スペシャル・トレンドレポート

今年上半期の残念トレードと 通貨の天秤の考え方について(松崎 美子氏)

2017年8月16日

日本ではお盆の真っ最中であり、今週はマーケットから離れている読者の方も多いと思われる。それもあり、今回のコラムではあまり難しい話はやめて、私自身の上半期のトレードを振り返ってみようと思う。

私が考えるトレードの種類

私はFX取引で行なううえで、トレードの種類を3つに分けている。

収益が出せ、結果にも満足しているトレード

自分なりにシナリオを描き、その通りに動き、結果として収益が出る大満足のトレード。

損失は出したが、結果は納得しているトレード

自分のシナリオ通りにいかず、結果として損失を出してしまったトレード。しかし、結果に悔いは残らず、次は頑張ろう!と前向きになれる。

ちなみに、ポジションを持つ時に、損切りレベルをあらかじめ設定しているため、「損失が出て後悔するトレード」は、基本的にやっていない。

収益が出せるはずだったのに取引しなかった残念トレード

頭の中できちんとしたシナリオが出来ていて、ポジションを持つつもりであったのに、なぜか魔が差して(?)取引に至らなかった後悔編。

やってはいけない「残念トレード」

YJFX!さん主催8月3日(木)のオンライン・セミナーで、私は「ユーロ買い/スイス・フラン売りをすべきだと思いながら、どういうわけかポジションを作らなかったことを、今でも非常に後悔している。」と話した。そうしたら、セミナーをご覧になっていたあるお客様が、「でも、損失が出ていないのだから、後悔しなくても良いのでは?」という趣旨のコメントをチャットに書き込まれた。念のために、その時使用した資料は以下である。

「損失が出ていないのだから、別にいいじゃないか・・・」 理屈上ではそれは正解かもしれない。しかし、トレードで生計を立てている者として、自分が描いていたトレードを実行せず、手に出来ていた収益をミスミス逃すことは、専業トレーダーとして失格だと私は考える。

相場には、買う・売る・待つの3通りの選択が出来る。「待つも相場」とは奥の深い格言ではあるが、待つにはそれなりの理由があり、今回の私のように、シナリオが出来ているのにも拘らず何もせずにチャンスを逃したなどというのは、言語同断だろう。

だから私はファンダメンタルズを勉強する

どうしてこれほどまでに、「ユーロ買い/スイス・フラン売り」の取引をやらず後悔しているのか?それについて説明したい。

私は主要通貨に対して、【通貨の天秤】を作っている。これは、2冊目の著書「ずっと稼げるロンドンFX (ファンダメンタルズ取引の実践テクニック)」の中で何度も紹介したが、ざっくり言えば12種類のファンダメンタルズ分析の中でも特に重要な4項目(政治・財政・金融政策・経済)を選び、天秤にかけ、その通貨の方向性を決めるやり方だ。

ここでは【ユーロの天秤】を紹介しよう。

2016年12月に作成した「2017年予想」

毎年12月、クリスマスが終わったあと、翌年用の通貨の天秤を作成する。これが、昨年12月に作った【2017年ユーロの天秤】である。

「政治」が売り材料、「財政」が買い材料。「金融政策と経済」が、それぞれニュートラル。つまり、総合すると、売り材料として挙げた「政治」に対する不安感が払拭されない限り、積極的に買い進むのは危険であるという判断をした。

2017年5月に作り直した「通貨の天秤」

ユーロを取り巻く環境が一変したのは、今年4月/5月に実施されたフランス大統領選挙だ。その選挙でヨーロッパ寄りのマクロン大統領誕生が確認された瞬間、全てが変わった。それまでずっとヨーロッパを取り巻いていたポピュリズム台頭懸念が後退。そして、それと歩調を合わせるかのように、ユーロ圏のインフレ率が2%近くまで上昇し、「早ければ6月のECB会合にも、テーパリング(国債購入額の減額)の発表があるのでは?」という予想まで出始めていた頃である。

私はフランス大統領選の結果が出てからすぐに、【ユーロの通貨の天秤】を作り直したことは、ここに書くまでもない。これが、その新しい天秤である。

昨年クリスマスに作ったものと比較すると、買い材料が2つに増え、政治も売り材料からニュートラル寄りになってきた。今後はイタリアで何か大問題が起きない限り、それ以外のファンダメンタルズ分析では、「ユーロは買い」と変化してきた。

ユーロ買い/スイス・フラン売りの根拠

FXは、売り買い2つの通貨を選ばない限り、取引は成立しない。この場合は、ユーロ買いに対し、売り通貨を選ぶ作業がまだ残っていることになる。この時点で私は既に「ユーロ買い/英ポンド売り」のポジションを持っていたので、英ポンド以外の売り通貨が欲しい。円も考えたが、いまひとつ気が乗らない。

そこで選んだのが、スイス・フランだった。その根拠は、「欧州中銀(ECB)が完全に緩和策を解除し、利上げに動かない限り、スイス中銀は身動きが取れない」からである。つまり、ECBがマイナス金利をゼロに戻さない限り、スイス中銀はここからもずっと、マイナス金利政策の継続を強いられるだろうと考えたからだ。

これが主要国中央銀行の「ここからの金融政策の方向性」をまとめたものであるが、ご覧のように日本とスイスの緩和策は、まだまだ継続するようだ。そして、スイスの場合、万が一スイス・フラン高になれば、中銀がスイス・フラン売り介入を実施する可能性も残っている。

総合すると、通貨の天秤で「買い」と判断したユーロに対し、「売り」で攻める通貨としては、円よりもスイス・フランの方がポテンシャルが高そうだと判断した。しかし、信じられないことに、このトレードを私はやらなかった・・・(詳しく言うと、1度ポジションを持って、すぐに利食いしたまま、2度目のトレードを見逃したというのが正解である)

FX取引のアプローチの仕方は、人それぞれ、正解はない。テクニカルで判断する人もいれば、私のようにファンダメンタルズを切り口にする人もいる。最終的に皆さんが心地よいアプローチをするのが一番であり、そうでないとFXそのものが苦痛になってしまう。しかし、今回の私のように、シナリオが出来ているのであれば、必ず取引をし、そこから新しい学びを得ることは、とても大事なことであると思っている。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2017年8月16日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について松崎美子氏、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。
※コンテンツ、データ等の著作権はワイジェイFX株式会社に帰属します。私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。

関連する記事

投資にかかる手数料等およびリスクについて
当社ホームページ記載の金融商品へのご投資には、商品ごとに所定の手数料等をご負担いただく場合があります。各商品には価格の変動による損失が生じるおそれがあります。また、店頭外国為替証拠金取引をお取引いただく場合は、当社所定の証拠金が必要となり、元本を超える損失が生じるおそれがあります。なお、商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の「契約締結前交付書面」、「契約締結時交付書面」及び「目論見書」等をよくお読み頂き、それら内容をご理解の上、ご自身の判断と責任において、自己の計算によりお取引を行ってください。

FX・バイナリーオプションならヤフーグループのYJFX!
ワイジェイFX株式会社はヤフー株式会社
(東証一部上場 4689)のグループ企業です。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第271号
加入協会 日本証券業協会 
一般社団法人金融先物取引業協会 
一般社団法人日本投資顧問業協会

YJFX! from Yahoo! JAPAN