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今回は、トレンドフォロー系のテクニカル指標であるボリンジャーバンドと、オシレータ系指標のADXを利用した手法をご紹介します。ぜひお試しください。
テクニカル指標「ボリンジャーバンド」とは
統計に基づいた3つのバンドを表示
ボリンジャーバンドは、標準偏差という統計に基づき、移動平均線を中心に価格のばらつく範囲をバンド表示しているテクニカル指標です。バンドには3種類あり、以下のような確率でそのバンド内に価格が存在します。
- ±1σの間に価格が存在する確率 約68.3%
- ±2σの間に価格が存在する確率 約95.5%
- ±3σの間に価格が存在する確率 約99.7%(今回は使用しません)

突発的事象をブレイクアウト手法として利用する
為替レートは、原則としてボリンジャーバンドの中で推移します。しかし、そのバンドから逸脱することがあり、それは市場に大きな変化が生まれたときや、突発的事象が発生した場合だと考えられます。今回はそのポイント、±2σを使って見極めることで、「相場の勢い」を確認し、ブレイクアウト手法に結びつけます。
トレンドの強弱を確認する「ADX」とは
トレンドの強さを探るオシレータ系
ADX(Average Directional Index)は、今の相場がレンジなのか、トレンドがあるのかを見分けるためのテクニカル指標です。チャートでは%で表示され、%の数値が高いときはトレンドが発生しており、数値が低いときはレンジ相場であることを表しています。ADXが25%以下だとレンジ相場の可能性が高く、25%以上だとトレンド相場の可能性が高いとされています。また、トレンドの上昇、下降はわからず、あくまでトレンドの強弱のみを推し量る指標です。

今回はこのADXをボリンジャーバンドと併用することで、相場の勢いを確認し、より精度の高いブレイクアウト手法を行います。
平野氏アドバイス

ADXはトレンドの有無を確認できる便利な指標ですが、「遅効性」には注意が必要です。相場の状況がすぐには反映されないため、25%を超えたからといってすぐに動くことは危険です。別のテクニカル指標も交えて、あくまで補佐の指標として使うことが現実的です。
ボリンジャーバンドとADXを使った売買エントリー&決済例
考え方
- ボリンジャーバンドの±2σを使って、チャートの「逸脱した部分」を探る
- その逸脱した相場を、さらに超えるポイントでエントリーすることでブレイクアウト手法を狙う
- ADXを併用することで、トレンドを確認して精度を高める
エントリーのためのセットアップ
ボリンジャーバンド設定
期間:15
±3σ:チェック外す
ADX設定
ADX期間:7
ADXR:チェック外す(背景は白にして見えないようにする)
-DI:チェック外す
+DI:チェック外す
エントリールール
買い・売り共通
- 逸脱したポイントをボリンジャーバンド±2σで探る
- ADXが「50」を上回っていることを確認する
- 上記で逸脱したポイントをブレイクした価格でエントリー
決済ルール
買い・売り共通
- 二段階に分けて、決済ポイントを設定する
- エントリー時点で、ロスカット注文を置く
- その後、利益確定の注文を置く
買いの場合
エントリーをしたバーの安値にストップ注文を置く(ロスカットに引っ掛からない場合はポジション継続)
売りの場合
エントリーをしたバーの高値にストップ注文を置く(ロスカットに引っ掛からない場合はポジション継続)
まとめ
- 相場の価格は、原則ボリンジャーバンドの中に収まる動きをする
- しかし、時にボリンジャーバンドを逸脱する動きがある。今回はそれをブレイクアウト手法として利用する
- 確実な相場の勢いを確認したいので、ADXを併用して、トレンドの強弱を確認
- ボリンジャーバンドの±2σを超えた場所を、さらにブレイクした価格でエントリー
- エントリーしたバーの高値or安値にストップ注文を置く
平野氏アドバイス

今回はボリンジャーバンドを用いて突発的事象を確認し、さらにADXでトレンドの強弱を確認した上でブレイクアウト手法を行っています。このように、複数の指標を用いることで、単体の指標だけを使うより、ずっと精度の高いトレードを行うことが可能です。ぜひ取り入れていただき、あなたらしいアレンジを加えていただければと思います。
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講師紹介

- 平野 朋之(ひらの ともゆき)
- ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナーを開催する傍ら、オリジナル手法を使い自己トレードの実践中。
※この記事は2016年9月1日に執筆されたものです。