スペシャル・トレンドレポート

タカ派/ハト派の激突となる欧州中銀理事会(松崎 美子氏)

2018年4月26日

4月26日、欧州中銀(ECB)金融政策理事会が開催され、ドラギ総裁定例記者会見が行なわれる。昨年から景気拡大が順調に進んでいたユーロ圏だが、今年に入ってから苦しい展開を強いられている。
今回のコラムでは、最近のユーロ圏経済の振り返りと、ECB理事会での発表内容の予想を一緒に考えてみたい。

踊り場局面に差し掛かったユーロ圏経済

【製造業・サービス業・総合PMI】

景気の先行指標として私が重視しているのが、マークイット社が発表する購買担当者指数(PMI)である。今年に入ってからの数字は、以下の通りとなっている。

データ:マークイット社
https://www.markiteconomics.com/Survey/PressRelease.mvc/bf012488d6d1476c820859e07a56dab1
https://www.markiteconomics.com/Survey/PressRelease.mvc/ba8fb14bf7044e8292e902d9cab3e066
https://www.markiteconomics.com/Survey/PressRelease.mvc/3672491d350a499c9d1995540efbc90f

今週発表された4月・ユーロ圏PMI速報値について、マークイット社主席エコノミストであるウィリアムソン氏は、このような分析をしていた。

「ユーロ圏の企業活動は、2017年以来最も減速ムードが高まってきた。4月のPMIを見る限り、2018年第2四半期GDPは、前期比+0.6%がせいぜいかもしれない。製造業の減速が著しいが、これには納得できる部分が多い。最大の原因は、供給サイドが需要をカバーできていないことで、特に熟練労働者の不足や配達の遅れなどが目に付く。それに加え、今年に入ってからのユーロ高により輸出セクターが打撃を受け、結果として絶対的な需要そのものも低下傾向に転じた。このままで行けば、今後の景気見通しは、さらに低下することは避けられないだろう。」

あまり楽観的な内容ではない。

【経済指標スコアーボード】

最近私は、主な経済指標をまとめた表を作り、分析ツールとして活用している。ユーロ圏に関しては、経済指標11個のうち、改善しているのは4つだけという寂しい結果となった。

ECB理事会・ドラギ総裁記者会見予想

今回の理事会とドラギ総裁記者会見で、私は4つの点に注目している。

【フォワードガイダンス変更の有無】

この表は現在のECBフォワードガイダンスである。読者の皆さんもご存知のように、3月の理事会では、QE策内容から「QE策の規模を増やすことや 期間延長の可能性」の部分が削減されたばかりである。それを考慮すると、今月の理事会でのガイダンス変更はなく、夏休み前の6月14日か7月26日の理事会で行なわれるというコンセンサスが、市場では出来つつある。

【経済指標が弱くなってきていることに対して】

最近の経済指標の弱さについて、どのような見解を示すのか?それに加え、この弱さが今後も継続したと仮定した場合、3月に削除した「QE策の規模を増やすことや 期間延長の可能性」の部分を再度採用することを、理事会では話し合ったのか?

【最初の利上げ時期について】

4月10日、ノボトニー・オーストリア中銀総裁は、ロイターのインタビューに対し、「ユーロ圏経済は、2018年以降は緩和策を継続する必要性は、ないと認識している。利上げプロセスの最初のステップは、預金金利を現在の-0.4%から-0.2%に引き上げることを考えている。その次のステップとして、預金金利に加えリファイナンス金利の引き上げが続くだろう。ただし、利上げ開始時期に言及するのは、時期尚早である。」と語った。

この発言について、記者から何らかの質問が出る可能性は高いと思われる。

【タカ派とハト派の激突】

ノボトニー氏以外のECB理事達の発言を調べてみると、タカ派の理事たちは相変わらずQE策の年内終了に前向きな考えを変えていない。それに対し、ドラギ総裁をはじめとするハト派の理事たちの共通認識としては、経済/労働市場の緩みの規模が予想以上に大きく、それがインフレ率の上昇を止めていることに懸念を示している。その結果、QE策の終了を急ぐことには及び腰姿勢を崩していない。

それを考慮すると、今回の理事会では今まで以上に、タカ派/ハト派それぞれの意見が激突することは避けられなさそうだ。

ECB発表内容と、ユーロの方向性

最後にECBからの発表内容とユーロの方向性について考えてみたい。ここでは理事会からの発表内容を、ハト派→タカ派(強気)の4段階にわけ、金融政策・経済・ユーロそれぞれの視点から、どのような展開が考えられるか、表にまとめてみた。そして、それぞれのシナリオでのユーロ/ドルの方向性も最後に付け加えたので、参考にして欲しい。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2018年4月26日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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