スペシャル・トレンドレポート

株安・円高の流れが加速!「米ドル/円」100円への動きか?(西原 宏一氏)

2018年3月30日

1)米中間選挙と通商政策

こちらのreportで何度か取り上げさせていただいているのがトランプ政権の「通商政策」。今年秋の中間選挙にむけて、トランプ政権が推し進めているのが「通商政策=米ドル安」ですが、3月に入り、さらに加速し、貿易戦争へと発展しかねないムードになってきた。

その対象国は中国。

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米、中国製品600億ドル規模に制裁関税へ

ドナルド・トランプ米大統領は3月22日(木)、中国からの輸入品600億ドル(約6兆4000億円)相当への追加関税や中国企業による米国内の投資を制限する制裁を発表した。中国が長年にわたって米国の知的財産権を侵害してきたことへの報復措置だとしている。
制裁に関する文書に署名したトランプ大統領は、米国と中国が交渉を行っており、米国の企業にとっても「互恵的な」貿易の条件を求めていると語った。
ホワイトハウスは当初、対象となる中国製品の規模はおよそ500億ドルだと説明したが、トランプ大統領は最大600億ドルになると述べた。
ホワイトハウスは、国家が主導する中国経済との不公平な競争には対抗措置が必要だとし、中国との長年の交渉は結果を生んでいないと主張した。
一方、中国は「必要な措置」による報復の準備があると述べた。さらに、米国と貿易戦争が起きた場合には「最後まで戦う」としている。

出所:BBC

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アメリカの友人は以前からトランプ政権が狙っているのは、鉄鋼やアルミといったハードよりも、「知的財産権」だと言っていましたが、今回その知的財産権にトランプ政権が踏み込んできたことが注目される。

日本のメディアでは、トランプ政権が中国に貿易戦争を仕掛けているといった表現が目立つが、一部の米国のメディアでは、長期に渡って中国から仕掛けられていた貿易戦争に対する答えをトランプ政権が出したとの見方をしているようだ。

ともあれ、通商政策を推し進めるということは当該通貨である米ドルは安いほうが有利ということになる。

ただ米ドルが暴落されても米経済の混乱をまねいてしまう。

結果、トランプ政権が「通商政策を推し進めている」限り、米ドルは緩やかな下落を描くのではないかと想定している。

しかし、3月の後半、米株を不安定にさせる下記の報道がでて、株の下落、ひいては「米ドル/円」の下落余地がさらに拡大する可能性がでてきている。

2)ケンブリッジ・アナリティカとFacebook株の急落

その要因はfacebook株の急落。
3月下旬のマーケットの注目を集めたのがfacebook株の急落とケンブリッジ・アナリティカ(=Cambridge Analytica,以下=CA)の存在。

まず、facebook株急落の背景は、facebookに集積された個人情報の不正利用問題。

その中心にいるのがイギリスに本社を置く政策コンサルティング会社、ケンブリッジ・アナリティカ(=CA).

同社がfacebook上の個人情報を自らの政策アドバイスに活用していたとされる問題でマーケットは一時騒然となっている。

特に問題が大きくなったのが、CAが米大統領選や英国の欧州連合(EU)脱退に関する国民投票の結果に大きく影響を及ぼしたのではないか、との疑惑がでたこと。 そして、その情報をCAがfacebookから取得したと報道されたことによりfacebook株が急落している。

この件は下記のBBCが詳しく報道している。

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2014年、フェイスブック上で、性格のタイプを診断する、あるクイズがユーザーに勧められた。
このクイズはケンブリッジ大学の教員であるアレクサンダー・コーガン氏によって開発された。
(ケンブリッジ大学とケンブリッジ・アナリティカ社には何のつながりもない)

当時のアプリやゲームによくあったように、クイズは実際にそれに答えたユーザーのデータだけでなく、回答したユーザーの友達に関するデータも収集するよう設計されていた。

フェイスブックはその後、開発者がこの方法で収集できるデータの量を変更している。
ケンブリッジ・アナリティカ社で働いていたクリストファー・ワイリー氏は、27万人がクイズに答えたことで、主に米国に住む約5000万人分のデータが、フェイスブック上の友人ネットワークを通じてユーザー側にはっきりと意識されないまま収集されたと主張した。

