スペシャル・トレンドレポート

「米ドル/円」は依然100円への下落過程にある!?(西原 宏一氏)

2018年4月25日

1)ケンブリッジアナリティカ問題から米ハイテク株に関する悪材料が立て続けに噴出するも、米株は悪材料が出尽くし一旦は反発。

先月のreportで紹介したように、facebookはケンブリッジアナリティカ問題で株が急落。こうした悪材料というのは連鎖するようで、他の米ハイテク株に関する懸念材料がその後も続出した。

Amazonは、トランプ大統領がこれまで4回もツイッターで批判を繰り返している環境下、急速に値を崩す展開。

次が、テスラ。
テスラのモデルXが、オートパイロットを使用中に大事故を起こしたこともあり、急落。

加えて、インテル。
アップルが独自にMac半導体を計画しているとの報道で、インテル株も急落。

米ハイテク株は産業革命の株であり、これまでは死角無し、と言われていたが、ここにきて、課題が続出し、米ハイテク株は軒並み大きく値を崩した。
ただ、あまりにも悪いnewsが連鎖したことにより、悪材料出尽くしで米株は急落後、いったん反発。

日本株に目を移すと、外国人投資家が、2001年から17年連続で 4月に日本株を買い越しており、「4月は、いったん調整で、「株」・「米ドル/円」とも戻すのではないか?」 というのがアノマリー。

今年もアノマリー通り、日本株は反発。
米株、日本株の反発、つまりrisk onの環境は「米ドル/円」を底堅くする。

本稿執筆時点(4月22日)での「米ドル/円」は一時107.86円と108円近くまで反発している。
ただ本レポートで一貫して紹介しているが、米中間選挙にむけてのトランプ大統領の政策の目玉は「通商問題」。
結果、一時的な調整はあるものの、トランプ大統領の目玉である「通商問題=ドル安」という流れに変化は無く、「米ドル/円」の下落トレンドは変わらず。

2)相場のうたげは「終わりに近い」?

前述のように4月は米ハイテク株の悪材料がいったん出尽くしたこともあり、米株、日本株は調整局面入り。ただ中期では米企業の好調さを充分以上に織り込んでいる米株市場の上値は限定的なまま。

4月16日の週に、米モルガン・スタンレーが、興味深いレポートを配信している。

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相場のうたげは「終わりに近い」-モルガン・スタンレーが警告

景気サイクルの終わりが近づき、米国市場は既に最良のシナリオを織り込み済みであるため、投資家は下げ相場に対して準備する必要があると、モルガン・スタンレーが警戒を促した。

マイケル・ジーザス、マシュー・ホーンバック、アンドルー・シーツ氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは17日付けのリポートで、財政出動が短期的には成長を後押しするが、その効果はすでに「織り込み済み」の公算が大きく、景気サイクルの終わりに際し相場が下落に向かう可能性が高まっていると指摘。

米国株のバリュエーションは税制改革成立前にピークを経過。株価は年内、企業の実質的な利益の伸びや利益率も今年終盤か来年初めにそれぞれピークに達する見通しという。

出所:Bloomberg

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昨年(2017年)末から米国株がトップアウトし、個人的に「米ドル/円」と日経平均のショートをしつこくキープしていたのは、FANG(※)を中心とした米ハイテク企業の好調さは、もうマーケットが織り込んでおり、上げ幅はあまりないのではないか、という考え方が中心となっていた。

※「FANG」とは、Facebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字。これにApple、Nvidiaを加えて、「FAANNG」とする場合もあるが、いずれも読み方は「ファング」。

上記の記事は、多くのポジティブ材料は既に織り込み済みという考え方である。
よって、調整が終わると米株は再び下落基調に入るのではないかと想定している。そして米株の下落は「米ドル/円」にとってはnegative材料。

3)「危機前夜」を連想とIMFが警鐘、世界金融システムへの脅威が高まり、「米ドル/円」は依然100円への下落過程。

更には4月19日にIMFが世界金融システムについて警鐘を鳴らしており、株の上値を重たくしている。

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世界金融システムへの脅威高まる、「危機前夜」を連想とIMFが警鐘。
「伸長した」バリュエーション、危機前の局面を連想させる。
一部クレジットサイクルは終盤に差し掛かる。

世界的に金融システムへの脅威は高まりつつあると、国際通貨基金(IMF)が警告。リスクの高い資産価格が急上昇しており、過去の世界金融危機前夜を連想させると指摘した。

IMFは18日、最新の世界金融安定報告で、世界的な金融安定への下向きリスクは過去6カ月間に「幾分か」高まったと分析。「極度に低い金利とボラティリティーが続いた過去数年に蓄積された金融のぜい弱性は、今後の道のりを浮き沈みの激しいものにし、成長をリスクにさらす恐れがある」と記した。

2月に市場を揺るがした相場急落による大きな混乱はなかったという事実に投資家は「安心し過ぎてはならない」と、IMFは指摘。「リスクの高い資産のバリュエーションはなお伸長した状態にあり、一部クレジットサイクルは終盤に差し掛かる中、危機以前の局面を連想させる」とし、「市場は金融状況の著しい引き締まりにさらされ、リスクプレミアムの急激な巻き戻しやリスク資産のリプライシングにつながる可能性がある」と説明した。

IMFによれば、各種の資産クラス全般的に価格は泡立っている。株価は世界的にファンダメンタルズと比べて高く、特に米国で顕著だと指摘。社債のバリュエーションも高く、格付けの低い企業によるレバレッジドローン需要に過熱の兆しが見られると続けた。

出所:Bloomberg

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このようにIMFが過去の世界金融危機前夜を連想させると指摘したことで、「日本株」・「米ドル/円」」ともに戻りは限定的。特に「米ドル/円」は日本株に比較しても上値は極めて限定的。

前述のように「4月は日本株が反発する」というアノマリー通りに、日本株は大きく反発し一時22,000円台を回復。

一方、本稿執筆時点(=4月22日)のドル円の戻りは107.86円止まり。
ここで今年に入ってからの「米ドル/円」の値動きをチャートで確認してみる。

チャート:YJFX! MT4チャートより筆者作成

昨年末からの、「米ドル/円」下落局面における38.2%は108.49円に位置している。
(高値=114.732円、安値=104.637円、38.2%=108.493円)。

日本株が調整局面に入り、大きく反発しても「米ドル/円」の動きは38.2% までも届かず上値は極めて限定的なまま。

前述のようにIMFが過去の世界金融危機前夜を連想させると指摘したことや、モルガン・スタンレーが「相場のうたげは終わりに近い?」とコメントしたこともあり、「米ドル/円」の下値余地は更に拡大。
トランプ政権の目玉である「通商問題=ドル安」という流れも変わらず。
よって、引き続き100円への下落過程の中にあるドル円の行方に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2018年4月25日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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