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今回は、オシレータ系のテクニカル指標であるモメンタムを利用した手法をご紹介します。この指標は、相場の勢いと方向を判断するために使われますが、これを改良することで、より詳しく相場の勢いを確認することができます。短期的な動きをより判断しやすくなりますので、ぜひ身につけてください。
テクニカル指標「短期改良モメンタム」とは
相場の勢いを判断するオシレータ系指標
モメンタムは、「当日の終値」-「n日前の終値」という計算をもとにラインを表示するテクニカル指標です。短期的な動きを判断することに役立ちます。

上記をみると、下部の点線(ゼロ地点)を超えて上昇しています。一般的には、この「モメンタムがゼロ以下からゼロ以上に上抜けたときに買い(売りはこの逆)」といった使われ方をします。また、ゼロ以上からさらに上昇した際は、強気相場と判断することも可能です。
モメンタムを使いやすく改良する
- 四本値(始値、高値、安値、終値)をCSVファイルで取り出す
- 改良用の計算を行う
「当日の終値」-「前々日の終値」=短期モメンタム
「短期モメンタム」+「前日の終値」=短期改良モメンタム
翌日の相場の勢いを予測する
モメンタムは、通常短期的な動きを判断する指標ですが、今回の改良を行うことで翌日の相場の勢いを予測することができます。短期改良モメンタムの数字を見ていて、値幅が小さくなることが確認できた場合、それは相場の勢いが落ちていることを意味します。それはすなわち反転の可能性があるということ。逆に値幅が大きい場合は相場に勢いがあるため、トレンドに乗ればいいことがわかります。相場の傾向を知った上で、「押し目買い」「戻り売り」のポイントを待てば、より効果の高いエントリーが可能になります。
平野氏アドバイス

モメンタムのこの計算方法は、私が10年以上前、様々な角度から試行錯誤した結果見つけた方法です。エクセルでの計算が必要なので、一般的なテクニカル指標と比べると手間ですが、翌日の相場の勢いを予測できるため、トレードを優位に進めることができます。ぜひお試しください。
短期改良モメンタムとストキャスティクスを用いた
売買エントリー&決済例
考え方
- 日足ベースの「短期改良モメンタム」で相場の方向を確認する
- 日中足を使って「押し目」「戻り」を待つ
エントリーのためのチャート設定
モメンタム設定
モメンタム期間:10
ストキャスティクス
デフォルト設定のまま
エントリールール
買いの場合
- 短期改良モメンタムが、前日比マイナスからプラスに転じる
- 1時間足(30分足等々)のストキャスティクス(%K)が20以下から反転に転じるポイントでエントリー
売りの場合
- 短期改良モメンタムが、前日比プラスからマイナスに転じる
- 1時間足(30分足等々)のストキャスティクス(%K)が80以上から反転に転じるポイント
決済ルール
買いの場合
- ストキャスティクスの反転ポイントの安値にロスカット注文を置く
- ロスカットまでの距離(pips)を確認
- 利益目標は、ロスカット値×1.5倍に指値注文
売りの場合
- ストキャスティクスの反転ポイントの高値にロスカット注文を置く
- ロスカットまでの距離(pips)を確認
- 利益目標は、ロスカット値×1.5倍に指値注文
まとめ
- モメンタムは、相場の勢いを確認するオシレータ系のテクニカル指標。この指標を使って、上昇の勢い、下降の勢いを判断する
- モメンタムを改良することで、翌日の相場の勢いを予想することもできる。予め相場の勢いを掴んでおくことで、効果的な押し目買い、戻し売りが可能に
- よりエントリーの精度を高めるためにストキャスティクスを併用。反転に転じるポイントでエントリー
平野氏アドバイス

今回は、モメンタムとストキャスティクスを用いた「押し目買い」「戻り売り」の手法を紹介しました。一般的には、両方ともオシレータ系の指標ですが、モメンタムを改良することで、翌日の相場の勢いをつかむことで、「全体の勢い=短期改良モメンタム」「リアルタイムの勢い=ストキャスティクス」という使い分けができています。こういったテクニカル指標の併用は有効ですので、ぜひお試しください。
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講師紹介

- 平野 朋之(ひらの ともゆき)
- ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナーを開催する傍ら、オリジナル手法を使い自己トレードの実践中。
※この記事は2016年9月1日に執筆されたものです。