データはケンブリッジ・アナリティカ社に売却され、人々の心理学的な輪郭を描き出すとともに、彼らに親トランプ的な素材を送り届けるのに利用されたとワイリー氏は主張している。

ケンブリッジ・アナリティカ社は、大統領選のトランプ陣営に提供されたサービスのなかで、これらのデータは一切使われていないとしている。
このことはフェイスブックの規約に違反しているのか、
当時、データはフェイスブックの仕組みを使って収集されていたし、他の多くの開発者も利用していた。ただ、データを第三者に共有することは開発者にも認められていなかった。
もう1つの主要な論点は、性格診断クイズを直接回答した人であっても、それが潜在的にドナルド・トランプ氏の選挙陣営に共有されることは分からなかっただろうことだ。
フェイスブックは、ルール違反があったことを認知したら、アプリを消去し、情報が削除されたことの保障を要求すると述べている。
ケンブリッジ・アナリティカ社は、データを使ったことはないし、収集したデータはフェイスブック社から消去しろと言われたときに消去したと主張している。
フェイスブック社と英国のデータ保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)はともに、データが適切に使用不能となっているかを確認したいとしている。ワイリー氏は、データは使用不能になっていないと主張している。

出所:BBC

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この件に関して、facebookのザッカーバーグCEOは、利用者の個人データが不正に第三者のデータ分析会社(CA社)に渡った問題で、「過ちを犯した」としたうえで、個人データの保護に向けた対策を強化すると発表。

しかし、Facebookなどの広告を主体としたビジネスモデルは、この騒動により、変化を求められていることになり、この問題は長期化の様相を呈している。

FacebookはBOA(Bank of America)が目標価格を引き下げたこともあり、大幅に下落。
加えて、ウーバーの事故により、自動運転に対する懸念も拡大し、半導体大手エヌビディアも急落。
米経済を牽引するといわれていたFANG系の株は総じて下落局面入り。

これは日経平均と「米ドル/円」にとってもnegative材料となり、「株安、円高」の流れを加速させる材料となりうる。

ではその「米ドル/円」の動向をテクニカルでみてみる。

3)「米ドル/円」は節目の105円レベルでの調整を経て、次のターゲットは100円へ

「米ドル/円」はこのreportの今年のターゲットである105円を2月に早々に達成。
その後、104~106円台でのもみ合いがつづいている。

チャート:YJFX! MT4チャートより筆者作成

ただ上記のfacebook shockにより、ナスダックが続落。そしてNYダウの下落が加速すると、「米ドル/円」の調整は終わり下落が再開することになる。

「米ドル/円」を月足で見ると、2012年の安倍政権の誕生で「米ドル/円」は2015年に125.859円まで上昇した。その後は2016年6月のBrexitで98.907円まで下落後、11月米国大統領選挙で上昇し12月には118.661の高値をつける。

月足チャートで見ると、2015年から2016年の急激な上下の後で2017年は動きが弱くなっていたことがわかる。
この点は月足が21SMA(橙色)付近で推移していたことからも、マーケットは方向が定まらず、動いても平均値(21SMA)に回帰した動きであったことを示している。
「米ドル/円」は、その月足21SMAを今年に入ってから割り込む動きが続いている。
月足は1月、2月、3月と安値を更新して下げていて、前述のマーケット状況に合わせて下方向を探る動きとなっている。

また2016年の高値と安値でフィボナッチ・リトレースメント(紫色)した61.8%が106.453円にあるので、ここを割り込むと、フィボナッチからも下方向の可能性が強まり、複数のテクニカルが下方向を示すことになる。

そこで、月足の大きな動きでフィボナッチ・エクスパンション(緑色)して下値目標を計算すると、最初の目標値COPは102円にあることがわかる。
2015年高値125.859円、2016年安値98.907円、2016年高値118.661円で計算した結果がこのようになり、チャートを見ると、2016年11月の米大統領選挙でつけた11月の安値101.184円が意識されそうである。
加えて、これは月足であり、マーケットは動くとオーバーシュートすることもよくある。このため、大まかに「米ドル/円」の次のターゲットは100円レベルを想定している。

引き続き、100円への過程にある「米ドル/円」の行方に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2018年3月30日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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