スペシャル・トレンドレポート

6月はフランス議会選挙! 「各政党」の議席数に注目(松崎 美子氏)

2017年5月11日

2017年欧州の最大リスクとして挙げられていたフランス大統領選が終わった。久しぶりに「予想通りの結果」となったことを受け、ポピュリズム勢力の後退という声も聞かれる。

しかし、冷静に分析すると、今年の大統領選では、はじめて伝統的2大政党に所属しない候補者が大統領となった。敗れたルペン候補はマクロン氏をエスタブリッシュメントと位置づけたが、既存政党に属さないマクロン氏も、反エスタブリッシュメントの候補者と受け取れるのではないか?

今回のコラムでは、マクロン大統領誕生を受けての欧州での反応、そして6月のフランス議会選挙に関する予想などを紹介したい。

大統領勝利宣言演説での出来事

5月7日(日)の大統領選・決選投票の夜、マクロン氏はパリのルーブル美術館前で勝利宣言を行なった。新大統領の登壇とともに流れた曲は、 「歓喜の歌」であった。この楽曲は1972年に「欧州の国歌」として指定されている。フランス国内では、国歌であるラ・マルセイエーズを選ばなかった事に対し、批判も出ているとのことである。

マクロン誕生を喜ぶEU関係者

マクロン氏が当選確実と知った時、真っ先に連絡を取ったのがドイツのメルケル首相だった。

メルケル首相

オランド大統領時代には冷え切っていた独仏関係。同大統領はドイツの押し付けがましい緊縮財政策に背を向け、スペインやイタリアなどの南欧州各国との連帯を深めた。EUサミットなどの重要会議では、会場に入る前に独仏トップ同士が事前ミーティングを持つのが伝統的であるが、オランド大統領の時代にその慣習は終わった。

しかしマクロン新大統領は真っ先にメルケル首相に連絡し、互いにヨーロッパ統合の深化を願ったとされており、この瞬間から独仏関係は新しいステージを迎えたといっても過言ではない。

シュルツ社会民主党(SPD)党首

EUには「5人の大統領 the 5 Presidents」がいて、この5人とは以下の役職を指す。

  • EU大統領 (ポーランド人のトゥスク大統領)
  • 欧州議会議長 (イタリア人のタイヤーニ議長)
  • 欧州委員会委員長 (ルクセンブルグ人のユンケル委員長)
  • 欧州中央銀行(ECB)総裁 (イタリア人のドラギ総裁)
  • ユーロ圏財務相会合議長 (オランダ人のダイセルブルーム議長)

2017年9月24日(日)のドイツ議会選挙で、メルケル首相と争うシュルツSPD党首。同氏は日本での知名度は高くないが、ヨーロッパでは高い。その理由は、今年1月まで欧州議会の議長であったからである。もし、シュルツ氏が新首相となった場合、独仏関係は新しいトップ同士の関係となる。

 

6月議会選挙までの道のり

以下は、6月の議会選挙までの日程をまとめたものである。

 

6月の選挙で大統領が率いる「前進!」党は、フランス577選挙区全てに候補者を立て、その半分は女性候補者にするようであるが、同党は昨年結成されたばかりの新党であり市政・国政いずれの選挙で戦った経験がない候補者も出てくることが心配されている。

議会選挙結果として、以下の4つのシナリオが描けるであろう。

  1. 1)
    「前進!」党が下院の単独過半数以上の議席を獲得
  2. 2)
    「前進!」党の議席が過半数割れし、少数派政権の誕生となる
  3. 3)
    「前進!」党と社会党の連立
  4. 4)
    コアビタシオン(ねじれ国会)となる

しかし、そんな「前進!」党に助っ人が現れた!マクロン大統領の古巣である社会党所属のヴァルス元首相は、「議会選挙では、大統領が所属する「前進!」党の応援をする。社会党はこのままでいけば、既に終わった政党となり、現状では政権を取ることは絶対にない。」と語り、同氏の取り巻き議員達も一緒に選挙キャンペーンを展開する可能性も出てきたようだ。

マクロン大統領の最大の難点は、「政治家としての経験が浅い」ことかもしれない。若干39歳ということもあり、仕方がないかもしれない。ただし、「経験がない」ということは見方を変えれば、大胆な変革をもたらせることが出来ると、前向きに捉えることも必要であろう。

 

新政権:首相候補

マクロン大統領は、首相候補を既に決めているそうであるが、以下の5名が候補に挙がっている。やけに女性が多い。

 
 

データ: 複数の報道

6月議会選挙での各党議席予想

大統領選が終わったばかりで、議会選挙に向けた世論調査結果が入手できないため、いろいろな報道を読み比べ、以下の数字を拾った。

 
 

データ: 複数の報道

コンセンサスとしては、決選投票でマクロン候補の得票率が60%以下であれば、単独過半数は絶対に無理。65%以上であれば、奇跡的にギリギリ過半数となるという予想である。最終的に同氏は66.1%の得票率を獲得したが、現時点での予想は、過半数獲得は無理となっていた。

 

ここからのマーケット

このチャートは、「ユーロ/米ドル」週足に200週移動平均線(SMA)を入れたもの。下段の青いラインは、「ユーロ/米ドル」のプライスと200週SMAとの乖離を示している。

 
 

チャート: 筆者作成

水色と黄色のハイライトを入れたが、黄色の部分は乖離が大きくなり、いつ反動してもおかしくない部分。水色の部分は、一旦そこに入るとかなり下落するサイン、逆にそこから抜け出せば(チャートの赤い点線丸部分)は、ユーロは大きく上昇するが、抜け出しに失敗した場合(黄緑の点線丸の部分)はまた下落に逆戻りとなる。

現在の乖離水準は、ちょうど水色の部分の上限ギリギリに位置している。果たして今回は素直に上昇するのか?逆に戻ってしまうのか、大きな動きに繋がりそうだ。

 

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2017年5月11日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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