スペシャル・トレンドレポート

日米貿易不均衡改善と減税政策、 3月「米ドル/円」反騰の可能性

2017年2月24日

1)日米貿易不均衡改善への道筋

2月の「米ドル/円」は大きな動きはなし。(本稿執筆時2/21)

注目された日米首脳会談当日(2/10)までは、不透明感からじわじわと円高が進んでいたが、会談自体は成功裏に終了し、円高リスクは大きく後退。しかし、まだトランプ政権の経済政策が具体的に出てきているわけではないので、「米ドル/円」は調整での持ち合いである111円から116円のレンジを抜けられない状態が続いている。

振り返ってみれば、2016年11月の米大統領選挙後のわずか1カ月で「米ドル/円」は一気に約18円暴騰。昨年の12月16日(金)に118.66円という高値に到達し、すでに2カ月を経過している。短期間に急騰したため、「米ドル/円」は調整相場となっているが、いずれ「米ドル/円」は持ち合いを抜ける動きになるであろう。ただ、そのためにはレンジをブレイクするきっかけがほしいところ。

そのきっかけのひとつになりそうなのが、日米貿易不均衡是正への可能性の報道。

財務省が2月20日(月)に発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸入額は前年同月比8.5%増の6兆5088億円。これは2年1カ月ぶりのプラス。

そして注目は対米の数値。
米国向け輸出は6.6%減。自動車は10.1%減。
そして米国からシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)159億円分が初めて輸入したことが話題になっている。米国からのシェールガスの輸入はトランプ米大統領が訴える貿易不均衡の是正を可能にする。貿易不均衡が改善されれば、トランプ政権が持つ「保護主義」という側面からくる不安感をマーケットが払拭する公算が高まる。これは円安要因。

今後もこの日米貿易収支の推移には注目である。

2)「米ドル/円」115円の壁

直近のマーケットであるが、日米首脳会談が成功裏に終わり、米ドル高が進行するも、「米ドル/円」は115.00円を目前にして反落。この要因は115.00円のオプションの存在。 2月17日(金)週の「米ドル/円」の115.00円には約60~70億ドル規模のオプションの設定が噂されていて、マーケットはこのオプションから供給される米ドル売りを吸収できず反落。

本稿執筆時(2/21)では、115.00円のオプションの一部は行使期限を迎えて影響は減少したが、今週も依然として115.00円のオプションはかなり残存している模様で、このレベルを抜くにはしばらく時間を要するのかもしれない。

3)トランプ政権の経済対策の具現化に伴い、「米ドル/円」は緩やかな円安基調に

ただトランプ政権の掲げる政策のもとでは米ドル高/円安の方向は変わらず。その一つは減税政策。

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●米大統領、税制改革で「驚くべき」提案発表へ 米ドル全面高にトランプ米大統領は9日(木)、航空大手首脳とホワイトハウスで会談し、今後数週間に税制改革に関する抜本的な提案を明らかにする考えを示した。大統領は「向こう2、3週間に税、および航空インフラ開発に関して、目を見張るような発表を行う」と述べた。ただ詳細には踏み込まなかった。

出所:ロイター

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この報道がなされたのが2月9日(木)。
向こう2~3週間とは、2月の下旬から3月初旬。

アメリカ大統領が予告した「目を見張るような税制改革」の発表を前にして、米国株は堅調に推移。「米ドル/円と日経平均」は「東芝ショック」による売り圧力が足を引っ張り、米国株に周回遅れの展開であるが、高値圏で張り付いたままの米国株の動向を横目に「米ドル/円と日経平均」の下値余地も限定的。

「米ドル/円」の動きをテクニカルで確認すると、「米ドル/円」の日足は1月後半に一目均衡表の厚い雲の中に突入していること。加えて前述の115.00円のオプションを抜くのに一定の時間を要するのであろうが、トランポノミクスの方針が具体化する過程でどうしても米ドル高の方向に向かわざるを得ない展開。 3月の本邦期末を控え、本邦機関投資家から手当ての遅れている米ドル買いがマーケットに投入される可能性も噂されている。本邦の期末に照準を合わせるのであれば、その時期も2月後半から3月上旬となる。その2月後半から3月上旬には一目均衡表の雲も薄くなっていて、仮に雲を下抜けずに推移するならば、レジスタンスであった雲を上抜けする公算が高まる。また、直近は1月16日(月)から基準線の下になっていた転換線が、基準線を上抜けする可能性が高まるため「米ドル/円」は底固めから上昇に向かいやすくなっているようである。

(筆者作成)

また、フィボナッチで下方向にエクスパンションを計算すると、1月以降の上下の動きで3つのフィボナッチ・エクスパンションが計算できるが、これらの目標値COP(61.8%)は、2月7日(火)の安値の111円台ミドルから113円台に切り上げていて、下値の堅さが示されている。

(筆者作成)

約2カ月の調整を終え、メイントレンドに戻りつつある「米ドル/円」の動向に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2017年2月24日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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