スペシャル・トレンドレポート

「米ドル/円」は陰の極か!105円上抜けから109円台へ(西原 宏一氏)

2016年10月19日

1)ヘリマネへの道なのか?サマーズも日銀の追加緩和を支持

先月のレポートで、「米ドル/円」が100円レベルで底打ちする可能性が高いことをご紹介したが、今月に入って「米ドル/円」は上昇開始。一時104.64円(10月14日)まで急騰。

心理的節目である105.00円の手前で上げしぶっているが、トレンドは変わらず上昇基調。

主要市場、特に東京市場では圧倒的に円高志向が多いなか、「米ドル/円」は静かに約4.5円の上昇。

英ポンドがフラッシュ・クラッシュな動き(10月7日)をして、マーケットが不安定ななか、「米ドル/円」が上昇している要因は、まず日銀の緩和政策に対する見方の相違である。

先月のレポートで紹介したように、9月の日銀の決定に対しては「テーパリングである」という批判が集中するなか、前FRB議長バーナンキ氏が、「ヘリマネに似ている」と指摘。加えて、元米財務長官であるサマーズ氏(ハーバート大学教授)も日銀の新たな政策枠組みは正しい方向と支持を表明したこと。

サマーズ元米財務長官が30日、都内で行われたカナダ銀行・日銀共催のイベントで記者団に語った。2%のインフレ目標をオーバーシュートすることでインフレ期待を高められる他の中銀も日銀の目標オーバーシュートを手本とすべきだ。マイナス金利だけでは完全雇用の実現に十分ではない。アベノミクスは未完成、日銀の金融政策としての外債購入は、特に過度な円高となった場合、検討されるべきだが、現時点でそれが正しいかは分からない。利回り曲線のターゲットへのコミットメントは建設的な措置となり得る。どのように展開するかはまだ不明だ。中立的な金利は、今後かなりの期間、低水準にとどまるだろう。中立的な金利の押し上げにつながる措置には、公共投資・支出の拡大や民間投資の障壁の削減、個人消費の促進などが含まれる。

出所:Bloomberg

多くの日本のエコノミストが酷評する中、バーナンキ氏に続き、サマーズ氏も日銀を支持するスタンス。このサマーズ氏のコメントも「米ドル/円」のボトムアウトに貢献した形。

2)10月に入り、本邦勢の円売りも活発化

今月の「米ドル/円」の上昇については、新期(=10月)に入り、本邦勢の新規投資による米ドル買い、そして「日本企業のM&A」による米ドル買いと本邦勢の外貨投資の拡大といった材料も上げられる。

【損保ジャパンが米エンデュランス買収へ、約65億ドル=関係筋】
関係筋によると、SOMPOホールディングス(8630.T)傘下の損害保険ジャパン日本興亜は、米国で事業を展開する企業保険大手エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングス(ENH.N)の買収を発表する。複数の関係筋が明らかにした。買収額は65億ドル前後になる見込み。

出所:ロイター

【アサヒが買収提案 英SABの東欧ビール、5,000億円超で】
アサヒグループホールディングスは英ビール大手SABミラーの東欧5カ国のビール事業に買収提案する方針だ。買収額は5,000億円超に上るとみられる。実現すれば日本企業による海外ビール事業買収で過去最大となり、欧州で一挙に足場固めを狙う。世界のビール市場では大手による事業売買が相次いでおり、今回の再編でその動きがさらに加速しそうだ。

出所:日経新聞

しかし、一番重要なことは、先月(9月)末の悪材料しかないといった環境下で、「米ドル/円」は99円どころか、100.00円すら割り込めなかったということ。

こうした相場展開は、相場の教科書では「陰の極 」といわれ、反発する可能性が高いことを示唆。

そして実際、今月の「米ドル/円」は大きな調整もないまま105円に迫る勢いで上昇中。

陰の極 = 相場用語で、これ以上下がらない状態のことをいう。または、上げ相場の直前の状態の意味もある。

3)テクニカルも大幅に改善、105円を上抜ければ、109円へ

ファンダメンタルズに加え、「米ドル/円」のテクニカルも大幅に改善。まず、先月のレポートでご紹介した「米ドル/円」の75日移動平均。今年の「米ドル/円」の上値をずっとおさえてきた75日移動平均を今回明確にブレイク!

次は日足の一目均衡表の雲。こちらも、「米ドル/円」上昇を何度も阻んできたが、今回の「米ドル/円」の上昇でブレイク!

TD sequentialの週足は、カウントダウンを終了し、「米ドル/円」の下落が終了し、トレンドの転換を示唆。(※copyrightのため、チャートは表示できません。)

他市場に目を向けると、リスクオフを誘引してきた原油は50ドルレベルまで大きく反発。Goldも200日移動平均線を大きく割り込み、こちらも米ドルの反発を示唆。

本稿執筆時点(10月17日)の「米ドル/円」は104.00円レベルで推移。

「米ドル/円」を取り巻く環境は、「ドイツ銀行の株急落」、「トランプリスク」、「中国経済の混迷」、そして「日銀の決定がテーパリングであるとの批判」など、依然として悪材料満載のなか、安値から4円強上昇していて、底堅く推移。

節目である105.00円を上抜ければ、109円程度まで反発する公算も高まっている。

今月に入り上昇トレンドが明確になってきた「米ドル/円」の動向に注目である。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2016年10月19日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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