレーションレポート

【Super Thursday注意点③ インフレ率予想】

2月QIRのインフレ率(CPI)予想では、今年は2.4%となっている。2016年からのポンド安の影響が既になくなっているため、予想以上に早いスピードでCPIは下がってきている。今回のQIRでは、GDPに加えCPIも下方修正されるのであれば、これもポンドにネガティブ要因。

チャート:英中銀 2018年2月四半期インフレーションレポート

【Super Thursday注意点④ 賃金上昇率予想】

英国の経済指標の中で、上位3本の指に入るのが、賃金上昇率。2月QIRでは2018年の数字を3%と予想している。今年に入ってからの英中銀関係者の発言をまとめる限り、この数字が修正される場合、上方修正となると考えられ、そうなればポンド・サポート要因となる。

チャート:英中銀 2018年2月四半期インフレーションレポート

【Super Thursday注意点⑤ 利上げ回数予想】

QIRでは、今後3年間における政策金利の変更回数とタイミングを載せている。2月はピンクで囲んだ通り、「3年間で3回の利上げ」という予想であった。今回も3回となるのか?それとも、2回に減るのか?正直とても気になっている。

チャート:英中銀 2018年2月四半期インフレーションレポート

【Super Thursday注意点⑥ 記者会見】

ここまで読んだ方は、「今回は結構、ポンドにネガティブな要因が多そうだな・・・」と感じただろう。しかし、市場では「ネガティブな要因を一気にポジティブに変えるような、ややHawkish(タカ派)な記者会見となるのでは?」という予想が既に出てきている。

英中銀は、インフレ高を招くポンド下落は望んでいない筈である。かと言って、「来月にも利上げしますよ!」というほど、経済指標が強い訳でもない。そのため、今回は利上げを見送ったが、出来れば8月にも動きたいという意思表示を行間に滲ませる記者会見になるという見方が出てきている。

ここからのポンド

4月中旬につけた1.43Highから現在までに、900ポイントほどのポンド安/ドル高となっている。特に2018Q1GDP速報値があまりにも低かったことを受け、大手の金融機関は一斉に利上げ時期の延期や年内利上げなしに予想を変え、ポンドの下落に拍車をかけた。見方を変えれば、5月10日のQIR内容や記者会見でこれ以上のネガティブ要因が出ない限り、ポンドを取り巻く悪材料はほぼ織り込み済みとも言える。

チャート:筆者作成

そして、ここまでのポンド下落は、ポンド特有の材料に加え、ドル高の影響もかなりあるのも事実。ポンド/ドルの900ポイントに及ぶ下落は、率にすると6%。同時期のポンド実効レートの下落率は、3%に留まる。

実効レートのチャートを見ると、現時点では黄緑のチャネル下限ぎりぎりでサポートされており、もしこのサポートが抜けなければ、再度チャネル上限を目指して上昇することも考えておきたい。

データ:英中銀

最後になるが、実効レートは黄緑のチャネル下限ぎりぎりで止まっていたが、ポンド/ドル週足を見ると、赤いチャネルの下限を抜けて下落中。ここからは、ひとまず水色ハイライトの上限:1.3400/10あたりが、目先の下げのターゲットと考えている。

チャート:筆者作成

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2018年5月9日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について松崎美子氏、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。
※コンテンツ、データ等の著作権はワイジェイFX株式会社に帰属します。私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。

関連する記事

投資にかかる手数料等およびリスクについて
当社ホームページ記載の金融商品へのご投資には、商品ごとに所定の手数料等をご負担いただく場合があります。各商品には価格の変動による損失が生じるおそれがあります。また、店頭外国為替証拠金取引をお取引いただく場合は、当社所定の証拠金が必要となり、元本を超える損失が生じるおそれがあります。なお、商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の「契約締結前交付書面」、「契約締結時交付書面」及び「目論見書」等をよくお読み頂き、それら内容をご理解の上、ご自身の判断と責任において、自己の計算によりお取引を行ってください。

FX・バイナリーオプションならヤフーグループのYJFX!
ワイジェイFX株式会社はヤフー株式会社
(東証一部上場 4689)のグループ企業です。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第271号
加入協会 日本証券業協会 
一般社団法人金融先物取引業協会 
一般社団法人日本投資顧問業協会

YJFX! from Yahoo! JAPAN