スペシャル・トレンドレポート

日本は「財政拡大」路線へ!「米ドル/円」上昇基調に変化なし(西原 宏一氏)

2017年1月27日

1)2017年1月の「米ドル/円」は調整局面に

1月に入っての「米ドル/円」は調整相場に終始。
2016年末にわずか1カ月強で17円もの急騰を演じた「米ドル/円」相場であるが、年が明けると、112円~118円のレンジで方向感なく乱高下。

ただこの動きは多くの欧米参加者が「トランプ米大統領の就任式(1月20日)前後に米ドル高の調整がある」と指摘していたとおりの展開ともいえる。
筆者も前回レポート内で下記のように紹介しているので、今月の「米ドル/円」の調整というのはマーケットのコンセンサスであったといえる。

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1カ月強で 17 円もの急騰が今後も続くわけはないので、来年初頭に一度反落する可能性も考慮する必要もある。
しかし、これは調整の域を出ず、「米ドル/円」の上昇トレンドは変わらないと考える。
(前回のコラムから抜粋)。
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よって中期の「米ドル/円」で米ドル高のトレンドは変わらず。

前回レポートでは「トランポノミクス」という米国側からの米ドル高の材料を紹介しましたが、今回のコラムでは日本サイドからの話題へ。

それは本邦投資家の間で話題になっている「シムズ理論」である。

2)私は考え直した、日本は財政拡大政策へ、円安トレンド継続

きっかけは、昨年末「文芸春秋」に寄稿された浜田内閣官房参与の記事。
その記事のタイトルが「アベノミクス~私は考え直した」。
マネーの量を拡大してもなかなかデフレから脱却できない状況において、安倍首相のブレーンである浜田教授が「私は考え直した」という記事を寄稿されたのでマーケット参加者の注目を集めたわけである。

内容としては、「金利がゼロに近い状況では量的緩和は効かなくなる。加えて、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ」とのこと。

浜田教授が「考え直した」きっかけは、昨年末のジャクソンホールでのシムズ教授の論文。

その*シムズ理論とは2011年にノーベル経済学賞を受賞したシムズ教授の(デフレ脱却には財政政策が有効である)理論。

*シムズ理論

米プリンストン大のC・シムズ教授は、日本の消費税増税後のデフレ圧力を念頭に、金融緩和を生かすためには財政支出拡大が必要と論じている。日銀はマイナス金利政策を続けているが、マイナス金利は政府の金利負担を減らす代わりに、家計など民間の金利所得を減らす。収益の減少を恐れる銀行は融資を渋るので、デフレ不況になる。それを回避するためには、政府が財政赤字にこだわらず財政支出を拡大すべきで、消費税率引き上げは脱デフレを達成した後に繰り延べるべきだという理論である。

シムズ教授は伝統的なケインズ理論ではなく、市場原理を重視する「新古典派」と呼ばれる学派に属し、データ分析に基づく実証を重んじている。新古典派が多数を占める米国学界への影響力は大きく、内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授によると多くの経済学者が同調しつつある。

(出所:産経新聞)

つまり、これまでの金融政策は継続しつつ、財政を吹かせるだけ吹かせという意味ともとれる。

こうした政策は日本のデフレ脱却を後押し、円安を誘引する。

浜田参与は2月初め、シムズ教授を日本に招く予定との報道もあり、トランポノミクスだけではなくアベノミクスからも再び円安の芽がでてきている。

3)「米ドル/円」の調整の目処は38.2%(112.00円)、調整後「米ドル/円」は上昇トレンドに回帰

では中期の「米ドル/円」の上昇トレンドは変わらないと仮定し、調整の目処をはかってみたい。下図は「米ドル/円」の日足。

(筆者作成)

昨年11月9日(水)は米大統領選挙の翌日で開票結果が出てきた日。
この日に到達した「米ドル/円」の安値が101.18円。
一方、昨年12月15日(木)につけた高値は118.66円。
これにフィボナッチ・リトレイスメントすると、 38.2%がほぼ112.00円。

今月の「米ドル/円」の安値は112.53円であり、値幅的にはほぼ38.2%まで到達し、調整を完了しつつある。

トランポノミクスに話題が集中しているが、財政拡大という流れも加わったアベノミクス。 どちらも米ドル高・円安要因。
結果、「米ドル/円」の上昇トレンドに変化はなく、調整を完了しつつある「米ドル/円」相場に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2017年1月27日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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