目次
1. マーケット・チェック〜米国大統領選挙とマーケット〜
米国大統領選挙
ヒラリー候補が勝利する見方が強かったがトランプ候補の善戦によって、米国大統領選挙がより注目されています。1996年の米国大統領選挙から過去5回のうち4回、米国大統領選挙を挟んで米ドル/円が上がっています。2008年のみリーマンショックの影響で、米ドル/円が下がりました。

トランプ・リスク
トランプ候補は米国の利益優先で反グローバルのため、日本やメキシコなど他国にとって良くない傾向です。自由主義経済への驚異となり、株価下落、米ドル安になる不安があります。また、米ドル高の政策が取れず、FRBが利上げできなくなるという見方もあります。そして、今後どうなるのか、何が起こるのかわからないという不透明さをマーケットは嫌うため、米国大統領選挙の支持率が発表される度にマーケットが動揺します。

支持率推移とユーロ/米ドル
両候補の支持率推移とユーロ/米ドルのチャートの相関関係を見ると、トランプ候補への支持率が上がると米ドル売りになっています。

トランプ・リスクと英国EU離脱国民投票
マーケットがトランプ・リスクを恐れる理由は、イギリスのBrexit(ブレグジット)を想起するためです。

米国の青い州と赤い州(過去6回の大統領選挙)
過去6回の米国大統領選挙の結果より、青い州が民主党勝利の州で赤い州が共和党勝利の州です。赤い州の数が多く見えるため共和党が多く勝っているように見えますが、各州で選挙人の数が異なるので単純に共和党が多く勝っているわけではありません。

米国歴代大統領
1968年の米国大統領選挙以降、歴代大統領は2期の任期を満了する場合が多い傾向です。また、過去のサイクルを見ると共和党と民主党が交互に政権交代しているため、次は共和党のトランプ候補の順番かと予想ができます。

流動性リスク
流動性リスクが高くなっているときは、リスクを避けるために米ドル/円かユーロ/米ドルのようなメイン通貨しか持たないことが良いのですが、一番良い方法は米国大統領選挙の結果が出てから取引することです。流動性の低い通貨の場合、値がつかなくなりスプレッドだけが広がってしまい、ストップロスまで届くことがあります。

既存ポジションを持っている場合は、米国大統領選挙までに解消した方が良いでしょう。ポジションを持っていない場合は、米国大統領選挙終了まで待ち、終了後に新たに取引を始める方が良いでしょう。新規ポジションを持つ場合は、流動性のある通貨にした方が良いでしょう。

2. ディーリングルーム〜西原氏の相場展望〜
原油価格がKey Point
今、マーケットが気にしているのは原油価格です。
もし原油価格が落ちた場合、さまざまなシナリオが崩れるため、マーケットは米国大統領選挙以上に2016年11月30日のOPEC総会を注目しています。

原油価格
原油価格は反発後に下落し50ドル割れとなりました。原油価格が下がった場合には、産油国は海外の金融資産への投資を引き揚げてしまうため、マーケットに影響を与えます。

日経平均株価
上昇トレンドに入ってきました。米国大統領選挙の影響を除けば、第二のアベノミクスの上昇が始まっているのではないかという意見もあります。

講師紹介

- 西原 宏一(にしはら こういち)氏
- 大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。
※この記事は2017年1月10日に執筆されたものです。