スペシャル・トレンドレポート

2017年は「ユーロ」の出番! 「ユーロ/米ドル」パリティーも(松崎 美子氏)

2016年12月21日

今年は予想外のイベントが多い一年であった。1月早々、日銀はマイナス金利を導入。6月に英国のEU離脱が決定、その後ポケモンGOが世界的にブレイクした。秋に入ると、アメリカでトランプ候補が当選。あらためて振り返ると、これだけのイベントをこなしたにも関わらず、米ドル高・株高・債券利回り高という「異例の相場展開」となっている。

気になる長期金利レベル

今年の相場の動きで私が一番気にしているのは、主要国の長期金利(国債利回り)上昇(=債券価格の下落)である。下のチャートを見るとわかるが、1981年から長期金利は下落し、赤いチャネルを引いた1987年から現在まで、下落チャネルにすっぽり入っている。

執筆時(12月19日(月)現在)の10年物利回りは、2.55%台となっているが、今後ジリジリと上昇し、チャート上の赤い星があるチャネル上限、金利水準としては2.75~2.80%くらいを上に抜いてくると、30年続いた下落トレンドが上昇トレンドに転換することになる。

チャート:米セントルイス連銀ホームページ

この30年以上続いた長期金利の下落トレンドに変更が生じると、文頭で書いた「米ドル高・株高・債券利回り高」の何かが変わっていくと考えていて、特に株高の部分が非常に気になっている。

だから「米ドル高・円安」の動きに納得

今年の秋、世界主要国全体の長期金利が上昇に転じはじめた頃、日銀は驚くような決定をした。それは、長期金利を0%に誘導する【長短金利操作付き量的・質的金融緩和策】であった。私がディーラーになった時、「公定歩合などの政策金利は中央銀行が決定出来るが、長期金利つまり国債の価格や利回りは、市場が決定するものであり、ある種の人気投票みたいなものだ。この違いをきちんと理解するように」と厳しく教え込まれた。そのため、9月の日銀からの発表は、マーケットの常識を破る内容だったと私は理解している。

ここでは「マーケットの常識」は一旦忘れ、日本の長期金利と海外との差について考えてみたい。例えばアメリカの長期金利は上のチャートでも判るように、ジリジリと上昇している。それに対し、日本の長期金利は上がろうとすると日銀の国債を購入し、意識的に0%前後に誘導している。つまり米日金利差はどんどん拡大し、それに伴って「米ドル/円」も上昇してきた。

データ:
米財務省ホームページ
日本・財務省ホームページ
英中銀ホームページ

来年の見所

来年のマーケットを考える時に、私は3つのことに注意しようと思う。

  1. 1)
    トランプ新政権の足取り
  2. 2)
    「2017年 欧州選挙年」
  3. 3)
    英国のEU離脱(Brexit)を取り巻く状況

この中でもやはり1)、2)は特に重要であろう。

1)トランプ新政権の足取り

今年の米大統領選でトランプ候補が当選して以来、マーケットでは「いいとこ取り」をしてきた。つまり、同大統領がやろうであろう減税やインフラ整備などの景気浮揚策部分を先取りした形で、インフレ期待値が上昇し、金利も上がり、結果として米ドルが買われた。

2017年1月20日(金)に大統領へ就任することは判っているが、選挙戦で語った景気浮揚策のどの部分をどのタイミングで発表するかについては、何も分かっていない。

これが大統領就任後の予算案発表のタイミングであるが、どの年度にどれくらいの規模の財政支出を織り込むのか、そのあたりはまだまだ流動的である。

そして、アメリカではどうかわからないが、イギリスでは新首相が誕生すると、「最初の100日間はハネムーン・ピリオド」として、報道各局も様子見に転じる。そして、100日が終わる頃になると、次々と批評や批判が報道されるという運びだ。果たして、アメリカでも「ハネムーン・ピリオド」という概念があるのかはわからないが、大統領就任から100日後は来年4月末になる。そうなると、大統領に関する報道が湧き出てくるのは、早くて4月末あたり。つまり、来年上半期のほとんどが「様子見」となる可能性も捨てきれない。

2)「2017年 欧州選挙年」

私がヨーロッパに住んでいるという事情もあるが、来年の欧州からは目が離せない。任期満了による「総選挙/大統領選」以外にも、場合によってはイタリアやギリシャが解散・総選挙を仕掛けてこないとも限らない。

ここで注意すべき点は、2009年ギリシャ債務危機とは違い、現在は欧州中銀(ECB)が国債購入プログラム(PSPP)で加盟各国の国債購入を継続しているため、当時のような長期金利の高騰は起こらないであろう。

ただし、ポルトガルだけは例外だ。同国の格付けは、ECBの国債購入資格ギリギリまで下がっていて、来年にでも1社が1ノッチ格下げに動くと、ECBは購入出来なくなる。そうなると、年金運用の専門家である機関投資家が、ポートフォリオから外す動きに繋がる場合もあり、同国の国債は凧の糸が切れたように上昇(国債価格急落)することが懸念される。

政治は生き物であるため、来年は1年を通してヨーロッパの政局動向をチェックすることになりそうだ。

ユーロ売りが良さそうか?

今年の相場の主役は、前半が「英ポンド」、後半が「米ドル」であった。来年はそろそろ「ユーロ」の出番がきそうである。

これは過去1年間のユーロ実効レートのチャートであるが、3月からずっと黄色い枠の中での動きとなっていたが、先週本格的に下抜けが確認された。

チャート:ECBホームページ

そこで、もう少し長期のチャートをチェックすると、こんな感じになる。これは、ユーロが誕生した1999年からのものである。

チャート:ECBホームページ

現在のレベルは1999年以降の高値/安値の38.2%戻りのレベルとほぼ一致する。もし、今後もユーロの下落が継続すれば、チャート上の赤い星をつけたサポートレベル:92ミドルが意識される。もし、それも下抜けると、黄緑の丸をつけた90が視野に入ってくる。しかし、そのすぐ下に通っている紫色の点線は、ユーロ誕生直後の2000年以降、3回試したレジスタンスである。今回は、このレジスタンスがサポートに変わると考えられ、重要なポイントとなるのは確実だ。

来年はまず、この紫色の点線が通る89台を最初のターゲットとして、「ユーロ/米ドル」の1.0000(パリティー)到達を確認してから、次のターゲットを考えたいと思っている。

松崎 美子氏プロフィール

松崎 美子(まつざき よしこ)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18カ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年シティーにある米系投資銀行に転職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

本記事は2016年12月21日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、松崎美子氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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