スペシャル・トレンドレポート

今年も年末に向けて上昇か? 「米ドル/円」118円台への回復も(西原 宏一氏)

2017年10月27日

1)今年も2016年に続き、risk off関連の報道が多数流されるも...

昨年は、6月のBrexit(英国のEU離脱)や、11月の米大統領選を筆頭に、政治的・地政学的リスクが市場参加者の注目を集めた。
マーケットはそのイベントにむけ、risk off相場となり、「株安、円高」が進行。

しかし、そうした懸念で「株安、円高」に振れるのは一時的。
それらのイベントに向け、risk offに振れた局面はすべて格好の買い場となり、イベント通過後の株は続伸、そして「米ドル/円」も昨年末には118.66円まで急騰した。

そして今年も今月までのマーケットを振り返れば、「フランス大統領選」や「北朝鮮情勢」など昨年同様、risk offの材料が満載。
特に過去2カ月、北朝鮮の挑発に関する報道は毎日のように流れ、マーケットは不安定な展開。

そして、北朝鮮の建国記念日前日の9月8日(金)のマーケットでは「陰の極」という相場展開となる。
つまり、マーケットの緊張は極限に達し、9月8日(金)の「米ドル/円」は一時107.32円という安値まで到達。

しかし、マーケットの不安とは裏腹に、北朝鮮の建国記念日にはなにも起こらず。

結果、昨年同様、risk offによる円高には耐久性がなく、翌週からの「米ドル/円」相場は大きく反発。わずか一カ月で約6円上昇するという急騰相場を演じた。

2)「米ドル/円」・Gold・「ユーロ/米ドル」、そして米10年債金利で9月8日(金)は重要な変化日

まず前述のように9月8日(金)に107.32円の安値に到達した後、大きく方向性を変えたのが「米ドル/円」。そして次がGold。

下図はGoldのチャート。

チャート:筆者作成

Goldも「米ドル/円」同様、9月8日(金)に1,357の高値をつけ大きく反落していて、9月8日(金)が重要な変化日。

下図は「ユーロ/米ドル」のチャート。

チャート:筆者作成

「ユーロ/米ドル」も9月8日(金)に1.2092ドルの高値に到達し急反落。

そして最後のチャートは米10年国債の利回りのチャート。

チャート:筆者作成

米10年債の利回りも9月8日(金)に2.014%の安値をつけ、大きく反発し、本日(10月24日(火))は2.4%を超えてきている。

この中で「米ドル/円」にとって最重要なのが、米10年債利回り。
今年の「米ドル/円」は米10年債の利回りの動きに大きく左右されている。

その米10年債の利回りが、9月8日(金)にボトムアウトし、上昇に転じているのが107.32円まで急落していた「米ドル/円」を6円近く急騰させた要因となっている。

3)オープン外債の増加、「米ドル/円」の上昇トレンドは変わらず、118円台への回復の過程に

加えて、「米ドル/円」の上昇をさらに加速させる要因のひとつに挙げられるのが、本日(10月24日(火))マーケットの注目を集めている「オープン外債(※)の増加」という報道。

(※)オープン外債=為替をヘッジせず、オープンで投資する外債

============================================

日生:新規資金の大半をオープン外債に、国債抑制継続-下期計画

日本生命保険は今年度下期(2017年10月-18年3月)の運用計画で、上半期と同程度と見込む新規資金の大半を、為替リスクを回避しないで投資するオープン外国債券に振り向ける方針だ。分散投資の推進や中長期的な視点での収益向上に取り組む。
24日記者説明した秋山直紀財務企画部長によると、下期の新規資金は上期の約8400億円と同程度を見込んでおり、「国内債券は少なくとも増やせる状況ではない。増加資金で増えるところは外国債券と株が少し」と述べた。
国内金利が低位で推移する中、下期の国内債券は、引き続き国債への投資は抑制。社債などクレジット投資は積み増し、全体の残高は横ばいとなる見通し。上期は残高が400億円減った。運用の中心となる超長期国債の利回りはやや上昇したが、国債投資の積み増し再開の水準については「20年-30年債で1%が引き続きの目線」と述べた。
外国債券の残高は増加を見込む。為替リスクを回避(ヘッジ)した形で投資する外国債券と、ヘッジせずにオープンで投資する外債を、為替や金利水準に応じて機動的に為替リスクのコントロールしながら配分する。
ヘッジ外債の残高は減少を計画。ヘッジコストの上昇が見込まれる中、上期に前倒しで5100億円積み増した。オープン外債の残高は積み増す。積み増す為替水準について、秋山氏は「金利がより高ければ多少、為替水準は幅が広くなる。金利が低ければたとえ円高でも投資するのはどうか」と述べた。上期は2300億円増となった。保有する外貨建て資産全体の通貨配分は米ドル6割、ユーロが2割。

出所 Bloomberg

============================================

マーケットでは、本邦機関投資家が下半期にオープン外債を増やすのではないか?という見方が増えていたが、この「日生」の記事により、その信憑性が高まり、「米ドル/円」の上値余地は更に拡大。

今月に入って、年金を筆頭とする欧米長期投資家による「日本株買い」と、それに伴うヘッジ目的の「米ドル/円」買いも目立っていた。

それに加え、前述のように本邦機関投資家がオープン外債を増やすということは、(外債買いが「円売り・ドル買い)となるため)更なるドル買いがマーケットに投下されることを意味し、「米ドル/円」の上値余地は更に拡大。

昨年同様、年末に向けて上値を伸ばしてきた「米ドル/円」の行方に注目したい。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2017年10月27日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について株式会社CKキャピタル、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。
※コンテンツ、データ等の著作権はワイジェイFX株式会社に帰属します。私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。

関連する記事

投資にかかる手数料等およびリスクについて
当社ホームページ記載の金融商品へのご投資には、商品ごとに所定の手数料等をご負担いただく場合があります。各商品には価格の変動による損失が生じるおそれがあります。また、店頭外国為替証拠金取引をお取引いただく場合は、当社所定の証拠金が必要となり、元本を超える損失が生じるおそれがあります。なお、商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の「契約締結前交付書面」、「契約締結時交付書面」及び「目論見書」等をよくお読み頂き、それら内容をご理解の上、ご自身の判断と責任において、自己の計算によりお取引を行ってください。

FX・バイナリーオプションならヤフーグループのYJFX!
ワイジェイFX株式会社はヤフー株式会社
(東証一部上場 4689)のグループ企業です。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第271号
加入協会 日本証券業協会 
一般社団法人金融先物取引業協会 
一般社団法人日本投資顧問業協会

YJFX! from Yahoo! JAPAN