スペシャル・トレンドレポート

リスク・オン再開!米ドル/円は 英ポンド/円に呼応し上昇へ(西原 宏一氏)

2017年4月28日

1)フランス大統領選第1回投票は無事通過。マーケットは急速にリスク・オンに回帰

今月のマーケットの注目はなんといっても、2017年最大の政治リスクと言われていたフランス大統領選挙。

その第1回投票が4月23日(日)に行われました。

11名の候補者のうち、4名の接戦になるという大混戦となり、世界中の注目を集めていた。

この選挙においてマーケット参加者の脳裏に浮かぶのは、昨年の「Brexit」。

Bremain(EU残留)が規定路線だったのであるが、結果は驚きのBrexit(EUからの離脱)。

結果、「英ポンド/円」は121円までの大暴落を演じている。

そのため、混迷を極める今回のフランス大統領選においても、多くの投資家はヘッジを余儀なくされることに。

つまりユーロの暴落に備えざるを得なかったわけである。

フランス大統領選での混乱は株の急落も引き起こすため、ヘッジに選ばれた通貨ペアは「ユーロ/米ドル」よりも「ユーロ/円」。

オプションマーケットでは1カ月もののリスクリバーサルが6.7%と高騰。

簡単にいってしまえば、多少リスクを払っても「ユーロ/円」の暴落に備えざると得なかったというほどオプションマーケットでは「ユーロ/円」急落に対する警戒感は高まっていた。

しかし1回目の投票結果はマーケットが一番好感する、「マクロンvsルペン」という結末に。

この組み合わせだと、第2回となる決戦投票でもマクロンが勝利する可能性が極めて高く、メディアによっては早くも「マクロン新大統領」という表現もみられるようになった。

この結果を受けて、マーケットは即座にリスク・オンに。

まさかの自体に備えていた「ユーロ/円」のヘッジはオプションも含めて、価値が急速に下がるのでオプションのカバーに加え、「ユーロ/円」の急速な買い戻しが進み、「ユーロ/円」は急騰。

本稿執筆時点(4/26)の「ユーロ/円」は一時121.87円まで急反発している。

リスクを嫌って待機していた投資資金もいっせいにマーケットに戻ってきて米株も日本株も急上昇。呼応して「米ドル/円」も111円台まで反発している。

2)「英ポンド/円」の急騰が「米ドル/円」の上昇を牽引、「米ドル/円」は115円へと反発

この「ユーロ/円」の反発の1週間前に上昇を始めている通貨ペアがある。

それは「英ポンド/円」。

4月18日(火)英国のメイ首相が、EU離脱に向けた交渉方針について国民に信を問うため、総選挙を6月8日(木)に前倒しして実施すると発表。

現職のメイ首相は「Brexit」という想定外の結果の責任を取って辞任したキャメロン前首相から政権を引き継いでいる。このため野党・労働党からは総選挙を経ていない、国民の信を得ていない、との批判がある。そこで総選挙に勝利し、英国一丸となって欧州連合(EU)との離脱交渉に臨むため、メイ首相が予想外の賭けに出たわけである。

この報道に対し、ドイツ銀行は「ゲームチェンジ」と表現。

ドイツ銀行は「2017年末までに「英ポンド/米ドル」は1.06ドルまで下落する」と予想していたが、今回のメイ首相が予想外の賭けに呼応してこの予測を撤回。

「英ポンド/円」は長らくレジスタンスであった140円を突破していて、本稿執筆時点(4/26)では143円まで急騰している。

▽「英ポンド/円」日足

(筆者作成)

「英ポンド/円」はテクニカルでも多くの反発のサインを点灯している。

<1>4月18日(火)に200日移動平均(=137.22円)を上方へブレイク。

<2>昨年10月の安値である124.818円と昨年12月の高値である148.457円の50%のポイントが136.637円であり、今回50%をボトムに反発していること。

<3>日足のTD -Comboはカウントダウンを終了し、「英ポンド/円」の下落トレンドの終焉を示唆していること。

<4>筆者が使用しているMACD Predictor(MACDをロウソク足チャートにプロットしたもの)も上昇方向にブレイクアウト。

ドイツ銀行が示唆するように「英ポンド/円」の日足のインディケーターは軒並みボトムアウトを示唆。

今月に入ってからの「英ポンド/円」と「ユーロ/円」のボトムアウトのサインは、当然「米ドル/円」での円安を牽引する。

フランス大統領選直前に「米ドル/円」は108円台前半まで下落していたが、108.00円のサポートは守られている。

そして前述のクロス円の反発とともに「米ドル/円」も反発。

フランス大統領選を無事通過したことで、リスクを嫌って待機していた本邦機関投資家の資金もマーケットに帰ってくる。

今週彼らは断続的に「米ドル/円」、「ユーロ/円」、「英ポンド/円」の買いをマーケットに断続的に投入。

110円台を回復した「米ドル/円」は一気に111円台ミドルまで反発している。

3)フランス大統領選に加わった、東アジア危機

フランス大統領選挙の第1回投票(4月23日)前後にリスク要因としてマーケットに注目されていたもうひとつが、北朝鮮の地政学リスク。

こちらの北朝鮮問題はまだ根本的に解決したとはいえないが、リスクが高まっていた4月25日(火)の朝鮮人民軍創立記念日は混乱もなく通過。こちらの地政学リスクの減少もマーケット参加者の回帰要因となる。

マーケットに機関投資家がもどってきたことによりリスク・オンのマーケットが再開。「英ポンド/円」は148円に向けて反発、呼応して「米ドル/円」も115円に向けて上昇する公算が高まっている。

ゲームチェンジを演じた「英ポンド/円」と呼応して値をあげている「米ドル/円」の動向に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2017年4月28日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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