スペシャル・トレンドレポート

9/24はドイツ連邦議会選挙! 連立政権5つのシナリオ(松崎 美子氏)

2017年9月20日

2017年はフランス大統領選をはじめとする「選挙年」だった。その締めくくりとも言えるのが、9月24日(日)に実施されるドイツ連邦議会選挙だ。

今回のコラムでは、日本では情報があまりない「ドイツ総選挙」について書いてみたいと思う。

ドイツ連邦議会選挙基礎知識

まず最初にドイツ連邦議会選挙(総選挙)の基本的なところを説明しよう。

投票日と時間

投票日 : 2017年9月24日(日)
投票時間 : 現地時間 午前8時~午後6時

有権者数

約6,150万人、内訳は、男性 3,000万人・女性 3,150万人

ドイツ連邦議会について

基本的に連立政権となることが一般的。選挙時の得票率が5%以下の党には、議席配分が認められない
下院議席数 : 630

2013年総選挙時の得票率と議席配分

ドイツの連邦議会(下院)の任期は4年となっていて、前回の選挙は2013年9月22日に実施。

データ: 独連邦選挙管理官(Federal Returning Officer) 2013年連邦議会選挙結果

2大政党の政策比較

伝統的2大政党であるCDU(キリスト教民主同盟)と、SPD(社会民主党)それぞれの政策内容を書き出してみた。

防衛、ユーロ圏に関する政策内容が大きく違うのがポイントかもしれない。

連立政権 5つのシナリオ

ドイツでは伝統的に党のカラーを使って、連立名称としている。例えば、メルケル首相率いるCDU/CSUは『Black(黒)』、SPD党は『Red(赤)』となるため、この2大政党の大連立は、【Black-Red連立】と呼ばれる。それ以外の政党は、左翼党 Linke(Red/Pink)、緑の党(Green)、そしてFDP(Yellow)と続く。

この表は最新の世論調査での各党の支持率の平均値を取り、思想の左右順に並べてみた。

出所: 数々の報道より筆者作成

Black-Red連立(大連立)  得票率合計: 62%

現在の独議会が、まさに大連立政権である。中道右派と中道左派との組み合わせなので、なにかと問題が多いのは事実であるが、伝統的な2大政党であるだけに、政策運営は上手い。そして驚いたことに、有権者の間ではこの2大政党による大連立を支持する声は、意外と高い。

しかし、SPD党はメルケル首相やCDU/CSUと連立を組むのを好まない。その理由は、2005年にも大連立を組んだが、その次の2009年総選挙でSPD党は大敗を喫した。そのため、CDU/CSUとの大連立は縁起が悪いと思い込んでいる党員がSPDには多いからと言われている。

Red-Red-Green連立   得票率合計: 41.6%

SPD(Red)、左翼党(Red/ピンク)と緑の党(Green)の3党による連立。1998~2005年の間、SPDと緑の党が連立を組んでいる。そのため、この2党はお互いをベスト・パートナーと思っていて、政策運営はかなりスムーズにいくと予想される。

この連立政権が誕生した場合、SPDから首相を出し、緑の党からは財務相が選出される可能性も考えられる。ただし、最大の問題点は、エコ問題に対するアプローチの違いや姿勢であろう。

ジャマイカ連立(Black-Green-Yellow)   得票率合計: 56.4%

CDU/CSU(Black)+緑の党(Green)+FDP(Yellow)の3党による連立。色の組み合わせがジャマイカの国旗と同じであるため、「ジャマイカ連立」と呼ばれている。

CDU/CSUとFDPは対ユーロ圏政策をのぞいて思想も似ているが、CDU/CSUと緑の党は最悪の組み合わせで、長続きしないことも考えられる。

この連立政権が誕生した場合、CDU/CSUと緑の党との共通点は、脱原発の部分だけとなり、財政・外交問題などでの意見の相違がかなり目立ってくるだろう。基本的に全ての面において考え方が違う連立政権となってしまうため、メルケル首相は議会の採決の場では、他の党の協力を請わなければならない局面も想定される。

Black-Yellow連立  得票率合計: 48.2%

CDU/CSU(Black)とFDP(Yellow)の組み合わせで、メルケル首相が、一番好ましい連立相手としてFDP党を挙げている。2009年から13年まで続いた第2次メルケル内閣は、この2党による連立であった。ここで問題となるのは、果たしてFDPの得票率が5%台に届くか?万が一このハードルをクリアーしても、CDU/CSU(Black)-FDP(Yellow)連立が50%以上の議席を獲得できるか?という次のハードルが待っている。

前回2013年総選挙ではFDPの得票率は5%に届かなかった。支持率低下の理由として、原子力推進派である点が挙げられている。欧州では1986年のチェルノブイリ原発事故がきっかけとなり、脱原発の機運が高まっているため、逆風が強い。

Black-Green連立  得票率合計: 46.8%

CDU/CSUと緑の党は最悪の組み合わせであり、長続きしないことが考えられる。理由としては、中道右派と左派との組み合わせであり、なにかにつけて衝突が絶えないと予想されるため。事実、地方自治体ではCDU/CSUと緑の党の組み合わせが存在するが、国政レベルでは前例がない。

ただし、唯一の好材料は、最近の緑の党は今まで以上に政治的権力を持ちたいと考えていて、意外と歩み寄るのではないか?とも言われている。

為替への影響

今回のドイツ総選挙で、よほどどんでん返しとなるような結果が出ない限り、ユーロが大きく窓明けして始まることは、あまり考えていない。最悪のシナリオは、メルケル首相率いるCDU党が第1党になれず、ユーロは一旦下落することだ。

最近のユーロを動かしている材料は、欧州中銀(ECB)の金融政策変更のタイミングであり、政治ネタはあまり出てこない。強いて政治ネタを挙げれば、10月1日(水)に実施されるスペイン・タルーニャ自治州の独立を問う住民投票くらいであろうか。

チャート:筆者作成

これは、「ユーロ/米ドル」4時間足チャートに、ベガス・トンネル(144/169EMA)を載せたものだ。今年4月からずっと、ベガス・トンネルがサポートとなり、上昇を続けている。執筆時の「4時間足トンネル」のレベルは、青く丸で囲んだ1.1864/84ドルである。当然であるが、4時間ごとにトンネル・レベルは変化するが、大雑把に言って1.18ドル台でサポートされるのか?注意していきたい。

万が一、4時間のトンネルを大きく下回るようなことになると、1.17ドルLowが視野に入ってくる。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2017年9月20日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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