スペシャル・トレンドレポート

ユーロ上昇トレンド継続! 注目の「ユーロ/円」は135円台へ(西原 宏一氏)

2017年7月31日

1)シントラショックで、ユーロは続伸。「ユーロ/米ドル」は一時1.17ドル

5月26日のスペシャルレポートでも執筆した「ユーロ/円」だが、その後も順調に続伸し、7月11日には前レポート(※)のターゲットである130円台まで到達。

(※本邦機関投資家の欧州投資再開!「ユーロ/円」130円超の可能性)

この「ユーロ/円」の上昇を加速させたのが「シントラショック」である。

シントラというのはポルトガルの都市名。

6月末にシントラで行われたECBフォーラムでのドラギ総裁の下記のコメントがユーロの上昇を牽引した。

●デフレ圧力はリフレに変わった

●物価下押し圧力は、一時的要因

このコメントにより、マーケットは「早ければ9月のECB理事会でテーパリングが決定し、スタートは2018年1月」といった憶測が台頭し、ユーロが急伸した。

デフレがリフレに変わったということは、これまでの緩和政策が必要な状況から、引き締めに向かうことと理解でき、物価下落の圧力が一時的要因なら、こちらも緩和を続ける必要性が弱まっていることになるからだ。

その後、7月20日(木)のECB理事会後の会見では、ややハト派なコメントを披露したドラギ総裁だが、マーケットの認識は、「シントラショックで加熱したユーロマーケットを沈静化することを狙った」、との認識が大半で、ユーロの上昇トレンドは変わらない。市場参加者は引き続きユーロ買いスタンスを取っている、ということになる。

その後7月25日(火)の欧米市場での「ユーロ/米ドル」は一時1.1712ドルまで到達。

このレベルは2015年8月の高値である1.1714ドルとほぼ同値である。

2015年8月24日(月)は、NYダウが1000ドル以上の急落をした日で、「米ドル/円」も急落となった。その後「ユーロ/米ドル」は、高値がこの1.1714、安値は、今年1月3日(火)の1.03408ドルの間でレンジとなっていて、このレンジの高値まで上昇してきた意味は重要である。

よって、短期筋のユーロロングが少しずつ積み上がってきているため、調整の可能性はあるが、「ユーロ/米ドル」、「ユーロクロス」の上昇トレンドは変わらないと考える。

「ユーロクロス」の中でも当レポートで注目しているのが「ユーロ/円」である。

既報のように5月のレポートのターゲットである130円には既に到達した。

そこで、この後のユーロ上昇とともに、「ユーロ/円」がどこまであがるのかをテクニカルで検証してみる。

2)「ユーロ/円」130円レベルのレジスタンスでのもみ合いを抜ければ、次は135円。

「ユーロ/円」の週足。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

中期での「ユーロ/円」の動きを確認すると、2016年6月24日(金)のBrexit時に到達した安値となる109.554円をボトムに上昇トレンド入り。

昨年6月の109円台を底に上昇する過程で、「ユーロ/円」は過去4度、75週移動平均線に上値を押さえられていたが、フランス大統領選後の114円台からの上昇で、このレジスタンスを上抜けてきた。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

75週移動平均を上抜けたことで、「ユーロ/円」が上昇トレンドであることを確認。

では、「ユーロ/円」はどこまで上がるのか?

それは、「ユーロ/円」の上値の目処をまずフィボナッチ・リトレースメントで探ると起点の高値は2つ選択できる。

まずは、2014年12月8日(月)につけた「ユーロ/円」の高値となる149.758円。

これは、「米ドル/円」がアベノミクスの上昇相場で121円の高値をつけた局面である。

そしてもうひとつは、2015年6月4日(木)高値、141.06円である。

2014年12月高値149.758円と昨年(2016年)6月安値109.57円のフィボナッチ・リトレースメント(青色)では、61.8%=134.400円、38.2%=124.912円で、現在は61.8%に向けて上昇していることがわかる。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

そして、もうひとつの高値である、2015年6月高値141.054円と昨年(2016年)6月安値となる109.554円でフィボナッチ・リトレースメント(緑色)すると、61.8%=129.021円、38.2%=121.587円となり、現在値は61.8%を超えた付近にあり、上を週足200SMA(130.654円)が押さえている。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

ここでは、149.758円(青色)または141.054円(緑色)から109.554円への大きな下落の動きから戻り高値を計算。特に141.054円からのリトレースメント(緑色)では61.8%を上抜けていて、さらに上昇することがテクニカルからも予想される。

これは前述のファンダメンタルズでのユーロ買いと一致している。

加えて、高値目標値の計算としてはフィボナッチ・エクスパンション(橙色)も使うことができる。

昨年(2016年)6月のBrexit時の安値109.554円と、昨年(2016年)12月高値124.097円、そして今年(2017年)4月のフランス大統領選挙を前にした安値114.849円の3点で上値目標値が計算できる。

このフィボナッチ・エクスパンション(橙色)の計算をすると、最初の目標値(COP)は123.837円で既に通過し、現在は目標値(OP)が129.392円にあり、この付近で推移している。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

チャートをご覧いただくと、先ほどのフィボナッチ・リトレースメントの61.8%(129.021円=緑色)と、エクスパンションのOP(129.392円=橙色)は全体が40円もの大きな相場の値動きの中で40銭程度しか差がない。

このため、129円から130円付近はフィボナッチが重なる強い上値抵抗となる可能性が考えられる。

また、この130円付近には200週移動平均線もあり、この点からも、130円前後が、当面の上値抵抗となる可能性が考えられる。

従って本稿執筆時点では130円付近でもみ合いを演じているが、今後ECBの出口論が活発になることが予想され、「ユーロ/円」の上昇トレンドに変わりはない。

仮にこれらの130円レベルの上値抵抗を上抜けてくるようであれば、149.758円と109.554円の61.8%(134.400円)が位置する135円付近への上昇も想定できる。

YJFX! MT4チャートより筆者作成

このようにテクニカル分析でも、「ユーロ/円」の上昇余地はかなり拡大しているといえる。

過去2カ月、マーケットのコンセンサスどおり続伸し、130円に到達した「ユーロ/円」。

ユーロ高トレンドは変わらず、次のターゲットである135円に向けて続伸中の「ユーロ/円」の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2017年7月31日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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