目次
1. マーケット・チェック〜マーケットのブル・ベア要素をチェック〜
ブル要因
ブル:テクニカル改善の兆し
日経平均の日足が75日移動平均線を上抜けしてきています。

ブル:卜ランプ・リスク後退
トランプ氏が大統領に選ばれるとマーケットがクラッシュするといわれていましたが、クリントン氏、トランプ氏どちらが選ばれても円高になる可能性がある気配です。

ブル:FRB年内利上げの思惑
9月は利上げ織り込みが20%であったが現在は70%台となっており、利上げされてもマーケットはパニックにはならないことが想定されます。

ブル:日米金利差拡大
FRBが利上げをした場合も、日本の金利は低いままなのでドルが買われることが想定されます。

ブル:日本企業の海外M&A
円高の影響で日本企業が海外M&Aをめざし、そのための資金調達で外貨を積極的に買い、円売りが起きて円安となる可能性があります。

ベア要因
ベア:人民元の下落
2015年8月のチャイナショックによる急落よりも、現在のほうが緩やかな下げ方になっているため、ベア要因としては大きなものではありません。

ベア:ドイツ銀行
75兆ドル(ドイツのGDPの20倍)というデリバティブ債を保有していることが懸念されています。他銀行との合併の話もうまく進んでいません。ドイツ銀行が破綻した場合の影響が甚大なため破綻しない予測だが、リスク要因ではあります。

べア:米株の調整リスク
上値が抜けない状態になっているが、原油価格が戻っているために大幅下落にはならないものの、下落リスクがあります。

ベア:日本企業の業績不安
2016年9月に円は100円割れムードがありました。日本銀行短観での輸出の想定レートは107円となっています。もし100円や95円となると、日本企業の業績が悪化する可能性があります。ただし、例えばトヨタ自動車は1ドル102円で売っているため、ドル高になれば増益になる可能性もあります。

2. ディーリングルーム〜西原氏の相場展望〜
原油価格上昇
原油が1月と2月に26ドルでダブルボトムを付けた。その後上昇に転じ、1バレル60ドルまで上がるのではないかといわれています。もし60ドルになった場合、26ドルの倍以上の価格になります。こうした原油上昇にともない、産油国が日本株を買いに入っています。

ブラジルの利下げ
ブラジルが利下げをしました。この影響により、新興国通貨が売られ、新興国は自国の通貨流出を避けるために利上げをする可能性があります。原油価格も上昇し資源価格も上昇しているので、リスクオン(リスクを取りにいく)のスタンスがとれます。そのため、円安、株安につながっていく可能性があります。

日経平均株価
日経平均は戻し始めています。

ユーロ急落
ユーロがECBのテーパリングをして金融緩和を抑制する可能性があることで、ユーロが急落しました。

講師紹介

- 西原 宏一(にしはら こういち)氏
- 大手米系銀行のシティバンク東京支店にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。
※この記事は2016年12月8日に執筆されたものです。