目次
今回は、同一通貨ペア・異通貨ペアを使った複数ポジションの取り方を学びます。
同一通貨ペアを使った複数ポジションの取り方
ポイント
- 買い下がる場合は、計画的にポジションを取ります。
- ポジションを建てるだけでなく、決済ポイントをあらかじめ決めておき、想定損益計算をしておきます。
- 口座内に資金がなくなってしまうようなギリギリのポジションの取り方は避け、口座内資金に余力を持たせます。
難平(なんぴん)買いの場合の複数ポジションの取り方
難平買いとは、買いポジションの時にレートが下がった場合、さらに買いポジションを増やし、買いの平均価格を下げる売買方法のことをいいます。難平買いは推奨できない手法といわれます。その理由は、よく理解しないままポジションを追加することでポジションの総数が大きくなり、コントロール不能になるリスクがあるためです。さらに、下げトレンドの中で、買い下がるほど先に買ったものの含み損が拡大するリスクもあります。ただし、難平買いそのものが悪いわけではなく、自分が持っているポジションの総数や、それぞれのポジションの損益を把握しながら買い下がっていくことは、悪い方法ではありません。
追加買いの場合の複数ポジションの取り方
追加買いとは、買いポジションの時にレートが上がった場合、さらに買いポジションを増やし、買いの平均価格を上げる売買方法のことをいいます。上昇トレンドに乗ってポジションを増やしていくことで含み益が拡大します。しかし、難平買いと同様に、よく理解しないままポジションを追加することでポジションの総数が大きくなり、コントロール不能になるリスクがあります。もし下落し始めた場合には、追加したポジションの総数分の損失になってしまいます。
異通貨ペアを使用した複数ポジションの取り方
ポイント
- 通貨分解をしてポジションの傾きを知ります。
- マーケットがどのように動くとプラスもしくはマイナスになるのかを理解し、想定損益を計算しておきます。
- 決済ポイントをあらかじめ決めて、出口をはっきりさせておきます。
- 口座内資金に余力を持たせて、次の戦略を立てやすくしておきます。
複数ポジションの取り方
異通貨ペアの場合、通貨分解をする必要があります。米ドル/円を買うというのは、米ドルを買い・円を売る構造です。米ドル/円を買った状態でさらにユーロ/米ドルを買うのは、ユーロを買い・米ドルを売ることです。このとき、米ドル買いと米ドル売りの両方のポジションを持っていることになります。そのため米ドル買いと米ドル売りが相殺されて、ユーロの買いと円の売りがポジションとして残るわけです。結果、ユーロ/円を買っていること(あくまで合成)と同じになります。
さらにユーロ/円を売る取引をします。すると、複数ポジションの中で異通貨同士の買いと売りがすべて相殺されます。そのため、ポジションを持っていないことと同じになります。しかし、ポジションのサイズが多少異なるので、完全に損益がロックされているわけではありません。また、そのまま長期間保有していると、スワップポイントがトータルで支払いになりマイナスになってしまうため、注意が必要です。
米ドル/円を20万通貨買い、ユーロ/米ドルを10万通貨買う場合、通貨分解すると米ドル買いと米ドル売りが相殺され、ユーロ/円10万通貨買い(合成)・米ドル/円10万通貨の買い(合成)のポジションを持っていることになります。例えば、米ドル/円・英ポンド/円・英ポンド/米ドルを買う場合や、米ドル/円・豪ドル/円・豪ドル/米ドルを買う場合も同じ関係になります。
異通貨ペアで複数ポジションを持つメリット
米ドル/円が上昇している場合は、米ドルが買われているもしくは円が売られている、またその両方も考えられます。異通貨ペアでの複数ポジションをうまく活用することで、米/ドル円の上昇要因を確認し、どのポジションに寄せていくかを判断しやすくなります。
まとめ
- 複数ポジションを取る場合には、決済ポイントを決めて想定損益を計算しておく
- 複数ポジションを取る場合には、ギリギリのポジションの取り方は避け、口座内資金に余力を持たせる
- 単一通貨ペアの難平買いの場合には、所有ポジションの総数や損益額を把握することで、リスクを減らすことができる
- 異通貨ペアで複数ポジションを取る場合には、通貨分解をしてポジションの傾きを知り、マーケットの動きによる損益額の変動の振れ幅を把握しておく
遠藤氏アドバイス

保有ポジションの状態と、今後発生する損益を把握することが大切です。
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講師紹介

- 遠藤 寿保(えんどう としやす)
- 98年日本初のFX事業開始から、Web広告やセミナー運営、リスク管理啓蒙などFX業務全般に携わる。数多くの一般投資家と接しながら、現在、YJFX!にてFXエバンジェリストとして情報配信・FXコラム執筆・セミナー活動等を行っている。
※この記事は2016年12月8日に執筆されたものです。