「米ドル/円」ダブルボトム完成で118円台狙う!
先週の米国雇用統計を終えて、3月15日(水)のFOMCにおいて米国利上げが確定的となった。米国は年内3回程度の利上げを予定していて、トランプ米大統領が就任前にイエレンFRB議長の政策を批判した事から、大統領就任後に辞任するとの憶測があったが、任期を全うするつもりだと述べたイエレンFRB議長としては、年内に金融正常化を達成したいと考えているのではないか。為替市場において変動要因の一つが金利動向である以上、年内米ドル上昇という流れは継続されると予測する。また、今年は欧州選挙イヤーでもあり、欧州各国は昨年から続くポピュリズムの流れを軽視できない状況であり、燻っているギリシャ債券問題も根底にあることを考慮すると、欧州通貨対米ドルに関しては、上値の重い状況は継続となり、米ドルの独歩高というバイアスは暫く続きそうだ。
「米ドル/円」の目標値
「米ドル/円」に関しては、対米ドルで弱い欧州通貨の影響で、クロス円の下落がどこまでの影響を与えるかが問題になるが、テクニカル的には2月7日(火)安値111.59円、2月28日(火)安値111.69円に対し、ネックラインである114.95円を突破したことで、ダブルボトムが完成し、上値目標は118.31円となる。

目先の動きで計測すると2月28日(火)安値111.69円と3月3日(金)高値114.74円と3月6日(月)安値113.55円からの「フィボナッチ・ターゲット(拡張上昇)」で61.8%の115.43円レベルを3月10日(金)に達成していて、次の100%が116.60円レベル、161.8%が118.48円レベルとなることから、116.60円近辺が目先の目標になりそうだ。

「米ドル/円」下落要因は
現時点で考えられる、「米ドル/円」の下落要因としては、①トランブ米大統領による米ドル安誘導、②欧州選挙による世界的な株の下落が挙げられる。①のトランブ米大統領に関しては、今月は1月や2月ほど、迷走する動きはなかったが、影響力は大きく、1~2円程度の下落は想定しておく必要がある。重い要因としては②の欧州選挙による懸念である。オランダ選挙・フランス大統領選挙・ドイツ選挙など目白押しとなっている。昨年の流れでポピュリズム派が台頭した場合、EU経済の悪化から、欧州株・米国株・日本株などが下落となった場合、欧州通貨安がクロス円に波及する可能性があり、米ドル安ではなく円高に流れてくるだろう。特に昨年あたりから、リスク回避の動きが出た場合には、日経平均と「米ドル/円」の同時下落となっている。以上の点を下落要因として認識しておく必要はありそうだ。
遠藤 寿保プロフィール

- 遠藤 寿保(えんどう としやす)
- 98年日本初のFX事業開始から、Web広告やセミナー運営、リスク管理啓蒙などFX業務全般に携わる。数多くの一般投資家と接しながら、現在、YJFX!にてFXエバンジェリストとして情報配信・FXコラム執筆・セミナー活動等を行っている。