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今回は、トレンドフォロー系のテクニカル指標であるパラボリックを利用した手法をご紹介します。この指標は、大相場に強く、トレンドがない状態では機能しないという欠点がありますが、それをRSIで補強することで効果的な押し目買い、戻り売りのエントリーを実現します。ぜひお試しください。
テクニカル指標「パラボリック」とは
大相場で活躍するトレンドフォロー系指標
パラボリックは、SAR(ストップ・アンド・リバース)と呼ばれる指標を利用して、相場のトレンド転換を確認するトレンドフォロー系指標です。大きなトレンドが発生している大相場でよく機能し、逆にトレンド無しの相場ではあまり機能しないとされています。

上記の図でもわかりますが、放物線(SAR)が価格とクロスする部分で相場が転換しており、売買のポイントが確認できます。
パラボリックで「押し目」「戻り」を確認する
このテクニカル指標を使って、トレンドの方向を確認しつつ、そのなかで押し目・戻りを確認していきます。押し目とは、相場が上昇中のなかで、一時的に下がるポイントで、そのあとの上昇が期待されます。戻りは、逆に相場下降中に発生する一時的な上がりです。

上記の図にあるとおり、パラボリックで上昇・下降の期間を確認し、その期間のなかで「押し目」「戻り」のポイントを探り、「押し目買い」「戻り売り」を行います。
RSIで上昇変動と下落変動の勢いを確認する
「押し目買い」「戻り売り」を効果的に行うためには相場が上昇中なのか、下落中なのか確認する必要があります。そこで、今回はRSIを用いて相場の方向と勢いを確認します。
RSIは、直近の一定期間において、上昇変動と下落変動のどちらの勢いが強いのか計測するオシレータ系のテクニカル指標です。
- 50%を中心として、0〜100%の範囲で推移する
- 上昇局面では50%以上、下落局面では50%以下で推移する
- 70%以上の場合、「買われ過ぎ」と判断する
- 30%以下の場合、「売られ過ぎ」と判断する
この指標を利用することで、より精度の高い「押し目買い」「戻り売り」を実現します。
平野氏アドバイス

オシレータ系の指標は、一般的には大きなトレンドがない状態で効果的に機能すると言われます。しかし、相場に敏感に反応するので、今回のように大相場ではなく、上昇・下落がわかる程度での「押し目買い」「戻り売り」を狙い際には価値のある傾向を示してくれます。
パラボリックとRSIを用いた売買エントリー&決済例
考え方
- パラボリックを利用してトレンドの方向を確認する
- RSIを利用して「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」
- パラボリックで相場の転換を確認し、RSIで「押し目」「戻り」のポイントを確認してエントリー
エントリーのためのチャート設定
パラボリック設定
増加ステップ:0.02
最大:0.2
RSI設定
RSI:2
平野氏アドバイス

RSIの設定2というのは、かなり相場の動きに影響される設定です。相場が上がりだすと、すぐに天井に張り付いてしまうでしょう。しかし、それが狙いです。そこから下り出した際もすぐに反応するので、そこがエントリーのチャンスになるわけです。
エントリールール
買いの場合
- パラボリックが買い転換を示す
- RSIが15以下に達する
- RSIが15以下(10以下が推奨)から上げた時点でエントリー
売りの場合
- パラボリックが売り転換を示す
- RSIが85以上に達する
- RSIが85以上から下げた時点でエントリー
決済ルール
買いの場合
- エントリーバーの安値にストップを置く
- ロスカットまでの距離(PIPS)を確認
- 利益目標は、ロスカット値×1.5倍に指値注文
売りの場合
- エントリーバーの高値にストップを置く
- ロスカットまでの距離(PIPS)を確認
- 利益目標は、ロスカット値×1.5倍に指値注文
まとめ
- パラボリックは、トレンドの方向を確認するトレンドフォロー系のテクニカル指標。この指標を使って、トレンドの方向性と転換ポイントを確認する
- RSIは「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を確認するオシレータ系のテクニカル指標。これを相場に敏感に反応する設定にして、「押し目」「戻り」のポイントを探る
- パラボリック、RSIの両軸でポイントを探り、「押し目買い」「戻り売り」を実践する
平野氏アドバイス

今回は、パラボリックとRSIを用いた「押し目買い」「戻り売り」の手法を紹介しました。パラボリックはトレンドの動きと変換ポイントがわかる便利な指標ですが、トレンドがない相場では“ダマシ”が多く発生します。RSIと併用することで、その欠点を補い、効果的なエントリーが可能です。こういった指標の併用は有効なので、色々と試していただけるといいと思います。
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講師紹介

- 平野 朋之(ひらの ともゆき)
- ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナーを開催する傍ら、オリジナル手法を使い自己トレードの実践中。
※この記事は2016年9月1日に執筆されたものです。