スペシャル・トレンドレポート

トランポノミクス相場が本格化! 「米ドル/円」は押し目待ち(西原 宏一氏)

2016年11月18日

1)トランプ・リスクを乗り越え、「米ドル/円」は109円台到達

10月からの「米ドル/円」相場は「陰の極」を経て105円台まで回復。 そして、Brexit(6/24)以降、今年最大のイベントといわれた「米大統領選」(11/8)を迎えました。 市場では「トランプ・リスク」が焦点となっていて、投票日前からヒラリー候補とトランプ候補の支持率が接近すると、トランプ大統領誕生のリスク懸念でマーケットはリスク・オフで反応していた。

しかし、あらゆる事前調査の予想を覆してトランプ氏の当選が決まると、その懸念を払拭し、「米ドル/円」はその後1週間で一気に109円台まで急騰。 これで前レポートで案内した、「米ドル/円」のターゲットとしていた109円台まで到達。

(前レポート:「米ドル円は陰の極か!105円上抜けで109円台へ」

「米ドル/円」の上昇要因は、本邦勢の新規投資による米ドル買い需要や、中東勢の日本株への再投資などがあげられる。

ただ「米ドル/円」を109円台まで一気に押し上げたのは周知のように、トランプ大統領の誕生である。

マーケット参加者の一部にはトランプ大統領の誕生は、極端なリスク・オフを引き起こし、「米ドル/円」で100円はおろか95円台への円高を誘引するとの意見も多数。

しかし実際の「米ドル/円」相場は、100円どころか、101.20円どまり。 その後の「米ドル/円」はあっというまに駆け上がり1週間も経たずに、109円まで急騰。 一気に約8円反発したことになる。

ではトランプ大統領の誕生は、中期的に「米ドル/円」相場にどういう影響を与えるのか確認してみよう。

2)共和党完勝によるトランポノミクス相場への期待

まず、上下両院で共和党が完勝したことが、まず重要な点。 これで米国政治の大統領と議会のねじれ解消となり、トランプ大統領の経済政策の実現性が高まる点があげられる。 現在のオバマ大統領は民主党であるが、議会は共和党が多数で大統領と議会のねじれが米国政治を動きにくくしている。

ではトランプ大統領の経済政策、つまりトランポノミクス (Trumponomics)とはなにか?

トランプ大統領の経済政策は、レーガン大統領(レーガノミクス)以来の大型減税と各種規制緩和、そして、貿易政策をテコに、大きな雇用を創出するといったところ。 大型減税のメニューとしては、法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)がよく話題になっている。

そして、規制緩和。 つまり、トランプ大統領は大型減税による減収と、大規模な財政出動を伴う景気刺激策で景気拡大と雇用創出を図るものと思われるが、財政は悪化するので、国債発行も増えると思われる。こうした財政赤字や国債増による実質金利上昇が米ドル買いを誘引という流れになる。

またこうした政策実現には議会との協調が必要なので、この点でも連邦議会上下院を共和党が抑えたことが大きく、トランポノミクスの実現可能性が高いとマーケットが評価しているものと思われる。

米大統領選挙前は過激な発言を繰り返していたが、トランプ大統領の経済政策は意外としっかりしていると言われている。 大統領の側近である首席補佐官には、プリーバス共和党全国委員長を選任し、政権移行チームを作成した。プリーバス氏は議会共和党幹部ともパイプを持っていることから、首席補佐官への選任はトランプ次期大統領が議会共和党と協力して強いアメリカ経済を再構築しようとしていることの表れと捉えられている。

また、大統領の交代は大きな権力の移譲なので、前政権がホワイトハウス内を無茶苦茶にしていく、ということも往々にしてあるようで、政治経験のないトランプ大統領がこうした部分を補う意味でも政治経験のある実務派をスタッフに起用してきていることもトランプ政権への期待を高めている。

トランポノミクス=トランプ大統領とエコノミクスを合わせた造語でトランプ氏が掲げる経済政策のこと

3)1週間で約8円暴騰し、109円台に到達!調整局面をへて「米ドル/円」は続伸へ

2015年の「米ドル/円」の高値である125.86円と、今年の「米ドル/円」の安値である99.02円の38.2%が109.27円となり、戻りの目処となる。 今回の「米ドル/円」急騰の高値が、本稿執筆時点で109.34円となり、ほぼ一致している点から、ひと相場終了。

値幅的にも一週間で約8円急騰しているため、一旦調整局面に入る可能性があるが、そこはbuy on dip(押し目買い)ということになりやすそうである。

ただ前レポートの繰り返しになるが、今年の「米ドル/円」の上値を執拗に阻んできた以下2つのレジスタンスをクリアに抜けてきている。

(1)75日移動平均線=102.88円

(2)日足の雲の上限=102.45円

加えて200日移動平均線(=106.47円)もブレイク。 さらには、200週移動平均(=108.47円)も上抜きつつあり、テクニカル分析では前レポート以上に改善している。

4)110円台を回復すれば、次は115円へ

わずか1週間で上値の目処であった109円台に到達したことから、一旦調整局面に入る可能性もあるが、トランポノミクスを背景に米ドル高が鮮明化している「米ドル/円」に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2016年11月18日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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