目次
1. マーケット・チェック〜2017年 西原氏のVIEW〜
米ドル/円
2017年は米ドル/円が125円まで上昇する可能性も十分にありえるでしょう。
2016年はトランプ氏の次期米大統領就任が決定し、米ドルは急速に上昇しました。そのため、海外でのM&Aの資金調達用など実需の米ドルが買えなかった企業が多くなっています。米ドルへの需要により押し目らしい押し目がない状態でした。

ユーロ/米ドル
1ユーロ=1米ドルまで下落する可能性があります。ユーロ/米ドルは下落へのヘッジがあまりされていないため、このまま下落する可能性が高いです。現状ではユーロ売りというよりも、米ドル買い要因が強いためにユーロ安になっています。

ユーロ/英ポンド
ユーロが売られれば英ポンド買いになります。英ポンド/米ドルと英ポンド/円がブレクジットで大きく動きましたが、一相場が終わったことで動かなくなっています。今後は英ポンドが動かなくてもユーロが下落するので、ユーロ/英ポンドは下落するでしょう。

金利と債券
2016年は債券バブルといわれる債券高でしたが、既に債券高は終わってしまいました。債券は流動性が高く換金しやすいので、アメリカの債券を持っていることは米ドル資産を持っていることと同じことになります。2016年は毎月のように相場にとって悪いニュースが流れていたため、安全資産としての債券が買われた傾向でしたが、今後のトランプ政権ではインフレが期待されるので、金利が上昇して債券が売られるでしょう。

新興国通貨
2008年のリーマンショック以後、先進国がゼロ金利政策を取り、豪ドルやニュージーランドドルなどの新興国通貨が買われてきました。しかし、アメリカ経済が良くなったことで、新興国からアメリカに資金が還流し始めました。今後アメリカが注目されている限りは、新興国に対する為替市場の注目が外れ、通貨買いの資金は行かないでしょう。

2. ディーリングルーム〜西原氏の相場展望〜
NYダウ平均
2016年10月の高値を超えて上昇し、チャートの指標も上昇を示しています。そのため、ダウ平均は2万米ドルを超えるでしょう。

原油価格
OPECの協調減産で原油価格が急上昇しました。これまでは原油価格が下落すると株価も下落していましたが、協調減産で原油価格が底堅くなり、株高となるでしょう。

日経平均
日経平均が年足で5年連続の陽線になる可能性が高くなっています。

欧州のポピュリズム懸念
2017年はEU圏で複数の政権選択選挙がありますが、ポイントはポピュリズムです。ポピュリズムの台頭が今後も続いた場合、反移民、反EU勢力が増し、EU弱体化の危険性が高まるため、ユーロ売りの圧力が上昇する可能性があります。

講師紹介

- 西原 宏一(にしはら こういち)氏
- 大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。
※この記事は2017年2月6日に執筆されたものです。