スペシャル・トレンドレポート

2018年「ユーロ」を考える! ECB政策を大胆予測(松崎 美子氏)

2017年12月21日

とうとう今年も残すところあと10日となった。私も自分なりに来年の相場予想を立てているが、ユーロについてだいたいのイメージが固まってきたので、それをご紹介したいと思う。

2017年を振り返る

今年の欧州は、オランダ・フランス・ドイツなどで選挙が続く「政治の1年」となった。その中でも特に市場の関心度が高かったのが、4・5月に実施されたフランス大統領選。最終的に、マクロン大統領誕生となったことを受け、一気に政治リスクが払拭され、ユーロ上昇がスタートしたのもこの時期だった。

チャート:筆者作成

その後、6月27日(火)にポルトガル・シントラで開催された欧州中銀(ECB)年次フォーラムで、ドラギ総裁が「デフレからリフレへ」と発言したことがゲーム・チェンジャーとなったことは今更述べるまでもあるまい。この発言により、市場関係者は、早ければ9月/10月にも テーパリング発表の観測が出てきたと判断。ずっと抜けなかった1.13ドルが抜けたため、ユーロ上昇に弾みがついた。典型的な「Buy the rumour (噂が買う)」の動きである。

マーケットが一番「暴走する」のは、Buy the rumourの段階だ。つまり、将来起こり得ることを先取りする時期が美味しく、実際にそれが実現するころには、「Sell the fact(事実で売る)」となりやすい。チャートを見るとわかるが、9月7日(木)にテーパリング開始が発表された頃が、今年の高値となっている。

2018年のユーロを占う

来年のユーロ動向を占う上で私が重視しているのは、①イタリア総選挙 ②ユーロ圏統合深化 ③ECB金融政策の行方である。②統合の深化は早くても来年3月以降に徐々に具体的になるようなので、ここでは省略し、①と③について書くことにしよう。

イタリア総選挙

来年3月4日(日)には、イタリアで総選挙が予定されている。まだこの日程は確定ではないが、遅くても5月末までには実施されることになる。

総選挙についての詳しい記事は、またいつか書くとして、現状通りの中道左派連立となるか?それとも、ベルルスコーニ氏を筆頭とした中道右派勢力が勝つのか?はたまた、番狂わせで欧州懐疑派の5つ星運動が第一党となるのか?予断は許さない。

データ: 米セントルイス連銀ホームページ
ポルトガル 10年物イールド
イタリア   10年物イールド

総選挙に向けての不透明感を反映しているのが、他でもないイタリア国債である。上のチャートは、過去10年間のイタリアとポルトガル、それぞれの10年国債利回り。2009年のギリシャ危機発覚後ずっと、「ポルトガル>イタリア」という関係が続いた。

しかし、今年12月15日(金)に格付け大手:フィッチがポルトガルの格付けを上げると発表した。3カ月前の9月には、S&P社が格上げしたことにより、大手3社のうち2社がポルトガル国債をジャンク債から投資適格級に昇格させたのである。

良いニュースが続いたポルトガルに対し、これから政治的イベントを迎えるイタリア。市場心理を反映するように、今週に入り両国の利回りは逆転し、「イタリア>ポルトガル」となっている。

(注:国債利回りのチャート上の12月の利回りは、執筆時の利回りを引用)

データ: 米セントルイス連銀ホームページ
ポルトガル 10年物イールド
イタリア   10年物イールド

ECB テーパリング終了もあり?

この図は、ここからのECBの政策変更タイミングについて、私の独断で作成したものである。

筆者作成

さすがに、この予想通りになるとは思っていないが、万が一この予想が外れるとすれば、緩和終了時期が早まる方向となる可能性が高い。つまり、ユーロにとっての「買い材料」が来年後半にも出てくることを頭の片隅に留めておきたい。

2018年ユーロ予想

それでは、2018年ユーロ/米ドルを予想してみよう。執筆時のユーロ実効レートは、98.8012、ユーロ/米ドルのレベルは1.1810ドル近辺である。

このチャートのピンク枠部分は、過去にECB総裁がユーロ高けん制発言をしたレベルを表わしていて、ここから約5.5%ユーロ高になると、ピンク枠の下限に到達する。

当然であるが、その時々の加盟各国を取り巻く経済/財政状況などを考慮してECBはユーロ高/安と感じるのであり、そのレベルになると自動的に警告を促す訳ではない。ここでは、「もし歴史が繰り返されたら・・・」という前提で書いている。

チャート: 欧州中銀(ECB)ホームページ

ここから5.5%のユーロ高となった場合のユーロ/米ドルのレベルは、1.24ドルミドルとなる。ざっくりと勘定して、「2018年高値は1.25ドル台」としておこう。

それでは、下はどのあたりを意識すればよいのか?下のチャートは、ユーロ/米ドルの週足にベガス・トンネルを載せたもの。緑のトンネルは、1.1466ドルとなっている。ここもざっくりと「1.14ドル台」とする。

チャート:筆者作成

総合すると、2018年ユーロ/米ドル予想は、「1.14ドル台から1.25ドル台のレンジ」を予想する。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2017年12月21日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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